トルコリラ円見通し 円高に押され7円に届かずに失速、ドル円を追いかける
〇トルコリラ円、4/3ドル円上昇局面で 6.97をつけて3/24安値以降の高値を更新
〇夕刻からドル円失速、ドル円が132円台序盤へ一段安した局面でトルコリラ円は6.88へ下落
〇対ドル、4/3は概ね19.21から19.00の取引レンジ、終値ベースで最安値を僅かに更新
〇昨日発表のトルコ3月CPIは低下、鈍化傾向続く
〇6.93以下での推移中は一段安余地ありとし、6.88割れからは6.85前後への下落を想定する
〇6.93超えからは反騰継続とみて、6.95を目指す上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の4月3日は概ね6.97円から6.88円の取引レンジ、4日早朝の終値は6.89円で先週末終値6.92円から0.03円の円高リラ安となった。
4月3日早朝にOPECプラスによる予想外の追加減産が報じられたことで円売りとなりドル円が午後にかけて上昇したため、トルコリラ円は6.97円をつけて3月24日安値6.74円以降の高値を更新したが、夕刻からユーロやポンドが反騰入りしたことでドル安感が強まったためにドル円が失速するとトルコリラ円もつれ安となり、3日夜の米ISM製造業景況指数が予想を下回ったことでドル円が132円台序盤へ一段安した局面でトルコリラ円は6.88円へ下落した。
4月4日午前序盤にはドル円の続落に合わせてわずかに安値を更新したが、その後はドル円の反発を見て6.90円台を回復している。
米銀破綻を発端とした信用不安によるリスク回避型の円高が一巡したことで3月24日からドル円と共にトルコリラ円も上昇基調で推移してきたが、米長期債利回りが再び低下してきたことでドル安感が強まっており、リスク選好型の円安が一巡して日米金利差を意識した円高へと風向きが変わってきている印象のため、トルコリラ円もドル円の下落を追いかけやすい局面と思われる。
【対ドルでは終値ベースで最安値を僅かに更新】
ドル/トルコリラの4月3日は概ね19.21リラから19.00リラの取引レンジ、4日早朝の終値は19.17リラで先週末終値の19.16リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
4月3日午後から深夜にかけてはユーロやポンドが反騰入りし、米ISM製造業景況指数の悪化による米長期債利回りの低下でドル安感が強まったが、トルコリラは中長期的なリラ安を優先する展開だった。
4月3日夕刻のトルコ3月CPI等の発表ではややリラ売りが見られたものの予想を下回ったために限定的なものにとどまった。
中長期的なリラ安基調が続いているが、徐々にリラ安が勢い付いており、手元のデータでは3月24日に19.25リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは3月30日終値で19.17リラをつけて終値ベースの最安値を更新していたが、4月3日終値は小数点下四桁では19.1749リラで3月30日の19.1676リラを超えて最安値を若干更新している。
【トルコの3月CPIは鈍化傾向続く】
4月3日に発表されたトルコの3月消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比2.29%となり2月の3.15%から低下して市場予想の2.85%を下回った。前年同月比は50.51%となり2月の55.18%から低下して市場予想の51.33%も下回った。
コア指数の上昇率は前月比2.2%で2月の2.1%をわずかに上回り、前年同月比は47.4%で2月の50.6%から伸びが鈍化した。
生産者物価指数(PPI)の上昇率は前月比0.44%で2月の1.56%から鈍化し、前年同月比も62.45%で2月の76.61%から鈍化した。
欧米のインフレ進行がピークアウトして鈍化傾向を示し、NY原油期近も3月20日には64.12ドルまで下落して昨年3月高値130.50ドル以降の安値を更新したこともあり、トルコの高インフレも伸びが鈍化している。しかし主要先進国と比較すれば異常な高水準にあることは変わらず、リラ安が続いていることによる通貨インフレの基調は変わらない状況だ。
消費者物価上昇率の前年同月比では、生活用品が53.35%、家賃が56.12%、食品飲料品が67.89%、レストランやホテルが70.73%と平均値を上回っている。
2月6日のトルコ南部大地震による人手不足と物不足の影響も今後は顕著になる可能性があること、5月の大統領選挙を控えて先行き不透明感からリラ安がさらに進行する懸念もあるため、インフレの鈍化傾向が正常化を期待させる程に改善してゆくとは考え難い状況だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月29日夜に3月28日未明高値を上抜き返したために30日午前時点では29日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして31日未明から4月4日未明にかけての間への上昇を想定した。
4月3日午後へ高値を切り上げたものの深夜へ急落したため、4月3日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は3月29日未明安値を基準とすれば現状から4月5日未明にかけての間と想定されるが、3月31日夕と4月3日午後の両高値をダブルトップとした場合は6日未明から8日未明にかけての間へと延びる可能性もあると思われる。このため6.93円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは安値試しが続きやすいと考え、6.93円超えからは強気サイクル入りとして6日午後から10日午後にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では4月3日深夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが先行スパンが上値抵抗帯となりやすいとみて、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが再び悪化するところから下げ再開とする。
60分足の相対力指数は4月3日夜の下落で30ポイント台へ低下してから戻しているが、50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。ただし55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入る場合は上昇再開とみて60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.88円を下値支持線、6.93円を上値抵抗線とする。
(2)6.93円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.88円割れからは6.85円前後への下落を想定する。6.85円以下は反騰注意とするが、6.93円以下での推移か直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは5日午前にかけて安値試しを続けやすいとみる。
(3)6.92円から6.93円では戻り売りにつかまりやすいとみるが、6.93円超えからは反騰継続とみて6.95円を目指す上昇を想定する。
【当面の主な予定】
4月6日
20:30 週次 外貨準備高 3月31日時点 グロス(3月24日時点 713.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月31日時点 ネット(3月24日時点 189.3億ドル)
4月7日
23:00 3月 財務省現金残 前月比 (2月 -1714.8億リラ)
4月10日
16:00 2月 失業率 (1月 9.7%)
16:00 2月 経常収支 (1月 -98.49億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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