『ドル円を追いかける動き継続中。トルコ2月鉱工業生産はネガティブサプライズ』
〇今週のトルコリラ円、早々に週間高値6.97まで上昇後、週後半にかけ6.79まで下落
〇トルコ2月鉱工業生産等の不冴え、米物価上昇鈍化からのドル円急落が背景
〇売り一巡後はドル円の急反発に6.91前後に持ち直す
〇ドルトルコは史上最安値圏での軟調推移続く
〇トルコリラ円、ドル円に同調した動き続くが、トルコ経済の先行き不透明、ドルペッグの限界が重石に
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.65ー7.05
今週のレビュー(4/10−4/14)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.86円で寄り付いた後、早々に週間高値6.97円まで上昇しました。しかし、心理的節目7.00円をバックに伸び悩むと、(1)トルコ2月失業率(結果10.0%、前回9.8%)の冴えない結果や、(2)トルコ2月経常収支(結果87.8億ドル赤字、予想84.5億ドル赤字)の市場予想を上回る結果、(3)トルコ2月鉱工業生産(結果▲8.2%、予想+1.5%、※前年比)の市場予想をネガティブサプライズ(2020年5月以来の減少幅)、(4)米3月消費者物価指数および米3月生産者物価指数の伸び率鈍化(ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値6.79円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、
(5)米ミシガン大学が発表した1年先期待インフレ率(結果4.6%、予想3.7%、前回3.6%)の大幅上方修正や、(6)ウォラーFRB理事による「インフレ率は依然として高すぎる」「金融政策はかなりの期間、引き締め状態が維持される必要性がある」とのタカ派的な発言、(7)上記5、6を背景としたドル円相場の急反発(トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4/15午前3時30分現在)では、6.91円前後まで持ち直す動きとなっております。尚、対ドル相場は史上最安値圏での軟調推移が続いております。
来週の見通し(4/17−4/21)
トルコ政府・トルコ中銀による対ドルでのボラティリティ抑制策が継続する中、トルコリラ円相場はドル円に同調した動きが続いております(※資本規制や為替介入を通じて対ドルでのトルコリラ安定化を図っているため、トルコリラ円≒ドル円のシンクロ相場が昨秋以降継続中)。但し、(1)トルコ経済を巡る先行き不透明感の高まり(大地震被害の影響でトルコ経済に中長期的な下押し圧力→今週発表されたトルコ2月鉱工業生産は市場予想を大幅に下回るネガティブサプライズ)や、(2)大統領選後の経済政策・金融政策激変懸念(トルコ政治・中銀運営の先行き不透明感)、(3)ドルペッグ限界論の台頭(強引な資本規制や為替介入の副作用が顕在化)等を考慮すれば、リスクは依然ダウンサイドと判断できます。
事実、トルコ中銀は4/7に「リラ化」戦略の一環として新たな資本規制(トルコの商業銀行が外貨を保有することを阻止する措置の強化)を打ち出しましたが、効果は殆ど見られず、対ドルでの下落基調に歯止めがかかっておりません(対ドル相場は5日続落)。市場では、5/14に予定されている大統領選後に、対ドルでのボラティリティ抑制策が解除されるのではないかとの見方も燻るなど、ダウンサイドへの警戒感が急速に高まってきております。それまでは(5/14までは)、「トルコリラ円≒ドル円」の同調相場が続きそうですが、同調度合は段階的に弱まっていきそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、中長期的なトルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(短期的にはドル円を追いかける動きの継続を想定)。尚、来週はトルコ4月消費者物価指数に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.65ー7.05
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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