トルコリラ円見通し 米求人数大幅減少でドル円が急落、トルコリラ円も6.80円割れを試す(23/4/5)

トルコリラ円の4月4日は概ね6.93円から6.83円の取引レンジ、5日早朝の終値は6.84円で前日終値の6.89円から0.05円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 米求人数大幅減少でドル円が急落、トルコリラ円も6.80円割れを試す(23/4/5)

米求人数大幅減少でドル円が急落、トルコリラ円も6.80円割れを試す

〇トルコリラ円、4日深夜からのドル円の急落を見て5日未明には6.83まで下落
〇対ドル、4日終値で19.20リラをつけて終値ベースでの最安値を更新
〇3月トルコ貿易赤字は減少だが、3か月平均での推移を見れば過去最高水準の赤字状況変わらず
〇対ドルのリラ安基調と円高の両面からの圧力でダブル底への余裕乏しく、底割れへの懸念拭えず
〇6.88以下での推移中は一段安余地ありとし、6.82割れからは6.80、6.78を順次試す下落を想定
〇6.88から6.90にかけての水準では戻り売りにつかまりやすいと見る

【概況】

トルコリラ円の4月4日は概ね6.93円から6.83円の取引レンジ、5日早朝の終値は6.84円で前日終値の6.89円から0.05円の円高リラ安だった。ベンダーによっては6.78円の安値をつけて終値を6.79円としている。
トルコリラ円はドル高リラ安を気にしながらドル円の騰落を追いかけているが、ドル円は4月4日夜の米2月JOLTS求人数が予想外に大幅減少したことや米製造業受注の2か月連続悪化による米長期債利回り低下とドル安により直前高値133.16円から5日未明に131.51円へ急落、5日午前序盤には131円台序盤へ続落している。
トルコリラ円は4月3日午後に6.97円をつけて3月24日安値6.74円以降の高値を更新したところからドル円を追いかけて下落に転じ、4日午前安値で6.88円まで下げてから夜に6.93円まで戻していたものの、4日深夜からのドル円の急落を見て5日未明には6.83円まで下落した。

為替市場ではユーロやポンドが一段高しており、ドル全面安の様相となっているため、今夜の米ADP民間雇用やISMサービス業景況指数、7日夜の米労働省雇用統計の内容次第ではドル安がさらに勢い付き、ドル円の下落と共にトルコリラ円も下げ足を速める可能性があると注意する。

【対ドルでは終値ベースで最安値更新続く】

ドル/トルコリラの4月4日は概ね19.23リラから19.17リラの取引レンジ、5日早朝の終値は19.20リラで前日終値の19.17リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
手元のデータでは3月24日に19.25リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新してからは新たな安値更新へ進んでいないが、ベンダーによっては4月4日安値で19.42リラの安値提示も見られる。終値べースでは4月3日の19.17リラが最安値だったが4日終値で19.20リラをつけて最安値を更新しており、ベンダーによっては終値で19.22リラをつけている。
ドル/トルコリラの提示レートはベンダーによって大きなブレもあり、少数出来高で一時的な急伸急落も繰り返し発生しているが、終値ベース及び日々の取引中心レートは年明けから徐々に加速し、2月6日のトルコ南部大地震発生や2月23日のトルコ中銀による利下げ、貿易赤字と経常赤字の拡大、財政収支の悪化等にり3月以降はさらに勢い付いている。

5月14日のトルコ大統領選挙も徐々に近づくが、野党統一候補が勝てば金融経済政策の大転換となる可能性、エルドアン大統領再選なら高インフレ進行中に利下げを強行する非通説的経済運営による一層の混乱が懸念されるため、どちらが勝利しても先行き不透明感でリラ売りが今にも増して勢い付き1ドル20リラ台へ向かう可能性もあるのではないかと懸念されている。

【3月のトルコ貿易赤字は減少】

トルコ貿易省による通関ベースの貿易統計速報では、3月の貿易収支は85.7億ドルの赤字となり、赤字額は2月の122.2億ドルから減少した。輸入は322億ドルで2月の308億ドルから増加する一方、輸出は236億ドルで2月の186億ドルから増加したため、輸出の増加が勝って赤字が減少したようだ。
輸出の増加についてはロシア向け輸出が前年同月比で262%増と大幅増加したことが寄与したとされるが、昨年2月末のロシアによるウクライナ侵攻による混乱で昨年3月に輸出が急減したことの反動と思われるが、そうした混乱が収まっていることと、2月6日のトルコ南部大地震による影響が3月はさほど見られないということを示しているようだ。
しかし昨年1月以降の貿易赤字は最大で142.5億ドル、最低で61.5億ドルであり、3か月平均での推移を見れば過去最高水準の赤字状況にあることには変わりない。今後は欧米の景気減速等の影響で輸出が停滞する一方でリラ安による輸入の増加で赤字の悪化が懸念される。

【1月16日と3月24日のダブル底への余裕乏しい】

トルコリラ円は1月16日安値で6.74円をつけたところから3月8日高値7.29円まで上昇し、3月10日の米銀破綻報道をきっかけとした信用不安による円高で3月24日安値で6.74円をつけて1月16日安値と同値とした。その後はやや持ち直していたものの7円には届かず、ドル円の下落再開によりダブル底ラインを維持できるのかどうか試されつつある。
ダブル底ラインから転落する場合は、昨年の1月31日から3月11日への下落時や、4月28日高値から8月2日安値への凡そ3か月間に及んだ下落時、10月21日安値から今年1月16日安値まで凡そ3か月間の下落時と同様の規模で3月8日高値からの下落基調が発展してゆく可能性がある。

米銀破綻をきっかけとした信用不安は経営危機に陥ったクレディ・スイスや破綻したシリコンバレー銀の買収救済によりひとまず落ち着いているものの、金融機関の与信条件は厳しくなり慎重な融資姿勢へ進めば金融引き締めと同じような景気への悪影響をもたらすと思われ、経済のファンダメンタルズの不良な新興国向けの投資も腰が引き気味となることも懸念されるのでドル/トルコリラでのリラ安基調が続き、米長期債利回り低下とリスク回避的な円買いによるドル円の下落基調も続きやすく、リラ安と円高の両面からの圧力によりダブル底割れへの懸念が拭えない状況と考える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月29日未明安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして31日未明から4月4日未明にかけての間への上昇を想定してきたが、4月4日午前時点では3月31日夕と4月3日午後の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとすれば4月6日未明から8日未明にかけての間への下落余地があるとした。
4月4日夜に急落し、5日午前も続落しているのでさらに安値試しを続けやすいとみる。強気転換には6.90円を超える反騰ないしは直前安値から0.50円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4月3日深夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、4月4日夜の反発では共に好転できずに一段安しており、5日午前も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが先行スパンが上値抵抗帯となりやすいとみて、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが再び悪化するところから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は4月4日深夜の急落で30ポイントを割り込み、その後も40ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイントを超える反騰が必要と思われるが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.82円を下値支持線、6.88円を上値抵抗線とする。
(2)6.88円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.82円割れからは6.80円、6.78円を順次試す下落を想定する。6.78円以下は反騰注意とするが、6.85円を下回っての推移か直前安値から0.50円を超える反騰が見られないうちは6日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.88円から6.90円にかけての水準では戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月5日
 20:30 週次 外貨準備高 3月31日時点 グロス(3月24日時点 713.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月31日時点 ネット(3月24日時点 189.3億ドル)
4月7日
 23:00 3月 財務省現金残 前月比 (2月 -1714.8億リラ)
4月10日
 16:00 2月 失業率 (1月 9.7%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -98.49億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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