『リスクセンチメントの改善と南ア中銀の大幅利上げで約3週間ぶり高値圏へ急伸』
〇今週の南ア円、週末にかけて、週間高値7.52まで上昇
〇金融システム不安を巡る過度な警戒感の後退、南ア指標の好調等が背景
〇南ア中銀がサプライズ的な大幅利上げも急伸の一因に
〇但し、アップサイドより複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってきており、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場にとっての悪材料揃う
〇南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.20ー7.60
今週のレビュー(3/27−3/31)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.18円で寄り付いた後、翌3/28に、週間安値7.14円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)世界的な金融システム不安を巡る過度な警戒感の後退(リスクセンチメント改善→新興国通貨上昇)や、(2)南ア1ー3月期非農業部門雇用者数(結果+0.5%、前回+0.1%、※前期比)の良好な結果、(3)南ア2月財政収支(結果81億ZAR黒字、前回888億ZAR赤字)の黒字転換、(4)金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)、(5)南ア中銀による大幅利上げ(市場予想の25bpを上回る50bpの利上げを実施)、(6)上記5を背景とした南ア金利の急上昇、(7)南ア2月貿易収支(結果161億ZAR黒字、予想146億ZAR赤字)のポジティブサプライズが支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.52円(3/10以来の高値圏)まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと(3/2に記録した直近高値7.53円をバックに伸び悩むと)、引けにかけて小反落し、本稿執筆時点(日本時間4/1午前1時30分現在)では、7.48円前後で推移しております。
来週の見通し(4/3−4/7)
南アランドの対円相場は、3/20に記録した年初来安値7.02円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、一時7.52円(3/10以来の高値圏)まで急伸しました。世界的な金融システム不安を巡る過度な警戒感が後退したことや、南ア中銀がサプライズ的な大幅利上げに踏み切ったことが、南アランド急伸の背景と考えられます。但し、アップサイドより複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」および「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「弱い」と判断できます(ここからの更なる上昇は容易ではなく、一巡後の反落リスクに要警戒)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)深刻な電力不足を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感や、(2)南アフリカの政治不安(与党アフリカ民族会議の支持率低下→極左野党「FFT」台頭に伴う南アフリカの治安悪化懸念)、(3)南アフリカの格下げリスク(S&Pは3/8付けで南アフリカの格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」へと下方修正)、(4)世界的な金融システム不安の再燃リスク(米地銀やクレディ・スイスに端を発した世界的な金融システム不安は、政府・当局による強力サポートや、UBSによるクレディ・スイス買収、ファーストシチズンズによるシリコンバレー銀行買収などを経てひとまず落ち着きを取り戻しているが、本質的な解決には至っておらず、早晩リスクオフが再開する恐れあり)など、南アランド円相場にとっての悪材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベントが予定されていないことから、経済的な結びつきの強い中国の経済指標(中国3月財新製造業PMI、中国3月財新サービス業PMI)に注目が集まりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.20ー7.60
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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