ドル円見通し 米求人数の大幅減少でドル安、3月24日以降の上昇トレンドから転落(23/4/5)

ドル円は米JOLTS求人数が予想外に大幅減少して市場予想を下回ったことをきっかけに、5日午前序盤には131円台前半に続落している。

ドル円見通し 米求人数の大幅減少でドル安、3月24日以降の上昇トレンドから転落(23/4/5)

米求人数の大幅減少でドル安、3月24日以降の上昇トレンドから転落

〇ドル円、4/4夜の米求人数や製造業受注が予想を下回り、米長期債利回り下落、132円を割り込む
〇経済指標鈍化傾向に加え労働市場冷え込みも浮上、ドル安感強まり4/5午前序盤は131円台前半に続落
〇2月雇用動態調査、非農業部門求人数が市場予想を大幅に下回り2か月連続減少2021年5月以来の低水準
〇米10年債利回り5営業日続落、米長期債利回りの低下傾向が顕著。NYダウは4連騰から反落
〇132.00から132.20にかけて戻り売りにつかまりやすい。132.20超えは132.50前後試しを想定
〇132円以下での推移中は下向きとし、131円割れからは130円台前半への下落を想定

【概況】

ドル円は米JOLTS求人数が予想外に大幅減少して市場予想を下回ったことをきっかけに4日夜高値133.16円から5日未明安値131.51円へ急落、5日午前序盤には131円台前半に続落している。
4月3日午後に133.74円をつけて3月24日安値129.63円以降の高値としたが、米ISM製造業景況指数の悪化や米長期債利回りの低下によるドル安で4日午前には132.14円へ失速していた。4日夜にかけては米長期債利回りがやや上昇した局面で133円台回復まで戻していたが、4日夜の米JOLTS求人数や製造業受注が予想を下回ったことをきっかけに米長期債利回りが下落に転じたために132円を割り込んだ。

3月24日安値と3月28日夜安値及び4月4日午前安値はほぼ1直線で60分足レベルの上昇トレンドの下値支持線を形成していたが、4月4日夜の急落でこの下値支持線を割り込んでおり、上昇一巡による下落再開感が強まっている。米経済指標の鈍化傾向に加えて労働市場が冷え込み始めた可能性も浮上したことでドル安感が強まっているが、今夜の米ADP民間雇用報告やISMサービス業景況指数、7日の米3月雇用統計が弱い数字になるようだと米長期債利回りが一段と低下してドル安が加速し、ドル円の下落感も強まる可能性があると注意したい。

【2月の米求人数が予想外の大幅減少】

4月4日夜に発表された2月雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門求人数が前月比63万2000件減の993万1000件となり、市場予想の1040万件を大幅に下回った。2か月連続の減少で2021年5月以来凡そ2年ぶりの低水準となった。採用数は616.3万人で1月の632.7万人から減少、求人率は6.0%で1月の6.4%から低下しており、労働市場の冷え込み感が意識されたが、2月の統計であることを踏まえれば米銀破綻をきっかけとした信用不安の影響により3月の統計も悪化傾向となるのではないかと思われる。

米商務省による2月の米製造業受注は前月比0.7%減で市場予想の0.5%減を下回り、1月の2.1%減から2か月連続のマイナスとなった。輸送関連を除くと0.3%減、国防関連を除くと0.5%減だった。
これらの発表を受け、米金利先物市場では5月2-3日の次回FOMCにおける0.25%利上げの予想確率が4月3日時点の59.7%から43.7%へと低下した。今後の主要統計も芳しくない内容の場合にはあと1回とされている利上げも見送られ、利上げ継続期間も短縮されるのではないかと市場は考え始めているようだ。
クリーブランド連銀のメスター総裁は「インフレ期待をしっかり固定するためには5%を上回る水準へ政策金利を引き上げることが望ましい」と述べたが、米銀破綻からの信用不安については「緩和されたものの銀行の与信基準が一段と厳格化する可能性がある」と懸念を示した。

【米長期債利回りは続落、NYダウは4連騰から反落】

4月4日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%低下の3.34%、30年債利回りは0.03%低下の3.60%、利上げに敏感な2年債利回りは0.13%低下の3.84%となった。
10年債利回りは米銀破綻からの信用不安による債券買い・利回り低下により3月24日に3.29%へ低下したところから不安後退により3月29日に3.61%まで戻していたが、29日から4月4日まで5営業日続落となった。
30年債利回りも3月29日に3.82%をつけたところから5営業日連続の低下、2年債利回りは3月31日に4.17%まで戻した当日から3営業日続落となった。米長期債利回りの低下傾向が顕著となりドル安感が強まってきている。
一方で4月4日のNYダウは前日比198.77ドル安と5営業日ぶりに反落、ナスダック総合指数も63.12ポイント安と続落した。ダウは米信用不安後退による利上げ期間短縮期待から連騰してきたが、4日は米求人数の予想外の減少と製造業受注の悪化を見て利上げ期間短縮期待よりも景気悪化への懸念が勝ったようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月24日安値129.63円からの上昇が一巡して4月3日午後高値133.74円から下落に転じている印象だ。4月4日午前安値132.14円から4日夜高値133.16円まで1円を超える反発を入れてから一段安しているため、4月11日にかけて安値試しを続けやすいとみる。今夜の米ADPやISM統計を通過して続落の場合は7日夜の米雇用統計へ向けてさらに安値試しへ向かいやすいと注意する。強気転換には132.50円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4月3日深夜への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、4月4日夜の反発では両スパン共に好転できずに一段安しているため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが、その際は先行スパンが上値抵抗帯になりやすく、その後に遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は4月4日深夜の急落で30ポイントへ低下、その後も40ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとみる。相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とするが、50ポイントを超えないうちは戻り売りから一段安へ進みやすいと警戒される。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、131.00円を下値支持線、132.20円を上値抵抗線とする。
(2)132円から132.20円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。132.20円超えの場合は132.50円前後試しを想定するがその後の反落注意とする。
(3)132円以下での推移中は下向きとし、131円割れからは130円台前半への下落を想定する。131.50円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は130円前後試しへ目先の下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

4/5(水)
休場 中国、香港、台湾
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 4.75%、予想 5.00%)
11:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 1.0%、予想 0.3%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -10.9%、予想 -9.3%)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 53.9、予想 53.9)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 55.6、予想 55.6)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 52.8、予想 52.8)
18:15 (英) テンレイロ英中銀委員、講演

21:15 (米) 3月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (2月 24.2万人、予想 20.0万人)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -683億ドル、予想 -690億ドル)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 53.8、予想 53.8)
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 55.1、予想 54.5)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計

4/6(木)
ロシア外相、トルコ訪問(4/7まで)
休場 ノルウェー、メキシコ、タイ、フィリピン
10:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 116.88億豪ドル、予想 112.23億豪ドル)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 55.0、予想 55.0)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 3.5%、予想 -0.3%)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -1.6%、予想 -2.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.8万件、予想20.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.9万人)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る