ドル高リラ安を気にしつつもドル円を追いかけて週末からの反騰を継続
〇トルコリラ円、ドル円を追いかける展開継続、4/17深夜ドル円の上昇局面で6.94へ高値を伸ばす
〇短期的にはドル円の騰落を追いかけているが、リラ安の勢いも無視できなくなっている
〇対ドル、4/17は概ね19.46から19.35の取引レンジ、19.46をつけて取引時間中の最安値を更新
〇終値ベースでは4/17は19.39をつけ、6営業日連続で終値ベースの最安値更新
〇格付け会社はトルコのソブリン格付け見通しを「B」に据え置くもネガティブ見通しに引き下げ
〇6.95前後は売られやすいと注意するが、6.95を超える場合は6.97前後へ上値目途を引き上げる
〇6.90割れからは下落期入りとみて、6.87、6.85を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の4月17日は概ね6.94円から6.88円の取引レンジ、18日早朝の終値は6.93円で先週末終値の6.91円からは0.02円の円安リラ高だった。
対ドルでのリラ安が進行しているものの、トルコリラ円は目先の騰落としてはドル円を追いかける展開を続けている。
ドル円は4月12日の米3月CPIと13日の米3月PPIの鈍化によるドル安局面で12日高値134.04円から13日深夜安値132.02円へ下落したが、14日の米経済指標を通過してドル高がぶり返したことにより15日未明には133.83円へ反騰し、17日午後には134.21円をつけて4月12日高値134.04円を上抜き、17日夜のNY連銀製造業景況指数が予想を大幅に超える改善となったことで深夜に134.56円まで高値を伸ばした。
トルコリラ円は4月10日深夜高値6.95円と12日昼高値6.94円をダブルトップとして下落に転じ、13日深夜にかけての円高局面で6.83円へ下落、14日夕刻のドル高リラ安局面で6.82円まで安値を切り下げたもののドル円の反騰を追いかけて15日未明に6.91円へ切り返した。17日深夜にドル円が高値を切り上げた局面で6.94円へ高値を伸ばしたが、その後はドル円と共に上昇一服でやや下げている。
対ドルでのリラ安が勢いを増してきているために、ドル円が4月12日に高値を更新した際にトルコリラ円は10日深夜高値に届かず、17日深夜にドル円が一段高したところでも高値更新へと進めずにいる。短期的にはドル円の騰落を追いかけながらもリラ安の勢いも無視できなくなっているところだ。
【対ドルでは取引時間中の最安値を更新、終値ベースでは6営業日連続で最安値更新】
ドル/トルコリラの4月17日は概ね19.46リラから19.35リラの取引レンジ、18日早朝の終値は19.39リラで先週末終値の19.34リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
5月14日のトルコ大統領選挙が迫る中、2月6日のトルコ南部大地震、2月23日のトルコ中銀による高インフレ下での利下げ、月次の貿易赤字と経常赤字及び財政赤字が過去最悪となり、格付け見通しがネガティブとされ、米銀破綻からの信用不安の影響もあり、3月に入ってからはドル高リラ安の下落が勢いを強めている。
手元のデータでは4月7日につけた19.45リラが取引時間中の史上最安値だったが、4月17日に19.46リラをつけて最安値を更新し、終値ベースでは4月10日から連日の最安値更新となっていたが、17日終値も6営業日連続で最安値を更新した。
【格付け会社によるネガティブ見通し、大手金融機関による大統領選挙後のリラ大幅下落予想】
大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングは3月31日にトルコのソブリン格付け見通しを「B」に据え置いたが、見通しを「ステーブル」から「ネガティブ」に引き下げた。
同社は4月17日のレポートにおいて、世界的な金融環境の逼迫が新興市場の銀行システムに圧力をかけており、トルコとチュニジアが最も危険にさらされているとした。トルコに対しては国際収支の悪化とリラ安を背景に市場心理が悪化してリスク回避が高まっており、欧米等による金融引き締めが続いてきたことによる世界的な流動性の低下や資金調達コストの上昇に対して脆弱だとした。また不動産価格の高騰とハイパーインフレに対して非常に緩和的な金融政策が続けられてきたことによる経済的不均衡の是正に直面していると指摘した。
4月14日には大手金融機関のJPモルガンが5月14日のトルコ大統領選挙後には1ドル1ドル24〜25リラへ下落して年末には26リラへ続落するとの見通しを示し、より厳しい展開になれば選挙後には1ドル30リラへ向かう可能性もあると指摘したこともリラ安を勢い付かせている。
4月17日に発表されたトルコの3月財政収支は472.2億ドルの赤字となり、過去最悪となった2月の1705.6億ドルの赤字からは減少した。しかし月次財政収支は変動も大きく一時的に大きな黒字となる場合もあるが基調としては財政赤字の拡大傾向にある。2月6日発生の大地震に対する復興にも巨額の財政出動が必要であり、今後も月毎の変動を伴いながらも赤字拡大基調は継続すると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月10日深夜と12日昼の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、4月14日夕刻へ一段安したところからの反騰入りにより、17日午前時点では14日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとし、高値形成期を17日の日中から19日午前にかけての間と想定した。
17日深夜へ高値を切り上げてからやや失速しているものの6.92円以上を維持しているのでまだ一段高余地ありとみるが、6.95円前後での抵抗感もあるため反落注意とし、6.90円割れからは弱気サイクル入りとして19日夕から21日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月14日夜の急伸により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下落再開と仮定して安値試し優先とする。また先行スパンは当初の下値支持帯になると思われるが、先行スパンからから転落する場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。
60分足の相対力指数は4月15日未明から17日深夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため、50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.95円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとみる。6.95円前後は売られやすいと注意するが、ドル円の上昇が勢い付く場合等で6.95円を超える場合は6.97円前後へ上値目途を引き上げる。また6.92円以上での推移なら19日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.90円割れからは下落期入りとみて6.87円、6.85円を順次試す下落を想定する。6.85円以下は反騰注意とするが、6.90円以下での推移なら19日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月19日
16:00 4月 トルコ中銀調査・年末CPI予想値 (3月 37.72%)
16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 80.1)
4月20日
18:00 週次 外貨準備高 4月14日時点 グロス(4月7日時点 684.9億ドル)
18:00 週次 外貨準備高 4月14日時点 ネット(4月7日時点 137.7億ドル)
23:30 3月 中央政府債務 (2月 421.1億リラ)
4月24日
16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月 105.2)
16:00 4月 設備稼働率
4月27日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 96.8)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点
注:ポイント要約は編集部
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先週のトルコリラ円は、安値が6.66レベル、高値が6.91 レベルと、予想レンジよりも若干低い水準での取引となった一週間でした。
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