引き続き発表される米指標などに一喜一憂か(週報4月第2週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。週の半ばに掛けて値を下げ、そののち回復したものの下げ幅のすべてを取り戻すことは出来なかった。

引き続き発表される米指標などに一喜一憂か(週報4月第2週)

引き続き発表される米指標などに一喜一憂か

〇先週のドル円、週の半ばにかけて下げ幅拡大、週間安値130.64までドル安進行
〇その後週末にかけドル買い戻し優勢、132円台まで戻す
〇クリーブランド連銀総裁「5月会合で利上げするかどうかの判断はまだ早い」と述べる
〇もっとも注目されていた週末の米雇用統計は市場予想上回り市場は好感
〇今週は3月消費者物価や同小売売上高などの重要な米経済指標に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、130.50-134.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。週の半ばに掛けて値を下げ、そののち回復したものの下げ幅のすべてを取り戻すことは出来なかった。

前週末には、OPECプラスが、5月から日量100万バレルを上回る減産を実施すると発表したことが金融市場で物議を醸す。また、実施されたフィンランド総選挙でマリン首相率いる社民党は第3党となるなど敗北を喫し、マリン氏は辞任不可避とされていた(その後実際に辞任を発表)。
そうした状況下、ドル/円は先週末のNYクローズ132.80円レベルよりもドル高、つまり下方向にギャップを空けて寄り付いた。しかしドル高は続かず、すぐにギャップを埋める展開に。さらに週の半ばにかけて下げ幅を拡大させると、週間安値の130.64円までドル安が進行している。その後、週末にかけては再びドルの買い戻しが優勢となり、132円台まで戻すも全戻しとはいかず。週末NYは132.10-20円で取引を終えて越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、週明けのISM製造業景況指数を皮切りに、発表される米経済指標は連日期待を裏切る内容に。しかもADP統計や週間ベースの新規失業保険申請件数など雇用関係指標の数字がとくに悪かった。それもあり、クリーブランド連銀総裁が「5月会合で利上げするかどうかの判断はまだ早い」と述べるなど、追加利上げについてさらにトーンダウンした感も否めず、週半ばに掛けてのドル安進行に一役買っていたようだ。しかし、もっとも注目されていた週末の米雇用統計はわずかではあるが市場予想を上回ったことを市場は好感。「米利上げ継続」との見方についても首の皮一枚繋がったようだ

対して後者は、関連する3つの話が思惑をそれぞれ呼ぶ。ひとつめは3月末にロシアが発した「ベラルーシへの戦術核兵器配備計画」表明について。国連安保理緊急公開会合が開催されるなか、ベラルーシ大統領からは、必要に応じてロシアが「戦略核」である大陸間核ミサイルを配備できるようにするといった発言も聞かれ、再度物議を醸していた。また、それとは別に北欧フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)へ正式に加盟したことにともなう、強烈な不満と対抗措置を示唆したことも話題に。ロシア外務次官からは「NATO拡大で北欧の安保は強まるどころか逆に弱くなる」といった捨てゼリフ的な発言も聞かれていたようだ。さらに、ロシアによる「スパイ容疑で米紙WSJの記者を拘束」が新たな対立の火種として、金融市場ならずとも注目されていた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は、週明け3日に133.75円まで値を上げたが続かず。テクニカルでいえば移動平均の21日線や90日線、一目均衡表では先行帯の雲の下限などをザラ場ベースで一時上抜けるも定着することが出来なかった。ドルの頭の重さを再確認、上値トライ失敗を指摘したいところだが、週末にかけてはむしろドルは戻り歩調をたどっている。今週中に上値再トライから抜けていく展開を見込む声も多いようだ。しっかり超えれば、135円方向に向けてドルはさらなる上値を試す展開となる可能性もある。

次回5月2-3日のFOMCまで1ヵ月を切ったことで、米利上げの有無が現実的なものとして市場で新たに意識され始めた。金融システム不安が後退、そして「OPECプラスの追加減産」を受けたインフレ懸念が利上げ継続を支援している反面、発表される米経済指標はやや冴えずに逆に足かせとなっている。前述したようにタカ派で知られるクリーブランド連銀総裁が「5月会合で利上げするかどうかの判断はまだ早い」と述べているところも気になる。今週も基本的には発表される米指標や発言に一喜一憂する展開か。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先でも取り上げたように移動平均の21日線や90日線の上抜けに失敗。目先ドルの頭は重そうだ。しかし、そんな移動平均の各線や一目均衡表の先行帯の雲の下限などは週間を通しておおむね132円台に位置することから、週内に再トライそして上抜けを期待する強気派も多い。攻防にまずは注目したいところだ。
それに対するドルのサポートは先週安値の130.64円。安値129.65円を起点とした上げ幅の76.4%押しにほぼ合致することで、下回ると130円割れが見えてきそう。

今週は、3月の消費者物価や同小売売上高といった非常に重要な米経済指標が発表されるほか、3月開催分のFOMC議事録要旨が公開される予定だ。そのほか、G20財務相・中銀総裁会議をはじめとする重要な国際会議も週を通して多く、一応注意をしておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、130.50-134.00円。ドル高・円安については、132円台に位置する移動平均の21日線などをめぐる攻防にまずは注目。抜ければ先週高値133.76円を目指す展開か。
対してドル安・円高方向は、131円半ばが最初のサポート。下回ると先週安値130.64円などがターゲットとなる。

引き続き発表される米指標などに一喜一憂か

ドル円日足

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