豪州中銀金融政策記者発表
(出所:豪州中銀HPから)
本日、豪州中銀の会合で、政策金利が従前の予想通り据え置きとなりました。据え置きの判断は、不確実性が高い中で、これまでの利上げ効果を見極める判断時間を作るということで、今後の利上げに関しても継続する見込みであることを示唆しています。但し利上げ時期に関しては明確にしていません。
以下は今回の要旨です。
(金融政策決定)
本日の会合で、委員会はキャッシュレート(OCR)の目標を3.60%で据え置き、為替決済残高に関しても3.50%で据え置きを決定した。
この決定は昨年5月以降、累積3.5%の利上げに続くものである。委員会は金融政策が遅れて効果を表すことを認識しており、この実質利上げの完全なる効果がまだ感じられていない。委員会は、今日までの利上げの影響や経済見通しを評価する上で、更に追加の時間が持てる様に、今月は金利を据え置く決定を採った。
世界のインフレは非常に高い。サービス価格のインフレが多くの国々で高いままであるが、総合インフレは緩やかになっている。世界経済の見通しは依然として弱く、今年や来年は平均を下回った伸びが予想されている。最近起きた米国やスイスでの銀行システムの問題は金融市場でのボラティリティや世界の金利に対する見通しの再評価という結果をもたらした。またこれらの問題は、世界経済にとって更なる逆風となりえる、金融情勢のよりタイト化に繋がる予想もある。
豪州の銀行システムは強く、十分な資本を有し、非常に流動性が高い。それは経済が必要とする与信を十分に提供できると見做されている。
月次のCPI指標を含めた様々な情報によれば、豪州内でインフレがピークにきていることを示唆している。商品価格インフレは、世界進展や豪州内での需要鈍化により、この先数ヶ月で緩やかになる予想されている。この間、賃貸料はここ数年最も早い割合で上昇した。これは国内の多くの場所で空室率が低いことによる。公共料金もまた急速に上昇した。予想中央値は、インフレが今年と来年で下がり、2025年央には約3%の見込みである。中期インフレ期待値は確りと留まっており、これがそのままであることが重要である。
豪州経済の伸びは鈍化した。今後2・3年の成長はトレンドを下回ると予想している。より高まる金利、生計コストの圧力、住宅価格の下落の組み合わせにより、家計消費が相当減速に繋がる更なる証拠がある。一部の家計はかなりの貯蓄としてバッファーを持っているが、その他は自らの予算から痛みを伴い絞り出している。
労働市場は非常にタイトである。失業率は50年来の低い水準にあり、不完全雇用もまた低いままである。多くの企業は労働者雇用の難しさを経験し続けている。ただ幾つかの報告では、労働不足の緩和や欠員の数が幾分下がったとしている。経済成長は鈍化するにつれて、失業率は上昇することが予想されている。
賃金の伸びはタイトな労働市場や高インフレにより上昇を続けている。総合レベルでは、賃金の伸びはまだインフレ目標と一致しており、生産性の伸びが上昇している。委員会は物価−賃金スパイラルリスクを警戒したままである。これは経済において限定された余剰生産能力や歴史的な低失業率だからである。従って、労働コストの進展や企業の物価設定行動の両方に注意を払い続けることになろう。
委員会の優先事項はインフレを目標値に戻すことである。高いインフレは人々に困難をもたらし、経済の機能を損なう。もし高インフレが人々の予想に根強くなってきたら、より高い金利率や失業率の一段と高い上昇を巻き込みながら、後でそれを下げるには非常にコストがかかるだろう。委員会は、経済を均等に保ちながら、インフレを目標値の2〜3%に戻すことが求められている。しかし、ソフトランディングを達成する道のりは狭いままである。
委員会は、インフレが目標値に戻ると確信するために、更なる金融政策の引き締めが適当であると予想している。今月金利を据え置いた決定は、かなり不確実性のある環境下で委員会に経済や見通しの査定をすることに、より多くの時間を用意するためである。何時あるいはどの位の利上げが必要となるかを査定するにあたり、委員会は世界経済の進展具合、家計消費のトレンド、インフレや労働市場の見通しに十分注意を払うことになるだろう。委員会はインフレを目標に戻すために断固とした決意のままであり、それを達成するために必要なことを行うつもりである。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(出所:豪州中銀HP)
豪ドル米ドルは公表前に0.6780付近で推移していましたが、金利据え置きの決定にやや豪ドルが売られ0.6755付近まで緩んでいます。中銀自体は利上げ打ち止め宣言をしておらず、経済次第では利上げもあるとしており、一方的な豪ドル安とはなっていません。昨日は米ISM製造業景況指数が弱く、米金利軟化で豪ドルが買われていますが、戻りは弱くまだ下値リスクが高いままです。0.6650、0.6620のサポートが重要で、後者切れで一段安狙いになります。
(2023年4月4日15時40分、1豪ドル=0.6766米ドル)
オーダー/ポジション状況
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