ドル続伸機運強いが一抹の不安くすぶる(週報4月第3週)

先週のドル/円相場はなかなか激しい上下動。

ドル続伸機運強いが一抹の不安くすぶる(週報4月第3週)

ドル続伸機運強いが一抹の不安くすぶる

〇先週のドル円、上値試す展開で134円台示現するも上値重く、米経済指標不冴えに132.02まで急落
〇最終的にはドルは逆行高。週末NYは133.75レベル、週を通した高値圏で越週
〇5/2-3米FOMCにらみ市場は一喜一憂。米経済指標をめぐり、トレンド一定しない猫の目相場が続く
〇今週、4月NY連銀製造業景況指数や製造業PMI速報値などが発表予定
〇ドル高円安方向、週間を通して134円半ばレベルに位置する一目の先行帯雲の上限をめぐる攻防に注目
〇ドル安円高方向、先週上抜けてきた132円台に位置する21日線や一目の雲の下限などがサポート
〇今週のドル/円予想レンジ、131.50-135.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はなかなか激しい上下動。しかし、最終的には133円台後半とドルは週を通した高値圏で越週している。

前週末は、中国軍が台湾を取り囲む地域で大規模軍事演習を実施していることが話題に。また、米紙が「米機密文書、SNSに大量流出」などと報じ物議を醸すなか、情報漏洩についてロシア政府関与の可能性も別途取り沙汰されていた。
そうした状況下、ドル/円は132.15円レベルで寄り付いたのち上値を試す展開となり1ヵ月ぶりの134円台を示現。しかし上値は重く、その後はやや上げ渋り展開をたどるなか、発表された米経済指標が冴えなかったことを材料にドルの投げ売りが殺到し132.02円まで一時急落をたどっていた。ただ、週末にドルは再び買われると133円後半へと「行って来い」。週末NYは133.75円レベルで取引を終えて越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「中国情勢」について。
前者のうち日本は、週明けに実施された就任記者会見で植田日銀新総裁が「現行の大規模緩和を当面維持する姿勢」を改めて表明。予定通りの内容ではあったが、それでも一部からは金利差などに着目し、円売り要因として認識されていた。それに対して米国は発表された消費者物価指数などの指標がやや冴えない内容に。また公表された3月の米FOMC議事録要旨で、SVB破綻などを受け「金利据え置きが適切かどうか検討」されたことが明らかとなったことや、シカゴ連銀総裁から「積極的な利上げに慎重になるべき」とのコメントが聞かれるなど一時はドル売り要因が相次いでいる。しかし、週末はその反動もありドルは逆行高。発表された4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値なども良好で、ドルに買い安心感を与えていた。

対して後者は、大きく2つの要因で思惑を呼ぶ。ひとつは台湾総統による訪米を受けた「威嚇」の動き、「台湾包囲演習」は一応終了したとされるが、以降も一部は依然として周辺にとどまり示威行動を続けていることが明らかになった。一方、それとは別に先日訪中した仏大統領が先のような台湾情勢について、「欧州は米国の戦略に追従すべきでないという認識を示した」と発言したことが「親中すぎる」として物議を醸す。そののちマクロン氏自身がフランスの台湾に関する立場に「変わりはない」と釈明したものの、主張そのものは撤回せず。さらに「欧州の戦略的自立」を促す持論を説いて波紋の収束を図ったが、逆に火に油を注いだ感もある。依然として火種はくすぶったままの状況だ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は週のザラ場ベースで1ヵ月ぶりの134円台を示現。そして、週末のNYクローズも133.75円レベルとドルの高値引け。これだけからするとドルの上値リスク拡大、ドルの続伸を期待したくなるものの、どうなるか。実際、日足やそれより短いチャートを見ると、過去3週間ほどはザックリ130.50-134.00円のレンジを形成しており、まだその上限には辛うじてとどまっており超えていない。また抜けても135円はなかなか強い抵抗で、しっかり抜けていくには時間がかかるといった声も聞かれていた。
次回5月2-3日に予定されている米FOMCをにらみ市場は一喜一憂。発表される米経済指標などをめぐり、連日のように市場の見方も変化し、トレンドが一定しない猫の目相場だ。今週も思惑が交錯するなか、なかなか激しい上下動を警戒する向きも少なくない。

なお、それ以外で注意すべきは発表される1-3月の米企業決算。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどが発表する予定だが、周知のように3月はSVBをはじめ複数の中堅行が経営破たんに陥っている。業績が落ち込む先もありそう、といった見方も聞かれるだけに、場合によっては波乱要因となる可能性も。

テクニカルに見た場合、ドル/円は紆余曲折あったものの、週末のNYクローズで移動平均の21日線や90日線などを上抜け。一目均衡表でも先行帯の雲の下限を上回っている。これらを素直に考えればドル高リスクが拡大したと言えそうだが、先でも指摘したように一抹の不安もなくはない。ドル高基調を明確にしたいのであれば、134円はもちろんのこと一目の雲の上限が位置する134円半ば、さらに135円も「しっかり」と超えていくことが望まれる。

そうしたなか今週は、4月のNY連銀製造業景況指数や同製造業PMI速報値などの米経済指標が発表されるほか、同じ経済指標でいえば中国の1-3月GDPなども発表が見込まれている。また、ゴールドマン・サックスをはじめとする米金融大手の決算発表や、軽井沢G7外相会合など注目材料は週を通して目白押しだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、131.50-135.50円。ドル高・円安については、週間を通して134円半ばレベルに位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ135円、そして136円などがターゲットに。
対してドル安・円高方向は、先週上抜けてきた132円台に位置する21日線や一目の雲の下限などがサポート。下回っても基本的には底堅いイメージだが、しっかり崩れると意外に脆い可能性もある。

ドル続伸機運強いが一抹の不安くすぶる

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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