来週の為替相場見通し:『ドル売り基調の継続を想定。来週は本邦CPIと米当局者発言に注目』(4/15朝)

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初132.13で寄り付いた後、早々に週間安値131.83まで下落しました。

来週の為替相場見通し:『ドル売り基調の継続を想定。来週は本邦CPIと米当局者発言に注目』(4/15朝)

『ドル売り基調の継続を想定。来週は本邦CPIと米当局者発言に注目』

〇今週のドル円、早々に131.83まで下落後、週央にかけ134.05まで上昇
〇日銀植田新総裁の現行政策継続方針表明、米金利上昇が背景
〇週後半にかけては米指標の不冴えと米長期金利低下に132.02まで反落
〇週末は米ミシガン大学調査の期待インフレ率大幅上方修正に133.79前後まで持ち直す
〇ユーロドル、週末にかけ年初来高値1.1076(昨年4/1以来、約1年ぶり高値圏)まで急伸
〇ドル円、上方の「雲」上限に頭を抑えられ、上昇余地乏しいか
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測がドル円の重石に
〇来週の予想レンジ(USDJPY):131.00ー135.00、(EURUSD):1.0875−1.1175

今週のレビュー(4/10−4/14)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初132.13で寄り付いた後、早々に週間安値131.83まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)氷見野日銀副総裁による「金融緩和が経済の好循環につながることを目指す」とのハト派的な発言、(3)内田日銀副総裁による「いかに工夫をこらして金融緩和を継続するかが課題」とのハト派的な発言、(4)植田日銀総裁による「政府との共同声明を直ちに見直すことはないと一致」「現行のイールドカーブコントロールを継続することが適当である」「日本では金利を大幅に上げる状況ではない」とのハト派的な発言、(5)ニューヨーク連銀による1年先期待インフレ率(4.2%→4.7%)の上方修正、(6)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「FRBがあと1回利上げに動くことは理にかなう」とのタカ派的な発言、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、週央にかけて、週間高値134.05(3/15以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。

もっとも、一目均衡表雲上限をバックに伸び悩むと、(8)米3月消費者物価指数(結果+5.0%、予想+5.1%、前回+6.0%)の伸び率鈍化や、(9)米FOMC議事要旨(3/21ー3/22開催分)にて、政策金利の据え置き(利上げの一時停止)が検討されていたことが明らかとなったこと、(10)米新規失業保険申請件数(結果23.9万件、予想23.5万件)の冴えない結果、(11)米3月生産者物価指数(結果+2.7%、予想+3.0%、前回+4.9%)の伸び率鈍化、(12)米金利低下に伴うドル売り再開が重石となり、週後半にかけて、一時132.02まで反落する場面も見られました。

但し週末にかけては、(13)米ミシガン大学による1年先期待インフレ率(結果4.6%、予想3.7%、前回3.6%)の大幅上方修正や、(14)ウォラーFRB理事による「インフレ率は依然として高すぎる」「金融政策はかなりの期間、引き締め状態が維持される必要がある」とのタカ派的な発言、(15)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4/15午前4時35分時点)では、133.79前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0901で寄り付いた後、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力(前週末金曜日に発表された米雇用統計後のドル買いの流れの継続)や、(2)イースターマンデーに伴う流動性の欠如が重石となり、早々に週間安値1.0831まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)スペイン中銀デコス総裁による「ユーロ圏のコアインフレ率は依然として高い」とのタカ派的な発言や、(4)国際通貨基金(IMF)によるユーロ圏の2023年GDP見通しの上方修正(前回1月時点の0.7%から0.8%へ上方修正)、(5)米3月消費者物価指数および米3月生産者物価指数の伸び率鈍化(米金利低下に伴うドル売り圧力)、(6)デギンドスECB副総裁による「基調インフレは予想以上に堅調」とのタカ派的な発言、

