ユーロドルは引き続き上昇トレンド継続
〇ユーロドル、ECB関係者タカ派発言、予想下回る米CPI等のドル売り材料に、年初来高値1.1076レベルへ
〇次回ECBで0.5%の利上げが見込まれ、米独金利差縮小がドル売りユーロ買いに作用しやすい流れ続く
〇今週もラガルドECB総裁やECB関係者の講演続く、タカ派なトーンが変化していないかに注意
〇ユーロ円147円台まで上値を伸ばす。テクニカルには昨年高値の148.39レベルが今週中にも視野に
〇1.0900レベルをサポート、ゾロ目でターゲットとなりやすい1.1111をレジスタンスとする週と見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初は植田日銀総裁の会見でドル売りが上昇する動きとともに1.0832レベルの週間安値をつけましたが、その後は金曜までECB関係者のタカ派発言、予想よりも弱いCPIなど全般にドル売り材料が目立っていたこと、テクニカルにユーロが一段高となりやすい地合いにあったことから、ユーロドルは1.1076レベルまで上昇後、金曜はFRB理事のタカ派発言で調整の売りが入っての週末クローズとなりました。
先週はいくつかの材料がありましたが、上述の通り、円材料でのドル買い(ユーロ売り)以降は一貫してドル売り・ユーロ買いの材料が目立ち、年初来高値を更新する動きにつながりました。テクニカルにもそれまでの年初来高値が1.1032レベルと新高値更新を試しやすく、ターゲットとしやすい動きであったこともユーロ買いを加速させたと言えます。
新高値更新で達成感が出た中で週末のタカ派なFRB理事発言で調整は入ったものの、引き続きユーロドルは買いやすい地合いにあると考えられます。ドル円週報に書いた通りで、ウォラーFRB理事のタカ派発言後も5月の0.25%利上げで打ち止めというコンセンサスには変化は無く、単に緩和時期が後退しただけの状況です。いっぽうで、次回ECB理事会でも0.5%の利上げが見込まれていることから米独金利差の縮小がドル売り・ユーロ買いに作用しやすい流れは続きます。
先週も載せましたが米独金利差(ユーロドルの動きに合わせるため、ドイツ10年債利回りから米国10年債利回りを引いた値で表示)は依然として縮小ペースを辿っていて、13日には1.024%まで縮小しました。政策金利と長期金利の利回りは似て非なるものとは言え方向性は同じであること、ユーロドルが国債利回り差との相関が高いことを考えると、当面はユーロドルの押し目買いが入りやすいということが金利差の点から言えそうです。
今週もラガルドECB総裁をはじめECB関係者の講演が続きますので、タカ派なトーンが変化していないかは念の為注意しておきましょう。また経済指標はCPIは改定値なので、週末の製造業・サービス業PMI速報値がどのような状態か、予想ではほぼ各国とも製造業が若干の改善、サービス業が若干の悪化といった予想となっています。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ユーロドルが上昇してきたこと、これまでの中央ラインがレジスタンスと考えるのはほぼ同水準に位置していることから短期平行上昇チャンネルとして青の平行線を追加しました。今週もこのチャンネルの中での動きとなり、中央ラインを上下どちらかに明確に抜ける動きとなれば、改めて考え直すというところです。
この短期上昇チャンネルを参考にして、今週は1.0900レベルをサポートに1.1111レベル(ゾロ目はターゲットとなりやすい)をレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円のチャートを見ますが、週足チャートです。
ユーロドルが1.10の大台をトライしたことに加え、ドル円も底堅い動きとなったことで一気に147円台まで上値を伸ばしてきました。
こうなると、テクニカルには昨年高値の148.39レベルが視野に入ってきます。ユーロが上昇トレンドを続け、ドル円が底堅い流れが続くと今週中にもつけそうな水準です。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月17日(月)
24:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
4月18日(火)
15:00 英国3月失業率
18:00 ドイツ4月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏2月貿易収支
4月19日(水)
15:00 英国3月CPI ☆
18:00 ユーロ圏3月CPI
18:00 ユーロ圏2月建設支出
25:00 シュナーベルECB理事講演 ☆
4月20日(木)
15:00 ドイツ3月PPI ☆
15:45 フランス4月企業景況感
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
22:15 イタリア中銀総裁講演
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感速報値 ☆
4月21日(金)
08:01 英国4月消費者信頼感
15:00 英国3月小売売上高
16:15 フランス4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国4月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月3日(月)
ユーロドルはNY市場までは横ばいで方向感が無い流れでしたが、欧州時間の植田日銀総裁会見をきっかけとした円売り・ドル買いの動きに引っ張られて1.0831レベルまで売られやや戻しての引けとなりました。
4月4日(火)
ユーロドルは東京市場では前日の調整のドル売りに引っ張られてのユーロ買い戻しから1.0928レベルへと前日高値を更新後に高値圏でもみあいのまま引けました。
4月5日(水)
ユーロドルはNY市場まで小動きでしたが、予想より弱いCPIを受けてのドル売りの動きからユーロドルが上昇、さらに複数のECB関係者によるタカ派発言も重なって、大台1.1000の高値をつけました。その後もユーロドルは高値圏でもみあいのまま引けました。
4月6日(木)
ユーロドルは欧州市場序盤までは高値圏でのもみあいを続けていましたが、テクニカルにユーロドルが一段高を目指しやすい状況が整っていたこともあって1.1032レベルへと上昇しました。その後NY市場では予想よりも弱いPPIを受けてのドル売り・ユーロ買いが強まり1.1068レベルまで上昇後にやや押して引けました。
4月7日(金)
ユーロドルは東京市場で1.1076レベルと前日高値を若干上回る動きとなっていましたが、欧州市場に入ると徐々に上値が重くなり、NY市場ではウォラーFRB理事の発言を受けての米金利上昇によるドル買いから、ユーロドルも1.0972レベルまで売られ安値圏での引けとなりました。
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