ドル円見通し 3月24日からのジグザグ型上昇チャンネル内で推移中(週報4月第三週)

米経済指標を見ながら利上げ状態の継続期間が長引くのか早期の利下げ議論入りとなるのかを見極めて行くことになると思われる。

ドル円見通し 3月24日からのジグザグ型上昇チャンネル内で推移中(週報4月第三週)

ドル円見通し 3月24日からのジグザグ型上昇チャンネル内で推移中

〇先週のドル円、米CPI、PPIの鈍化で132.02まで下落、その後週末にかけ133.83まで続伸
〇FRB交換のタカ派発言、ミシガン大調査の期待インフレ率大幅上昇等が背景
〇小売売上高悪化、輸出入物価指数も鈍化したもののドル安の勢いが続かなかったことでドル高が揺れ返す
〇ドル円、ジグザグ型の上昇トレンドを維持、3/8からの下げ幅に対する3分の2戻し135.15を試す動きか
〇133.30以上での推移中は上向きとし、134.04超えからは135円を目指す上昇期入りを想定
〇134円へ届かないか134円台序盤までの上昇にとどまり133.30を割り込む場合は弱気転換注意

【概況】

ドル円は4月5日深夜安値130.63円から切り返しに入り、4月12日には134.04円へ上昇して4月3日高値133.74円を超えて3月24日以降の高値を更新した。しかし4月12日夜の米3月CPIが大幅に鈍化したことで直前高値133.90円から132.73円へ1円を超える急落となり、13日夜には米PPIが大幅な鈍化となりインフレ鎮静化を示したことで直前高値132.37円から132.02円へ一段安した。
しかし、4月14日夜の米3月小売売上高が前月比0.8%減と悪化して輸入物価指数も0.6%低下したことで発表直後のドル安反応で132.16円へ下落したものの、米CPIとPPIの鈍化により12日夜から13日夜へ大幅下落してきた後のためにドル売りが勢い付かなかったことで当面のドル売りを消化したとして133円台回復へ反騰に転じ、ウォラーFRB理事による追加利上げ支持発言やミシガン大消費者調査における期待インフレ率の大幅上昇等を材料に米長期債利回りが連騰する中で15日未明には133.83円まで続伸した。

【米小売売上高が悪化、輸出入物価は鈍化、期待インフレ率は上昇】

米商務省による3月の小売売上高は前月比1.0%減となり、2月の0.2%減(当初の0.4%減からは上方修正)から連続での悪化となり市場予想の0.4%減を大幅に下回った。変動の大きい自動車・同部品を除くと0.8%減で予想の0.3%減を大幅に下回り、ガソリンを除くと0.6%減、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.3%減と低調だった。
米労働省による3月の輸入物価指数は前月比0.6%低下となり、2月の0.2%低下(速報の0.1%低下から下方修正)に続いてさらに鈍化し市場予想の0.1%低下を下回った。前年同月比では4.6%低下で2月の1.1%からさらに鈍化して低下率は2020年5月以来最大となった。また3月の輸出物価は前月比0.3%低下で市場予想の0.1%低下からさらに鈍化した。

21時半に発表された小売売上高の悪化と輸出入物価指数の大幅な鈍化は、金融引き締めによる景気減速感とインフレ鎮静化への動きを示すものとして発表直後に一時的なドル安反応を見せたもののドル安の勢いが続かなかったことでドル高が揺れ返すきっかけに変わったようだ。
FRBによる3月鉱工業生産は前月比0.4%上昇で2月の0.2%(速報の0.0%から上方修正)を上回り、設備稼働率は79.8%で2月の79.6%を上回った。しかし、内訳では製造業が0.5%低下(2月は1.3%上昇)で3か月振りにマイナスとなり、自動車・部品、機械、コンピューター、電子部品等が総じて低下した。

