来週の為替相場見通し:『植田日銀新総裁による発言や米国のインフレ指標に注目』(4/8朝)

米3月失業率の良好な結果、ブレイナード国家経済委員長による「米3月雇用統計は非常に素晴らしい」との発言に、132.25前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の為替相場見通し:『植田日銀新総裁による発言や米国のインフレ指標に注目』(4/8朝)

『植田日銀新総裁による発言や米国のインフレ指標に注目』

〇ドル円、原油価格の上昇等に週明け133.76まで上昇後相次ぐ米指標の不冴えに週央130.63まで急落
〇週末にかけては自律反発の動きや米雇用統計での失業率低下等に132円台前半に持ち直す
〇ユーロドル米長期金利低下や欧州指標の好調に1.0974まで上昇するも週末にかけ1.09近辺に失速
〇ドル円、主要テクニカルポイント下抜け強い売りシグナルも成立中、地合い弱い
〇ファンダメンタルズもFRB年内利下げ観測台頭する等ドル円続落材料揃う
〇ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週は4/9に就任する植田日銀新総裁による就任会見要注目
〇来週の予想レンジ(USDJPY):130.00ー134.00、(EURUSD):1.0750−1.1050

今週のレビュー(4/3−4/7)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初132.99で寄り付いた後、(1)アジア株の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)原油先物価格の急上昇(OPECおよびOPECプラスの7カ国が4/2に5月から年末までの追加減産をサプライズ表明)、(3)上記2を背景としたインフレ懸念の再浮上、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、週明け早々に、週間高値133.76まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)米3月ISM製造業景況指数(結果46.3、予想47.5)の市場予想を下回る結果や、(6)日銀短観における想定為替レートの円高設定(131.72)、(7)米2月JOLTS雇用動態調査(結果993.1万件、予想1040.0万件)の冴えない結果(2021年5月以来の1000万件の大台割れ)、(8)米3月ADP全米雇用報告(結果14.5万人増、予想20.0万人増)の市場予想を下回る結果、(9)米3月ISM非製造業景況指数(結果51.2、予想54.5)の市場予想を下回る結果、

(10)米地銀ウエスタン・アライアンスの第1四半期の総預金額の大幅減少(12月末時点の536億ドルから476億ドルへと大幅減少→米地銀を巡る信用不安再燃)、(11)米金利低下に伴うドル売り圧力、(12)米主要株価指数の急反落が重石となり、週央にかけて、週間安値130.63まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(13)急ピッチな下落に対する自律反発(イースター休暇を控えたポジション調整)や、(14)セントルイス連銀ブラード総裁による「インフレ率は低下したものの依然として高すぎる」とのタカ派的な発言、(15)米3月失業率(結果3.5%、予想3.6%)の良好な結果、(16)ブレイナード国家経済委員会(NEC)委員長による「米3月雇用統計は非常に素晴らしい」とのポジティブ発言が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4/8午前3時00分時点)では、132.25前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0847で寄り付いた後、週明け早々に、週間安値1.0788まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)原油先物価格の急上昇(OPECおよびOPECプラスによるサプライズ的な追加減産発表)や、(2)上記1を背景としたユーロ圏のインフレ懸念再浮上(欧州債利回り上昇→ユーロ買い)、(3)オーストリア中銀ホルツマン総裁による「5月ECB理事会での50bp利上げの選択肢は残されている」とのタカ派的な発言、(4)ドイツ3月製造業PMI(結果44.7、予想44.4)の市場予想を上回る結果、(5)ユーロ圏3月製造業PMI(結果47.3、予想47.1)の市場予想を上回る結果、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(8)欧州株の堅調推移、(9)5つの経済研究所によるドイツ経済の楽観的な見通し(2023年のドイツGDP予測を昨秋に公表した▲0.4%から+0.3%へ上方修正)が支援材料となり、翌4/4にかけて、週間高値1.0974まで急伸しました。

