ドル円見通し 先週末の反騰から続伸、3月24日以降の高値を更新(23/4/18)

NY連銀製造業景況指数が予想を上回る改善となったことをきっかけに米長期債利回り上昇とドル高が継続したために17日深夜には134.56円へ高値を切り上げた。

ドル円見通し 先週末の反騰から続伸、3月24日以降の高値を更新(23/4/18)

ドル円見通し 先週末の反騰から続伸、3月24日以降の高値を更新

〇ドル円、先週末の反騰から続伸、4/17午後134.21まで高値を伸ばして4/12昼高値134.04超える
〇夜に133.71まで小反落するも、経済指標の良好な結果をきっかけに深夜134.56へ高値切り上げる
〇昨日発表のNY連銀製造業景況指数、市場予想を大幅に上回り5か月振りのプラスへ改善
〇次回FOMCでの追加利上げの可能性、一段と強まったか
〇米10年債利回りは先週末から3連騰、米株価も上昇
〇133.71を上回るうちは上昇余地ありとし、134.56超えからは135円に迫る上昇を想定する
〇133.71割れからはいったん下げに入るとみて、133円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は先週末の米経済指標を通過してのドル高により14日夜の132円台序盤から15日未明高値133.83円へ反騰し、17日午後には134.21円まで高値を伸ばして4月12日昼高値134.04円を超えた。17日夜に133.71円まで小反落したところも買われて確りし、NY連銀製造業景況指数が予想を上回る改善となったことをきっかけに米長期債利回り上昇とドル高が継続したために17日深夜には134.56円へ高値を切り上げた。
3月24日安値129.63円以降の高値更新であり、この間の上昇幅は4.93円に拡大した。3月8日高値137.91円から3月24日安値までの下げ幅8.28円に対して既に半値戻しをクリアしているが、3分の2戻しラインは135.15円にある。

【NY連銀製造業景況指数、5か月振りのプラスへ改善】

4月17日夜にNY連銀が発表した4月の同州製造業景況指数は総合でプラス10.8となり、3月のマイナス24.6から上昇した。2か月振りの上昇でプラス圏は5か月振りであり、市場予想のマイナス18.0を大幅に上回る改善となった。内訳では新規受注がマイナス21.7からプラス25.1へと大幅に改善したが、雇用はマイナス10.1からマイナス8.0へ若干の改善にとどまり、6が月先見通しについては3月のプラス2.9からプラス6.6へ改善したもののまだ低水準にとどまっている。
発表後に米長期債利回りが上昇、為替市場はドル高反応となった。これまでの金融引き締めや米銀破綻を発端とした信用不安によるリセッション入りへの懸念が後退し、ソフトランディングから景気拡大への期待感を強めるものとなり、FRBによる次回FOMCにおける追加利上げの可能性が一段と強まったと市場は受け止めたようだ。

【FOMCでの追加利上げが濃厚に】

FRBは前回のFOMCにおいてあと1回の利上げを想定しているとしたが、米銀破綻の影響や銀行の与信供与基準の厳格化等により利上げの見送りもあり得るのではないかとの見方も浮上していた。しかし金利先物市場では5月2日-3日に開催の次回FOMCにおいて0.25%利上げが決定される確率が9割近くとなり追加利上げが濃厚となっている。
FRBのウォラー理事は4月14日の講演で「与信が大幅に厳しくなれば追加利上げの必要はなくなることもあり得るが現時点ではそれほど総需要を抑制していない」とし、「インフレは高すぎ、まだやるべきことはある」と追加利上げの必要性を強調している。
4月17日には国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人が「長期的な高インフレを回避するためには景気減速につながるとしてもこれまでの想定以上に金利を高く、長く維持する必要があるかもしれない」と述べており、主要国中銀による利上げ継続を支持している。

