『約3週間ぶり高値圏から急落。南ア経済の減速懸念がランドの重石』(
〇今週の南ア円、週初の南ア中銀サプライズ利上げに、週明け早々に週間高値7.51まで上昇
〇買い一巡後は世界経済減速懸念、南ア指標の不冴えに一時7.17まで下落後、7.25付近に回復して越週
〇南ア円、テクニカルの地合い弱く、ファンダメンタルズも南ア経済先行き不透明感が重石に
〇引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.00ー7.40
今週のレビュー(4/3−4/7)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.47円で寄り付いた後、南アフリカ中銀による前週のサプライズ的な大幅利上げ(50bp)の余韻を背景に、週明け早々に、週間高値7.51円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(90日移動平均線や一目均衡表雲下限をバックに戻り売り圧力が強まると)、(1)石油輸出国機構(OPEC)およびロシアなど非OPEC加盟の産油国で構成されるOPECプラスによる予想外の追加減産決定(原油価格急上昇)や、(2)上記1を背景とした世界経済の減速懸念(特に新興国経済への下押し圧力が強まるとの警戒感)、(3)南ア3月製造業PMI(結果48.1、予想49.5)の市場予想を下回る結果(好不況の分岐点である50を2ヵ月連続で下回る内容)、
(4)南ア3月Naamsa自動車販売(結果▲0.6%、前回+2.6%、前年比)のマイナス転落、(5)南ア3月スタンダード銀行PMI(結果49.7、予想51.0)の冴えない結果、(6)短期筋のロスカット(南アフリカ中銀による前週の大幅利上げを受けてロングポジションを膨らませていた短期筋のストップSELL)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.17円(3/28以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/8午前1時00分現在)では、7.25円前後で推移しております。
来週の見通し(4/10−4/14)
南アフリカランドの対円相場は、3/31に記録した約3週間ぶり高値7.52円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、一時7.17円まで急落しました(前週の上げ幅を吐き出す展開)。一目均衡表雲下限や90日移動平均線がレジスタンスとして確り機能したこと(上値の重さを再確認したこと)や、日足ベースで強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」および「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、4時間足ベースで「一目均衡表三役逆転」が再点灯したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)慢性的な電力不足を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムは2023年に入ってから最長10時間にもわたる停電を毎日実施→今週発表された南ア経済指標は軒並み悪化)や、(2)南アフリカを巡る政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下→南アフリカ国内における治安悪化懸念)、(3)南アフリカ国債の格下げ懸念、(4)OPECおよびOPECプラスによる追加減産決定(原油価格上昇に伴うインフレ再開懸念)、(5)南ア中銀に金融引き締め打ち止め観測(前週3/30のサプライズ的な大幅利上げで金融引き締めサイクルが終了したとの思惑)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(目先は3/20に記録した年初来安値7.02円を試すシナリオを想定)。尚、来週は南ア3月SACCI景況感指数(4/10)や、南ア2月製造業生産高(4/11)に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.00ー7.40
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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