もっとも、心理的節目1.1000をバックに伸び悩むと、(10)フランス3月非製造業PMI(結果53.9、予想55.5)の市場予想を下回る結果や、(11)ドイツ3月非製造業PMI(結果53.7、予想53.9)の市場予想を下回る結果、(12)ユーロ圏3月非製造業PMI(結果55.0、予想55.6)の市場予想を下回る結果、(14)欧州株の急反落、(15)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力(欧州経済の先行き不透明感→ECBによる金融引き締め打ち止め観測台頭)、(16)米雇用統計の良好な結果、(17)イースター休暇を控えたポジション調整が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/8午前3時00分時点)では、1.0908前後で推移しております。

来週の見通し(4/10−4/14)

<ドル円相場>
ドル円は週明け4/3に記録した約2週間ぶり高値133.76(3/17以来の高値圏)をトップに反落に転じると、週央にかけて一時130.63まで急落しました。この間、主要テクニカルポイント(一目均衡表雲上下限、21日移動平均線、90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「弱い」と判断できます(良好な米3月雇用統計を材料に週末にかけて持ち直すも、アップサイドに複数のレジスタンスポイントが並んでいること等を踏まえると、ここからの更なる上昇は容易ではなく、一巡後の反落リスクに要警戒)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる年内利下げ観測の台頭(CMEが提供するFedウォッチツールによると、市場参加者は5月に25bpの利上げを実施したあと、7月、11月、12月に各々25bpずつ計3回の利下げに踏み切ると予測)や、(2)日銀による金融緩和の修正期待(4/27ー4/28に予定されている植田総裁最初の会合でのサプライズ修正を巡る警戒感)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い、(4)円キャリートレード解消の思惑(IMM通貨先物市場で投機筋のネットショートが高水準を記録→アンワインド時のインパクトが大きくなるリスクあり)など、ドル円相場の続落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は4/9に就任する植田日銀新総裁による就任会見や岸田首相との面会内容、米3月消費者物価指数、米3月小売売上高、米4月ミシガン大消費者信頼感指数のインフレ期待値に注目が集まります。植田日銀総裁より政策修正を滲ませるハト派的な発言が出てくる場合(月末の日銀会合での政策修正期待→円金利上昇→円買い)や、米国のインフレ指標で伸び率鈍化が示される場合(米FRBによる利下げ観測→米金利低下→米ドル売り)、米小売売上高で米経済の減速が示される場合(米株下落→リスク回避の円買い)などには、ドル円に強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週は週を通して、ドル円のダウンサイドリスクに警戒が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):130.00ー134.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は3/15に記録した直近安値1.0516をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、2/2以来、約2ヵ月ぶり高値となる1.0974まで急伸しました。日足・ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していること(ダウンサイドに複数の押し目買いポイントが並んでいること)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECB当局者による相次ぐタカ派発言や、(2)米FRBによる年内利下げ観測)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(利下げをも織り込む米国と、利上げ余地が残されている欧州との金融政策格差)など、ユーロドルのアップサイドリスクを連想させる材料が揃っています(OPECおよびOPECプラスによる追加減産発表に端を発した原油先物価格の上昇も、ユーロ圏におけるインフレ懸念台頭やそれに伴うECBによる追加利上げ観測を通じてユーロドルを下支え)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(目先は心理的節目1.0000や、2/2に記録した年初来高値1.1034を試すシナリオを想定)。尚、来週はユーロ圏2月小売売上高や、ユーロ圏2月鉱工業生産、ECB当局者発言(スペイン中銀デコス総裁、デギンドスECB副総裁、スペイン中銀デコス総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁など)に注目が集まる他、IMF・世銀春季総会におけるラガルドECB総裁発言などに注目が集まりそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0750−1.1050

注:ポイント要約は編集部

『植田日銀新総裁による発言や米国のインフレ指標に注目』

ドル円日足

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