【米長期債利回りは先週末から連騰】

4月17日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.09%上昇の3.61%となったが、4月13日の0.05%上昇、14日の0.07%上昇からの3連騰となり、3月29日の3.61%から4月6日の3.25%まで7営業日連続で低下した下落幅を解消した。それでも3月2日につけた直近のピークである4.09%からは大きく低下した水準にとどまっている。
30年債利回りは先週末比0.07%上昇の3.81%となり4月13日の0.06%上昇、14日の0.05%上昇から連騰した。利上げに敏感な2年債利回りは先週末比0.09%上昇の4.20%となり、4月14日の0.13%上昇からの連騰となり3月24日につけた3.56%以降の高水準としたが、3月8日に5.08%でピークをつけたところから大幅に低下した水準にとどまっている。

ひとまず次回FOMCでの利上げ見送りは無く、状況次第では利上げ状態の継続期間が長引く可能性も再浮上したことで米長期債利回りは低下し過ぎの反動で戻しているところと思われるが、利上げ回数がさらに増加する可能性は低く、戻りにも限界があると思われる。ドル円にとっては短期的な日米長期金利差の再拡大によりドル高円安で推移しやすいところだが、昨年のような歴史的な大上昇へ発展する可能性は低いのではないかと考える。
4月17日のNYダウは前日比100.71ドル高、ナスダック総合指数は34.25ポイント高と上昇しており、NY連銀製造業景況指数の改善がリセッションへの過度な不安を後退させたとして買い優勢だったが、勢いは鈍い印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月12日高値134.04円からの反落が13日深夜安値132.02円にとどまり、14日夜の米経済指標発表を通過して反騰入りし、17日夜への続伸で12日高値を上抜いているため、現状は4月13日深夜安値を起点とした上昇期にある。目先の高値形成期は19日の日中にかけてと想定されるので、17日夜に小反落したところの安値133.71円を上回るうちは135円台序盤を目指す可能性があるとみる。ただし、17日夜安値を割り込む場合はいったん下げに入るとみて20日深夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月14日夜の反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので、遅行スパン好転中は26本基準線を支持線として高値試しを続けやすいとみる。
高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパンが悪化するところからは安値試し優先とするが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は4月14日夜の急伸から17日夜へ高値を更新した際に指数のピークが切り下がっているため弱気逆行の気配がみられるので、60ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント以下を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月17日夜安値133.71円を下値支持線、17日深夜高値134.56円を上値抵抗線とする。
(2)133.71円を上回るうちは上昇余地ありとし、134.56円超えからは135円に迫る上昇を想定する。135円手前では戻り売りも出やすいと注意するが、134円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.71円割れからはいったん下げに入るとみて133円前後への下落を想定する。133円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、133.71円以下での推移が続く場合は19日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/18(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 0.0%、予想 2.2%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 2.9%、予想 4.0%)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 3.5%、予想 7.4%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 2.4%、予想 4.0%)
15:00 (英) 2月 失業率・ILO方式 (1月 3.7%、予想 3.7%)
18:00 (独) 4月 ZEW景況感 (3月 13.0、予想 15.3)
18:00 (欧) 4月 ZEW景況感調 (3月 10.0)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調済 (1月 -113億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調前 (1月 -306億ユーロ)

21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算 (2月 145.0万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 9.8%、予想 -3.5%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 152.4万件、予想 145.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 13.8%、予想 -6.5%)
26:00 (米) ボウマンFRB理事、講演

4/19(水)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 4.5%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -0.6%)
13:30 (日) 2月 設備稼働率 前月比 (1月 -5.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (2月 1.1%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 10.4%、予想 9.8%)
15:00 (英) 3月 CPIコア指数 前年同月比 (2月 6.2%、予想 6.0%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数(RPI) 前月比 (2月 1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (2月 13.8%、予想 13.3%)

17:00 (欧) 2月 経常収支・季調済 (1月 171億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 3.9%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年同月比 (1月 0.9%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP)・改定値 前年同月比 (速報 6.9%、予想 6.9%)
18:00 (欧) 3月 HICPコア指数・改定値) 前年同月比 (速報 5.7%、予想 5.7%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
25:30 (英) マン英中銀委員、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)



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