ドル逆行高、136円台乗せも否定できず
〇本日のドル円、133.95レベルで寄り付き一時135.70台まで大幅続伸、トータルで2円超の変動を記録
〇日銀は「金融緩和の現状維持」を正式に発表、ドル買い・円売りのトリガーとなる
〇リスクはドル高方向だが、年初来高値137.91を起点にしたフィボナッチポイント135.95は超えず
〇市場の関心は来週の米FOMCとECB理事会へ、基本的に円全面安の流れがしばらく続く可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ134.90-136.40、ドル高・円安方向は135.95をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、これまでドルの高値を抑制していた135円前後が最新のサポート
<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場はドルが一段高。19日に記録した月間高値を大きく超える135.70円台まで一時値を上げていた。
ドル/円は133.95円レベルで寄り付いたのち、非常に荒っぽい値動き。注目の日銀決定会合における「金融緩和維持」がドル買い・円売りのトリガーに。一旦は月間高値の手前135円前後で上げ渋るも、最終盤にかけてドルは再上昇をたどると135.70円台まで大幅続伸。トータルでは2円を超える変動を記録している。16時現在では、ドル高値圏の135.60円台で推移し欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日銀金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、通常昼ごろ明らかになる日銀決定会合の結果発表を前に、日経新聞が「長期緩和の検証実施へ」などと報じ一騒動。ただ、同時に「長短金利操作(YCC)の修正は今会合では見送るもよう」とも指摘しており、為替市場の変動は一時的な動きにとどまった。しかし、そののち通常よりやや遅めの午後1時ごろ日銀は「金融緩和の現状維持」を正式に発表。乱高下をたどるも、最終的には円売りに押されると135円台へ。さらに夕方、植田総裁が会見で経済情勢をにらみつつも「粘り強く緩和を継続させる」と述べたことなどもあり、為替市場で円は大幅続落をたどっている。
対して後者は、露外務省報道官から核使用をチラつかせたうえで、「西側諸国はロシアの忍耐を試すべきでない」などといった威嚇・けん制発言が聞かれるなか、現状やや落ち着いているロシアとウクライナの本格的な戦闘再開を示すようなコメントが発せられ、思惑を呼んでいた。たとえば米CNNは最新の衛星画像をもとに「ロシアがクリミア半島に設けていた基地から装甲車を移動させたもよう」と伝えた反面、NATO事務総長は「各国がウクライナに約束したうちの98%以上、1700両超がすでに引き渡された」などと述べ、迎撃態勢が整いつつあることを示していたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、先日133円割れをうかがうなど下値リスクを感じさせる動きだったが、本日東京時間に流れが一変。135円台後半までのドル逆行高をたどっている。直近高値135.14円を「しっかり」超えたこともあり、リスクは間違いなくドル高方向ながら、わずかに気になるのは年初来高値137.91円を起点にした下げ幅のフィボナッチにおいて76.4%(135.95円)をまだ超えられていないこと。ただ、逆に136円台へと乗せてくると100%戻しも否定出来なくなりそうだ。
来週にかけて実施される日米欧それぞれの中銀による政策金利発表の先陣を切る格好で、日銀が本日「金融緩和の現状維持」を明らかにした。これで市場の関心は、来週の米FOMCそして翌日のECB理事会になる。ただ、いずれにしても日米あるいは日欧の金利差を考えた場合、円を積極的に買っていこうという気にはなりにくい。ドル/円もさることながらユーロ/円も150円方向、基本的には円全面安の流れがしばらく続くといった見方もあるようだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように本日東京時間ドルが逆行高。フィボナッチポイントの135.95円を超えていないことは気掛かりながら、ドルの続伸には注意を払いたい。超えれば年初来高値も薄っすらと視界内に捉えられる反面、調整などに押され135円を下回ると上値トライは「ダマシ」だった公算が高いことになる。来週にかけてまだ多くの注目材料が予定されていることもあり、トレンドの変化も頭にとどめておいて損はないだろう。
本日は米経済指標として、3月のPCEデフレーターや4月のシカゴ購買部協会景気指数などが発表される予定となっている。また発表される米国、そして欧州の企業決算にも引き続き注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.90-136.40円。ドル高・円安方向は先でも取り上げたフィボナッチポイントの135.95円をめぐる攻防にまずは注目。超えると一足飛びに到達することはないだろうが年初来高値も視界内に。
対するドル安・円高方向は、これまでドルの高値を抑制していた135円前後が最新のサポート。下回ったからと言って大崩れするイメージには乏しいが、再びドルの上値が重くなる可能性はある。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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