(7)オーストリア中銀ホルツマン総裁による「ECBは5月以降も大幅に利上げを続ける必要がある」とのタカ派的な発言、(8)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは次回会合で金利をさらに引き上げる可能性がある」とのタカ派的な発言、(9)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(10)ユーロ圏2月鉱工業生産(結果+2.0%、予想+1.6%)の市場予想を上回る結果、(11)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「我々はまだ行動する必要がある」とのタカ派的な発言、(12)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「コアインフレはまだ高い」「金融政策についてまだやるべきことがある」とのタカ派的な発言、(13)スロベニア中銀バスレ総裁による「基調インフレが根強いことを踏まえるとECBは利上げを継続する必要がある」とのタカ派的な発言、(14)欧州株の堅調推移、(15)米3月小売売上高の冴えない結果が支援材料となり、週末にかけて、年初来高値1.1076(昨年4/1以来、約1年ぶり高値圏)まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(16)週末を控えたポジション調整や、(17)米ミシガン大学が発表した1年先期待インフレ率(結果4.6%、予想3.7%、前回3.6%)の大幅上方修正、(18)ウォラーFRB理事による「インフレ率は依然として高すぎる」「金融政策はかなりの期間、引き締め状態が維持される必要がある」とのタカ派的な発言、(19)米金利上昇に伴うドル買い再開が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/15午前4時35分時点)では、1.0996前後で推移しております。

来週の見通し(4/17−4/21)

<ドル円相場>
ドル円は3/24に記録した直近安値129.65をボトムに反発に転じると、週央にかけて約1ヵ月ぶり高値となる134.05まで急伸しました(その後132.02まで反落するも週末にかけて133円台後半へと再び反発)。但し、アップサイドに強力なレジスタンスとして市場参加者に意識されている一目均衡表雲上限が控えていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、ここからの更なる上昇は容易ではない)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米国で広がるインフレピークアウト期待(米CPI、米PPI共に伸び率鈍化)や、(2)上記1を背景とした米FRBによる年内利下げ観測(ウォラーFRB理事は市場で燻る年内利下げ観測を牽制するも、CMEが提供するFedWatchツールによると、年内2・3回の利下げが織り込み済み)、(3)日銀による金融緩和の修正観測、(4)上記2、3を背景とした日米金融政策の方向性の違い(年内利下げ開始が織り込まれる米国と、これから引き締め方向に向かう日本との金融政策格差)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週は、本邦の3月消費者物価指数と、米当局者発言(リッチモンド連銀バーキン総裁、ボウマンFRB理事、シカゴ連銀グールズビー総裁、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、ウォラーFRB理事、クリーブランド連銀メスター総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、クックFRB理事など)に注目が集まります。本邦CPIで特にコアコアの数字(生鮮食品及びエネルギーを除くCPI)が市場予想を上回る場合には、日銀による政策修正期待(4/27ー4/28の日銀金融政策決定会合に向けての思惑主導)を通じて、円買いに繋がるシナリオが警戒されます。また、ブラックアウト期間入り直前の米当局者発言で慎重な見方が示される場合にも、米金利低下→米ドル売りの経路でドル円に下押し圧力が加わりそうです。

来週の予想レンジ(USDJPY):131.00ー135.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は3/15に記録した直近安値1.0516をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、昨年4/1以来、約1年ぶり高値となる1.1076まで急伸しました。日足・ローソク足が主要テクニカルポイントの遥か上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」の全てが成立していること、4時間足などの下位足でも買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECB当局者による相次ぐタカ派的な発言や、(2)米FRBによる年内利下げ観測の台頭(米CPI、米PPIが共に鈍化したことで米国にインフレピークアウト期待が再燃)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(年内利下げ開始を織り込む米国と、更なる利上げ余地が残されている欧州との金融政策格差)、(4)欧州経済を巡る楽観的な見方(IMFはユーロ圏の2023年経済成長率見通しを上方修正。欧州株は全面高)など、ユーロドルのアップサイドリスクを連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ高・ドル安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はドイツ4月ZEW景況感調査や、ユーロ圏4月消費者信頼感指数、ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値、ECB理事会議事要旨に加えて、ECB当局者発言(スペイン中銀デコス総裁、シュナーベルECB専務理事、イタリア中銀ビスコ総裁)に注目が集まります。欧州経済指標が市場予想を上回る場合や、ECB当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合には、ユーロドルがもう一段上値を伸ばす可能性が出てくることから、来週もアップサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(目先は昨年3/31に記録した高値1.1185を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0875−1.1175

注:ポイント要約は編集部

『ドル売り基調の継続を想定。来週は本邦CPIと米当局者発言に注目』

ドル円日足

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