米ミシガン大による4月消費者信頼感指数は63.5となり、市場予想及び3月の62.0を上回ったが、市場が注目していた消費者の1年先期待インフレ率は4.6%となり3月の3.6%から大幅に上昇したため、ウォラーFRB理事発言と共に米小売等によるドル安を短期に消化してドル高へ揺れ返していた流れを勢い付かせた。
FRBのウォラー理事は4月14日の講演において米銀破綻による信用不安を背景に銀行の与信基準が厳格化することの影響を懸念しつつ、「与信が大幅に厳しくなれば追加利上げの必要はなくなることもあり得るが現時点ではそれほど総需要を抑制していない」とし、「インフレは高すぎ、まだやるべきことはある」と追加利上げの必要性を強調した。

【米長期債利回りは連騰】

4月14日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の3.52%となり4月13日の0.05%上昇からの連騰となった。3月2日の4.09%から4月6日に3.25%まで低下した後は戻しており、米CPIとPPIの鈍化を通過してもかえって上昇しており、次回FOMCでの0.25%利上げは回避されないとの見方で大幅下落後の持ち直しを優先している印象だ。
30年債利回りは前日比0.05%上昇の3.74%となり、4月13日の0.06%上昇から連騰した。3月2日の4.05%をピークに4月6日の3.53%まで低下してきたところから戻している。

利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.13%上昇の4.11%としたが、3月8日の5.08%から3月24日の3.56%へ大幅低下した後は下げ渋りだが4.20%に届かない範囲にとどまっている。
一方で4月14日のNYダウは前日比143.22ドル安、ナスダック総合指数は42.80ポイント安と下落した。早期の利上げ停止と年後半の利下げ議論への期待感は継続していると思われるが、5月の利下げ停止はなさそうだとみて上値が重くなった印象だが、いずれも3月半ばからの上昇基調の範囲にある。

【ドル円はジグザグ型の上昇トレンド、3月8日からの下げ幅に対する3分の2戻しを試す】

【ドル円はジグザグ型の上昇トレンド、3月8日からの下げ幅に対する3分の2戻しを試す】

FRBによる大幅利上げの可能性が後退してあと1回の利上げで打ち止めとなる可能性が高い状況は変わらないために米長期債利回りの上昇には限界もあると思われ、米経済指標を見ながら利上げ状態の継続期間が長引くのか早期の利下げ議論入りとなるのかを見極めて行くことになると思われる。米長期債利回りが再び低下する一方で、植田新体制となった日銀が金融緩和を継続しつつYCC等の修正へと徐々に進み始めれば昨年のような日米長期金利差の拡大を背景とした歴史的な円安の再開へは向かわないのだろうと思われる。
今年に入ってからのドル円は昨年10月21日天井151.94円からの大幅下落が1月16日安値127.22円でいったん落ち着き、3月8日高値137.91円まで戻したところからの反落で3月24日安値129.63円へ下げたものの1月16日安値割れを回避し、その後はジグザグの推移で戻り高値を徐々に切り上げているところだ。

3月8日高値から3月24日安値までの下げ幅8.28円に対して4月12日高値134.04円まで4.41円の戻りを入れており既に半値戻しは達成した。米CPIとPPIの鈍化によるドル安で4月13日深夜安値132.02円まで下げたところから切り返して先週を終えているが、3月24日安値129.63円、4月5日深夜安値130.63円から底上げ基調を維持しており、4月3日高値133.74円から4月12日へと高値も切り上げており、4月12日高値134.04円を超えれば緩やかなジグザグ型の上昇トレンドの継続として135円台序盤(3月8日からの下げ幅に対する3分の2戻しが135.15円)を試す可能性が出てくると思われる。
ただし、ジグザグ型での底上げ基調が崩れる場合は3月24日からの戻り一巡による下落期入りとして3月8日から3月24日にかけての下落時並みの下げへ向かう可能性があり、3月24日安値割れからは1月16日安値割れを目指すのではないかと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.00円を下値支持線、4月12日高値134.04円を上値抵抗線とする。
(2)133.30円以上での推移中は上向きとし、134.04円超えからは135円を目指す上昇期入りとして19日夜にかけての上昇を想定する。135.15円以上は反落注意とし、134.50円を超える上昇後に、直前高値から1.30円を超える反落からは下げ再開とみて直前高値から2円ないし3円規模の下げ幅を伴う下落を想定する。
(3)134円へ届かないか134円台序盤までの上昇にとどまり133.30円を割り込む場合は弱気転換注意とし、133.00円割れからは下落期入りとし132.20円から131.80円にかけての水準を試すとみる。4月13日夜安値132.02円を割り込まずに切り返す場合は3月24日以降のジグザグで底上げしてきた上昇トレンドにおける押し目形成となる可能性があるが、132.02円を割り込む場合は底上げ基調が崩れるのでその後の下落が厳しくなると考える。

