『対ドル・対円共に軟調推移が継続する中、トルコ中銀は資本規制の強化を発表』
〇今週のトルコ円、週明け早々6.99まで上昇後週後半にかけ6.74まで下落
〇S&Pのトルコ格付け見通しの下方修正、トルコ指標不冴え、円高進行が重石に
〇週末は雇用統計後のドル円急反発に6.86前後に持ち直す
〇トルコ経済の先行き不透明感、ドルペッグ限界論台頭の中、トルコ中銀は外貨保有に新規制導入
〇来週も「トルコリラ円=ドル円」の同調相場続くか
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.65ー7.05
今週のレビュー(4/3−4/7)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.92円で寄り付いた後、早々に週間高値6.99円まで上昇しました。しかし、心理的節目7.00円をバックに伸び悩むと、(1)格付け会社S&Pグローバルによるトルコのソブリン格付け見通しの下方修正(ステーブルからネガティブ)や、(2)トルコ3月消費者物価指数(結果+50.51%、予想+51.25%)の市場予想を下回る結果、(3)トルコ3月消費者物価コア指数(結果+47.36%、予想+47.85%)の市場予想を下回る結果、(4)対主要通貨での円買い圧力(ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値6.74円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)米3月雇用統計の良好な結果や、(6)上記5を背景としたドル円相場の急上昇(ドル円反発→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4/8午前2時00分現在)では、6.86円前後まで持ち直す動きとなっております。尚、対ドル相場は週後半にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(4/10−4/14)
トルコ政府・トルコ中銀は昨秋以降、資本規制や為替介入を通じた対ドル相場のボラティリティ抑制を講じてきましたが、足元で再び、トルコリラに対する下落圧力が強まっています。(1)トルコ経済を巡る先行き不透明感の高まり(大地震の甚大な被害→トルコ経済への中長期的な下押し圧力)や、(2)大統領選後の経済政策・金融政策の激変懸念、(3)ドルペッグ限界論の台頭(トルコ財政収支、トルコ経常収支、トルコ貿易収支が軒並み過去最大規模の赤字を記録。外貨準備も減少基調が継続。強引な資本規制や為替介入に伴う副作用が顕在化しつつある状況)がリラ売り再開の背景と考えられます(事実、HSBCやモルガンスタンレーなど大手金融機関は、大統領選後のトルコリラ急落を予想)。こうした状況を受けて、トルコ中銀は4/7に、「リラ化」戦略の一環として規制強化(トルコの商業銀行が外貨を保有することを阻止する措置の強化)を打ち出しております。
具体的には、預金総額に占めるリラ建て預金の割合が60%を下回る商業銀行に対して、(a)預金準備率の25%から30%への引き上げと、(b)リラ建て国債の追加購入義務の2%から7%への引き上げが官報によって示されました。外貨保有に事実上の罰則を与えることで、リラ売りを阻止する狙いが確認されます。この結果、対ドルでのトルコリラ安定化はもう暫く続く公算が大きく(少なくとも5/14に予定されている大統領選までは続くとの見方が市場コンセンサス)、来週も「トルコリラ円=ドル円」の同調相場が続きそうです(対ドルでのトルコリラがある程度ペッグされているため、トルコリラ円の動きはドル円にシンクロ)。当方はドル円相場の下落をメインシナリオとして予測していることから、来週のトルコリラ円相場も軟調推移が続くと予想いたします。尚、来週はトルコ2月経常収支や、トルコ2月雇用統計、トルコ2月鉱工業生産などが予定されております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.65ー7.05
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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