トルコリラ円見通し ドル安一巡によるドル円の反騰を追いかけて6.90円台回復(23/4/17)

トルコリラ円の4月14日は概ね6.91円から6.82円の取引レンジ、15日早朝の終値は6.91円で前日終値の6.85円から0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル安一巡によるドル円の反騰を追いかけて6.90円台回復(23/4/17)

ドル安一巡によるドル円の反騰を追いかけて6.90円台回復

〇トルコリラ円、14日夕刻にかけてのドル高リラ安局面で6.82をつける
〇米小売発表後の下落では安値更新を回避、ドル円の上昇を見て6.90台回復へ急伸
〇対ドルでは終値ベースの史上最安値を連日更新、14日終値は19.34に
〇JPモルガン、大統領選挙後のドルトルコリラが1ドル30リラへ向かう可能性示す
〇6.92超えからは6.95前後への上昇を想定、6.95前後では戻り売りにつかまりやすい
〇6.87割れからは下落再開を疑い4/14夕安値6.82試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円の4月14日は概ね6.91円から6.82円の取引レンジ、15日早朝の終値は6.91円で前日終値の6.85円から0.06円の円安リラ高だった。週間では4月7日終値6.85円から0.06円の円安リラ高だった。
4月14日夜に発表された米3月小売売上高が前月比1.0%減で2月の0.2%減から悪化して市場予想の0.4%減を大幅に下回ったことと3月の米輸出入物価指数がいずれも予想及び2月を大幅に下回ったことで発表直後にはドル売りが見られたものの、4月12日の米3月CPIと13日の米3月PPIの鈍化によりドル売りが進行してきたことでドル売りがさほど勢い付かず、ウォラーFRB理事による利上げ継続支持発言等もあり当面のドル売り一巡としてドル高へと風向きが変わった。

ドル円は米小売等発表直後の下落では13日深夜にPPI発表で売られた局面で付けた安値132.02円割れを回避して買い戻され、その後のミシガン大消費者調査における1年先期待インフレ率の大幅上昇も加わって133円台後半へ上昇した。
トルコリラ円はドル高リラ安を気にしつつドル円を追いかける展開で、夕刻にかけてのドル高リラ安局面で6.82円を付けたが、米小売発表後の下落では安値更新を回避し、ドル円の上昇を見て6.90円台回復へ急伸した。4月17日午前序盤は6.91円を挟んだ水準で高止まりしている。

【対ドルでは終値ベースの史上最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの4月14日は19.39リラから19.31リラの取引レンジ、15日早朝の終値は19.34リラで前日終値の19.31リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
4月14日夜は米3月小売売上高の悪化からいったんドル安反応が見られたものの当面のドル売り一巡感でドル高へと風向きが変わったためにユーロやポンドが下落、ドル円が反騰したが、トルコリラは為替市場全般の動きにはさほど左右されずに19.30リラ台中心の展開を続けた。
手元のデータでは4月7日に付けた19.45リラが取引時間中の史上最安値でありその後は新たな安値更新へ進んでいないものの、終値べースでは4月10日から最安値更新が続いており4月14日終値も19.34リラへ最安値を5営業日連続で更新した。
週間では4月7日終値19.23リラから0.11リラのドル高リラ安だった。

【トルコ大統領選挙後のリラ安見通し】

5月14日のトルコ大統領選挙が徐々に迫る中、対ドルでのリラ安進行速度が加速してきている。(1)2月6日のトルコ南部大地震による被害とエルドアン政権の建築行政に対する非難、(2)2月23日のトルコ中銀による利下げ、(3)リラ安と高インフレによる貿易赤字や経常赤字が過去最大となり財政収支の悪化や政府債務が急増、(4)3月31日の大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングがトルコのソブリン格付け見通しを「ステーブル」から「ネガティブ」に引き下げ(格付けそのものは「B」に据え置き)、(5)大統領選挙における野党統一候補の樹立と現時点での支持率でエルドアン大統領がやや劣勢の状況だが、大統領選挙に現職が勝てば主要国と異なる金融政策の継続による失望感が増し政権交代なら大胆な金融政策の転換により混乱する不安、(6)先週発表された2月鉱工業生産や小売売上高の悪化や外貨準備高の大幅減少等々、トルコリラを取り巻く環境は芳しくない。

大手金融機関のJPモルガンは4月14日に大統領選挙後のドル/トルコリラについて、当初には1ドル24〜25リラへ下落して年末には26リラへ続落するとの見通しを示したが、より厳しい展開になれば選挙後には1ドル30リラへ向かう可能性もあるとした。
トルコ中銀によるエコノミストに対する月次のインフレ見通し等調査報告書が4月19日に公表されるが、3月17日に発表された前月の報告書では2023年末のCPI上昇率が37.72%、2023年通年のGDP成長率が3.5%、2023年末のドル/トルコリラは1ドル22.9リラ、政策金利は3か月後に現状の8.5%ながら12カ月後には12.83%へ上昇すると見込まれている。トルコ国内のエコノミスト調査でもリラ安は一層進行するとの見方で一致しており、JPモルガンの見通しも極端なものではない。年後半へ政策金利が見込み通りに上昇しなければリラ安の予想値もさらに悪化することになると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月12日夜の急落で4月11日夜安値を割り込んだため、4月13日午前時点では4月10日深夜と12日昼の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への下落を想定した。
4月14日午前時点では強気転換には13日夜の急落解消が必要としたが、4月14日夕刻へ一段安したところから反騰入りして13日夜の急落を解消したため、14日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルとして17日の日中から19日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、戻りは短命の可能性もあるので6.87円割れからは弱気転換注意として14日夕安値6.82円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして19日午後から21日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月14日夜の急伸により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、上昇が途切れると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下落再開と仮定して安値試し優先とする。またその際には先行スパンが当初の下値支持帯になると思われるが、先行スパンからから転落する場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。

60分足の相対力指数は4月13日夜から14日夕への下落に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて70ポイント到達へ急伸した。50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、相場が小反落後に高値を更新しても指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行による反落を警戒し、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.87円を下値支持線、6.92円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円超えからは6.95円前後への上昇を想定する。6.95円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが6.90円以上を維持しての推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.87円割れからは下落再開を疑い4月14日夕安値6.82円試しへ向かうとみる。6.82円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、6.87円以下での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月17日
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1705.6億リラ)
4月19日
 16:00 4月 トルコ中銀調査・年末CPI予想値 (3月 37.72%)
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 80.1)
4月20日
 18:00 週次 外貨準備高 4月14日時点 グロス(4月7日時点 684.9億ドル)
 18:00 週次 外貨準備高 4月14日時点 ネット(4月7日時点 137.7億ドル)
 23:30 3月 中央政府債務 (2月 421.1億リラ)
4月24日
 16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月  105.2)
 16:00 4月 設備稼働率
4月27日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 96.8)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点

注:ポイント要約は編集部

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