【当面の主な予定】

4/17(月)
21:30 (米) 4月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (3月 -24.6、予想 -18.0)
22:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
23:00 (米) 4月 NAHB住宅市場指数 (3月 44、予想 44)
24:00 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、発言
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

4/18(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 0.0%、予想 2.1%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 2.9%、予想 3.9%)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 3.5%、予想 8.0%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 2.4%、予想 4.7%)
15:00 (英) 2月 失業率・ILO方式 (1月 3.7%、予想 3.7%)
18:00 (独) 4月 ZEW景況感 (3月 13.0、予想 15.6)
18:00 (欧) 4月 ZEW景況感調 (3月 10.0)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調済 (1月 -113億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調前 (1月 -306億ユーロ)

21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算 (2月 145.0万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 9.8%、予想 -3.5%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 152.4万件、予想 146.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 13.8%、予想 -5.8%)
26:00 (米) ボウマンFRB理事、講演

4/19(水)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 4.5%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -0.6%)
13:30 (日) 2月 設備稼働率 前月比 (1月 -5.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (2月 1.1%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 10.4%、予想 9.8%)
15:00 (英) 3月 CPIコア指数 前年同月比 (2月 6.2%、予想 6.0%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数(RPI) 前月比 (2月 1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (2月 13.8%、予想 13.3%)

17:00 (欧) 2月 経常収支・季調済 (1月 171億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 3.9%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年同月比 (1月 0.9%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP)・改定値 前年同月比 (速報 6.9%、予想 6.9%)
18:00 (欧) 3月 HICPコア指数・改定値) 前年同月比 (速報 5.7%、予想 5.7%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
25:30 (英) マン英中銀委員、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

4/20(木)
未 定 (日) 日銀支店長会議、4月地域経済報告(さくらリポート)(日銀)
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前期比 (10-12月 1.4%、予想 1.5%)
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前年同期比 (10-12月 7.2%、予想 6.9%)
08:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調前 (2月 -8977億円、予想 -1兆2408億円)
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調済 (2月 -1兆1907億円、予想 -1兆6444億円)
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 0.9%、予想 0.4%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (2月 -0.3%、予想 -0.6%)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 24.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.0万人、予想 182.7万人)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 -23.2、予想 -19.7)

23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数・年率換算 (2月 458万件、予想 450万件)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 前月比 (2月 14.5%、予想 -1.8%)
23:00 (米) 3月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (2月 -0.3%、予想 -0.6%)
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感・速報値 (3月 -19.2、予想 -18.5)
25:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
25:20 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
28:00 (米) ボウマンFRB理事、イベント参加

4/21(金)
休場 トルコ、インドネシア、ブラジル
06:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
08:01 (英) 4月 GFK消費者信頼感 (3月 -36、予想 -35)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 3.3%、予想 3.2%)
08:30 (日) 3月 CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (2月 3.1%、予想 3.1%)
08:30 (日) 3月 CPI・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (2月 3.5%、予想 3.6%)
08:45 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
15:00 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 1.2%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 -3.5%、予想 -3.0%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 1.5%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 -3.3%、予想 -3.1%)

16:30 (独) 4月 製造業PMI・速報値) (3月 44.7、予想 45.6)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 53.7、予想 53.2)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 47.3、予想 48.0)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 55.0、予想 54.5)
17:30 (英) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 47.9、予想 48.5)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 52.9、予想 53.0)
22:45 (米) 4月 製造業PMI・速報値 (3月 49.2、予想 49.0)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI・速報値 (3月 52.6、予想 51.5)
29:35 (米) クックFRB理事、講演


注:ポイント要約は編集部

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