金融政策発表にらみ、ドルは下値正念場か
〇本日のドル円、ドルがじり高推移で夕方に掛け上値を拡大、一時133.80-85に
〇ファースト・リパブリック銀行の資金流出で米金融不安再燃
〇今週末の日銀会合と来週は米FOMCとECB理事会でここ1週間は日米欧の金融政策発表相次ぐ
〇本日は米経済指標として、GDP統計速報値や新規失業保険申請件数などが発表される予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは133.10-134.30
〇ドル高方向は134円レベルが最初の抵抗、ドル安方向は本日東京安値133.40レベルがサポート
<< 東京市場の動き >>
27日の東京市場はドルが小高い。しかし、133円台の狭いボックス圏は抜けられず、基本的な方向性は乏しかった。
ドル/円は133.65-70円で寄り付いたのち、ドルはわずかに軟化。日中安値の133.40円レベルを示現している。しかし、その後は逆にドルがじり高推移。夕方に掛け上値を拡大させると一時133.80-85円へ。16時現在ではそのままドル高値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、そんな為替市場を横目に暗号資産(仮想通貨)ビットコインが荒っぽい値動き。短時間に7%を超える下げを記録するなど、「フラッシュクラッシュ」ともいえる動きも観測されている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融不安再燃」と「米韓首脳会談」について。
前者は、米中堅銀ファースト・リパブリック銀行が24日に発表した決算で大規模な資金流出があったことを明らかにしたため、以降経営不安が囁かれるなか、昨日同行の株価が一時的に30%もの急落をたどっていた。それもあり、米国での金融不安も再び取り沙汰され、対円などでドルが続落するなかで、売り材料のひとつになっていたことは間違いない。また、CNBCは「米政府はファースト・リパブリック銀行に現段階で介入する意図は持っていない」と報じていたようだ。
対して後者は、米国のバイデン大統領と韓国の尹大統領が会談し、北朝鮮に対する核抑止力の強化を目的とした「ワシントン宣言」を採択している。さらに終了後の会見でバイデン氏は米国やその同盟国に対して核攻撃をした場合、北朝鮮は「体制の終わり」を招くと追加で警告を発していた。それらに対する北朝鮮そして中国などの反応が気になるところだが、取り敢えずここまで目立った反発などは聞かれていない。ただ、このあと「内政干渉だ」などと反論するだけでなく、武力を行使し威嚇することも十分予想されている。予断を許さない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、ザラ場ベースで昨日もドルが続落。一時133.02円まで下落している。ドルの下値リスクがさらに強まったが、NYクローズでは移動平均の21日線などに辛うじて下値を維持された。なかなか難しい局面にあるものの、21日線をNYクローズベースで下回ってくるようだと本格的な基調転換を検討する必要がありそうだ。ただし、明日以降予定されている日米欧の金融政策発表によっては、135円方向に向けた逆行高をたどる可能性も残っている。
今週末の日銀会合に続き、来週の米FOMCそして翌日のECB理事会と、ここ1週間ほどは日米欧の金融政策発表が相次ぐ。短期的には、それらが市場の関心事となっていることは間違いなく、足もとは様々な思惑の交錯した展開か。そうしたなか本日は1-3月期の米GDP統計速報値というなかなか重要な米経済指標が発表されるうえ、米金融不安が再び注目され始めていることも気掛かりだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円はドルの下値リスクをうかがいはじめた。たとえば、NYクローズでは辛うじて維持したものの移動平均の21日線をザラ場ベースでは一時割り込んだほか、一目均衡表では先行帯の雲の上限を下回っての推移だ。ここが踏ん張りどころで、先の21日線はもちろん、132円台半ばから後半に位置する一目の雲の下限など複数のテクニカルサポートを下回ってしまうと、ドルにはさらなる調整的下押しが入る可能性も否定できない。
本日は米経済指標として、1-3月期のGDP統計速報値や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。また、先でも指摘したように米金融不安が再燃しているだけに、発表される米国そして欧州の企業決算も場合によっては波乱要因となりかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは133.10-134.30円。ドル高・円安方向は本日そして昨日も一度も達していない134円レベルが最初の抵抗。超えると134円半ばを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、21日線も程近い東京安値の133.40円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回ると14日以来の133円割れとなりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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