ドル円見通し 3月8日からの下げ幅に対する半値戻し手前で失速(23/4/4)

信用不安後退によるリスク選好感が優先しての円安ドル高が一巡した印象だ。

ドル円見通し 3月8日からの下げ幅に対する半値戻し手前で失速(23/4/4)

ドル円見通し 3月8日からの下げ幅に対する半値戻し手前で失速

〇ドル円、OPECプラスの追加協調減産報道をきっかけとしたドル買い円売りで4/3午後133.74をつける
〇夕刻からドル安感強まり133円割れ、経済指数悪化を受け米長期債利回り低下、132.17へ下落
〇3/8高値137.91から3/24安値129.63までの下げ幅に対する半値戻しの133.77に、一歩届かず失速
〇昨日発表のISM製造業景況指数は悪化し凡そ3年ぶりの低水準、米長期債利回り低下とドル安を招く
〇米長期債利回りは続落、OPECプラスの追加減産により原油関連株上昇等を背景にNYダウは4連騰
〇132.70以下での推移中は下向きとし、132円割れからは131円前後への下落を想定する
〇132.70から133.00手前にかけての水準は、戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

ドル円は4月3日早朝のOPECプラスによる追加協調減産報道をきっかけとしたドル買い円売りにより3月31日高値133.57円を超えて午後には133.74円をつけたが、夕刻からはユーロやポンドが反騰入りしてドル安感が強まったことで133円割れへ失速、ISM製造業景況指数が予想を下回り米長期債利回りが低下したために132.17円へ下落した。
ロシア等を加えたOPECプラスは昨年11月から日量200万バレルの協調減産を実施してきたが、116万バレルの追加減産を決定し、協調減産は366万バレルに拡大した。事前情報が無かったことでサプライズ感を招いたことでNY原油が急伸したが、原油高が日本経済にはマイナスとして円安反応が見られた。

ISM製造業景況指数悪化により続落した後は4月4日早朝にかけて132円台序盤での推移で下げ渋っていたものの8時台には深夜安値を割り込んでおり132円台を維持できるかどうかを試している。
3月8日高値137.91円から3月24日安値129.63円までの下げ幅8.28円に対する半値戻しとなる133.77円に一歩届かずに失速しており、信用不安後退によるリスク選好感が優先しての円安ドル高が一巡した印象だ。
3月24日からの上昇幅4.11円に対する3分の1押しラインの132.37円を割り込んでいるが、半値押しは131.68円、3分の2押しは131.00円にある。

【ISM製造業景況指数は悪化】

4月3日夜に発表された米サプライ管理協会(ISM)による3月製造業景況指数は46.3となり、2月の47.7から悪化して市場予想の47.5を下回った。5か月連続で好不況の分岐点である50を割り込み凡そ3年ぶりの低水準となった。米FRBの金融引き締めによる景気減速に加えて3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安も影響していると思われるが、米景況感の悪化は信用不安への懸念が残っていることも踏まえ、FRBの利上げがあと1回で終了して利上げ継続期間も短縮されるのではないかと受け止められて米長期債利回り低下とドル安を招いた。
S&Pグローバルによる3月の米製造業PMI改定値が49.2となり、速報の49.3からわずかに下方修正されたが、3日夕刻に発表されたユーロ圏の3月製造業PMI改定値が速報の47.1から47.3へ上方修正され、ドイツの製造業PMIも速報の44.4から44.7へ上方修正されたこととの対比もありユーロ高ドル安要因となった。

【米長期債利回りは週末から続落、NYダウは4連騰】

4月3日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.05%低下の3.42%で3月29日からは4営業日の続落となった。米銀破綻をきっかけとした信用不安による債券買い・利回り低下で3月24日に3.29%まで低下してから信用不安後退によるリバウンドで3.61%まで戻していたところから失速しており、4月3日は米ISM製造業景況指数の悪化で続落となった。30年債利回りは先週末比0.02%低下の3.63%で4営業日続落、利上げに敏感な2年債利回りは先週末比0.06%低下の3.97%で3月31日からの続落となった。
一方でNYダウは先週末比327.00ドル高と上昇して3月29日から4連騰となった。OPECプラスによる追加減産に決定によりNY原油が急伸し原油関連株が上昇したことと米長期債利回り低下が連騰に寄与した。ナスダック総合指数は先週末比32.46ポイント安と小幅下落したのは12000ポイント台へ到達したことでの高値警戒感もあると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月24日安値129.63円からの上昇が4月3日午後高値133.74円で一巡して調整安に入っている印象だ。4月24日安値に対する押し目形成にとどまるか、底割れへ進むのか試されるところだが、今週末の米雇用統計へ向けて米経済指標の発表も相次ぐため、弱めの数字が続くようだとFRBにより利上げ継続期間の短縮が連想されてドル安円高へと進みやすくなると思われる。
133円台を回復する場合は上昇再開から一段高へと進む可能性も出てくると思われるが、133円以下での推移中は下向きとして4月7日夜にかけて安値試しを続けやすいとみる。

60分足の一目均衡表では4月3日深夜への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。133円前後には先行スパンがあるので戻りが抑えられやすいとみる。現時点から強気転換には両スパンそろっての好転が必要と思われる。

60分足の相対力指数は3月30日から4月3日にかけての高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られて失速している。50ポイント以下での推移中は20ポイント前後への低下を伴う下落余地ありとし、強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、132.00円を下値支持線、132.70円を上値抵抗線とする。
(2)132.70円以下での推移中は下向きとし、132円割れからは131円前後への下落を想定する。131円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は130円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)132.70円から133.00円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみるが、133円超えから続伸する場合は上昇再開の可能性ありとして4月3日高値133.74円試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

4/4(火)
G7貿易相会合
休場 台湾
13:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 3.60%、予想 3.60%)
15:00 (独) 2月 貿易収支 (1月 167億ユーロ、予想 170億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (1月 -2.8%、予想 -0.3%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (1月 15.0%、予想 13.3%)
18:15 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -1.6%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 2月 雇用動態調査(JOLTS)求人件数 (1月 1082.4万件、予想 1040.0万件)
25:30 (英) ピル英中銀理事、講演

4/5(水)
休場 中国、香港、台湾
07:15 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 4.75%、予想 5.00%)
11:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 1.0%、予想 0.5%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -10.9%、予想 -9.5%)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 53.9、予想 53.9)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 55.6、予想 55.6)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 52.8、予想 52.8)
18:15 (英) テンレイロ英中銀委員、講演

21:15 (米) 3月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (2月 24.2万人、予想 21.0万人)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -683億ドル、予想 -685億ドル)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 53.8、予想 53.8)
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 55.1、予想 54.5)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計



注:ポイント要約は編集部

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