ユーロドルは1.10の大台トライか
〇先週のユーロドル、弱い米国の雇用関連の経済指標を受けてのユーロ買い(ドル売り)の動き
〇週後半、イースター4連休のため積極的取引は手控えらえれ、1.09前後で方向感はっきりせずに引け
〇今後雇用関係以外の数字も含め米経済指標が弱くなると、一段の米金利低下につながり、ドル安強まる
〇米独金利差とユーロドルの相関は依然として高く、米金利低下が金利差縮小からのユーロドル上昇へ寄与
〇今週、欧州主要中銀総裁の発言次第でユーロドルが1.10の大台を再度トライする流れになるか
〇1.10を試す時にはユーロ円も同水準を試し、年初からトライしきれない145円台半ば再トライの可能性も
〇今週は1.0790レベルをサポートに、1.1000レベルをレジスタンスとする週と見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週前半はドル円とともに週明けはOPEC減産を受けてのユーロ売り(ドル買い)、その後弱い米国の雇用関連の経済指標を受けてのユーロ買い(ドル売り)の動きとなりました。週後半は金曜から月曜まで欧州市場がイースターで4連休となることから積極的な取引は手控えらえれ、1.09前後で方向感がはっきりしないまま引けました。
先週の大きな材料としては突然のOPECプラスによる減産と米国の景気後退懸念による金利低下となりますが、前者については先週も触れた通り今回の減産の影響はそれほど大きいとは考えていません。また米国の景気後退懸念はこれまでも材料としては出てきたものの、先週のように軒並み雇用関係の数字が弱いと一時期見られたタイトな状況は既に過去のものという感じがします。
また主要経済指標ではありませんが、給与水準を比較した統計では転職者の給与が下がっている傾向が見られ、転職環境が悪化していることが顕著であり、今後雇用関係以外の数字も含め全体的に米国の経済指標が弱くなる動きが見られると、一段の米金利低下につながり、ドル安が強まる可能性があります。
今週は第2週であまり重要な経済指標は無いのですが、欧州の主要中銀総裁の講演が予定されていることから、欧州の今後の引き締め度合いを測る上では参考になります。米独金利差とユーロドルとの相関は依然として高いですから、直近では米金利の低下が金利差縮小につながりユーロドルの上昇につながっていることは、次のチャートからも明らかです。
青のラインチャートが米独金利差をドイツ金利から米金利を引いて上下逆に表示したもの、ローソク足がユーロドルの日足です。先週は金利差は今年に入って最も縮小しましたが、ユーロドルは2月2日高値は超えられず、ダイバージェンスが起きていますので、今週の発言次第ではユーロドルが1.10の大台を再度トライという流れになると見られます。
テクニカルには、日足チャートをご覧ください。
ユーロドルのチャート自体は先週と大きくは変わっていませんが、前週に続いて先週も中央のラインがレジスタンスとして効いてはいるものの、今週もトライする動きとなるとラインが1.10の大台と交差してくるため、上値をトライしやすいと言えます。いっぽうで下値については、先週安値の1.0789レベルがサポートとなります。
今週は1.0790レベルをサポートに1.1000レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
久しぶりにユーロ円の日足チャートを見ておきます。
ユーロドルが1.10の大台をトライしやすい地合いであれば、ユーロ円も年初からトライしきれない145円台半ばを再度トライする可能性が出てきます。ここまでの高値は3月末の145.67レベルとなっていますが、ユーロドルが1.10を試す時にはユーロ円も同水準を試すのではないかと見ています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月10日(月)
**:** 東京、NYを除いて主要市場は休場 ☆
23:00 スペイン中銀総裁講演
4月11日(火)
08:01 英国3月小売売上高
18:00 ユーロ圏2月小売売上高
4月12日(水)
21:30 米国3月CPI ☆
22:00 英中銀総裁講演 ☆
27:15 フランス中銀総裁講演 ☆
4月13日(木)
08:01 英国3月住宅価格
15:00 ドイツ3月CPI
15:00 英国2月貿易収支、鉱工業生産
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
27:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
4月14日(金)
15:45 フランス3月CPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月3日(月)
週明けのユーロドルはOPECプラスの減産を受け東京市場ではユーロ売り・ドル買いが先行しましたが、1.07台後半で底固めの後欧州市場序盤には急速にユーロ買い戻しの動きが入りました。月末に売った向きの買い戻しと見られ、NY市場では米金利低下によるドル売りから1.0917レベルまで上昇し、若干押して引けました。
4月4日(火)
ユーロドルは前日の流れを継続しユーロが底堅い動きとなる中、欧州市場前場まではドル円とともにユーロ円の買いも強かったため前日高値を上回った後に若干押してNY入り。NY市場では米国労働省発表の求人件数が弱くドル売りの動きからユーロドルは1.0973レベルまで高値を切り上げ若干押して引けました。
4月5日(水)
ユーロドルはNY市場までは小動き、予想よりも弱いADPに反応したドル売りから一時的にユーロドルは買われたものの、ドル円とともにユーロ円でも売りが目立ったことからユーロドルは1.0891レベルへと下げ、安値圏での引けとなりました。
4月6日(木)
ユーロドルはポジション調整を見られる買い戻しの1日となりました。ユーロドルの材料よりもドル円とともにユーロ円での買いが強まった影響が大きかったようでした。
4月7日(金)
ユーロドルはNY市場まで全く動かず。若干強めの雇用統計後のドル買いの動きから1.0876レベルの安値をつけましたが、すぐに売られる前の水準へと戻す動きが入りました。引けにかけては改めてユーロ売りの動きも見られましたが、値幅も狭く欧州連休中の動きとなりました。
ディスクレーマー
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