トルコリラ円見通し ドル円に合わせて下げ渋るもドル高リラ安進行で上値重い(23/3/29)

トルコリラ円の3月28日は概ね6.89円から6.82円の取引レンジ、29日早朝の終値は6.85円で前日終値の6.89円からは0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円に合わせて下げ渋るもドル高リラ安進行で上値重い(23/3/29)

ドル円に合わせて下げ渋るもドル高リラ安進行で上値重い

〇トルコリラ円、3/28夜にかけてドル円の下落に圧迫され6.82まで下げるも、3/29午前は6.88まで戻す
〇当面はドル円が先週末からの上昇を継続か見ての展開、トルコリラ円の上昇はやや及び腰となることも
〇対ドル、3/28終値べースで19.11まで最安値切り下げ、日々の取引中心値と終値の下落基調がさらに加速
〇3/29夜トルコ中銀による銀行不良債権比率の発表予定、上昇の場合は信用不安の発生に要注意
〇6.88円以下での推移中は一段安警戒、6.82割れからは6.75から6.79への下落を想定
〇6.88から6.90にかけて戻り売りに掴まりやすい、6.90超えは反騰継続で6.93、6.95を順次試す上昇想定

【概況】

トルコリラ円の3月28日は概ね6.89円から6.82円の取引レンジ、29日早朝の終値は6.85円で前日終値の6.89円からは0.04円の円高リラ安だった。
3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安による米長期債利回り低下とリスク回避の円買いによりドル円は3月8日高値137.91円から3月24日安値129.63円まで大幅下落が続いてきたが、UBSによるクレディ・スイスの買収やファーストシチズンズ銀によるシリコンバレー銀の買収により金融機関の破綻連鎖への不安が後退したとして為替市場ではユーロやポンド、豪ドルが上昇してドル安感が強まってきた。ドル円にとってはドルストレートでのドル安が圧迫要因となるものの米国債に対する安全資産買いの後退で米長期債利回りが反騰していることが押し上げ要因となっているため、3月28日未明高値131.75円から28日夜安値130.40円まで反落したところを買われて29日午前は131円台で確りしている。

トルコリラ円は3月8日高値7.29円から3月24日安値6.74円まで大幅下落したが、3月24日安値は1月16日安値と同値にとどまり、ドル円の反発に合わせて3月28日未明に6.90円まで戻した。28日夜にかけてはドル円の下落に圧迫されて6.82円まで下げたものの29日午前は6.88円まで戻している。
トルコリラ円としては、当面はドル円が3月28日未明高値を超えて先週末からの上昇を継続できるかどうかを見ながらの展開となるが、一方ではドル高リラ安の進行もあるため、ドル円が上昇してもトルコリラ円の上昇がやや及び腰となることも考えられる。

【対ドルでは終値ベースの最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの3月28日は概ね19.17リラから19.05リラの取引レンジ、29日早朝の終値は19.11リラで前日終値の19.09リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
2021年12月以降の長期的なリラ安基調が続く中、2月6日のトルコ南部大地震発生と2月23日のトルコ中銀による利下げ及びその後の経常収支や財政収支の悪化、中央政府債務の増加等によりリラ安が勢い付いてきたが、3月10日の米銀破綻を発端とした信用不安の拡大もリラ売り材料とされて3月24日に19.25リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新、終値べースでは3月27日の19.09リラで最安値を更新した。3月28日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値べースでは19.11リラまで最安値を切り下げており、日々の取引中心値と終値の下落基調がさらに加速してきている印象だ。

【トルコの銀行不良債権比率に注目】

3月29日夜にはトルコ中銀による銀行不良債権比率の発表がある。不良債権比率は2020年3月に5.34%まで悪化したところから改善が続いており、今年1月時点では2.01%まで低下してこの間の最低水準となった。順調な低下が続けばトルコ国内の銀行に対する信頼感は揺るがないところだが、3月10日の米銀破綻を発端とした欧米の信用不安については連鎖破綻への不安感が落ち着いたものの、小中銀行での預金流出の動きがみられており不安が一掃されたとまでは言えない。
米銀破綻がクレディ・スイスの経営危機に飛び火したが、2月6日のトルコ南部大地震発生による被害を踏まえれば、今後のトルコにおける銀行不良債券比率の上昇がみられる場合には、経常収支や財政収支の悪化問題に加えて信用不安の発生ということにも注意がいるところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月24日安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたとし、高値形成期を3月27日夜から29日夜にかけての間と想定した。3月28日午前時点では既に3月28日未明高値でサイクルトップをつけた可能性があるとして6.85円割れからは弱気サイクル入りとしたが、28日夜に6.82円まで下げたため28日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日夕から31日夜にかけての間への下落を想定する。
ただし28日夜安値からは持ち直しの動きがみられるため、6.88円超えからは28日未明高値6.90円試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りと仮定して31日未明から4日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月28日夜への下落で遅行スパンが悪化したがその後の反発で好転しやすい位置に来ている。先行スパンからもいったん転落したがその後の反発で潜り込んできている。3月28日未明高値を超えないうちは一段安余地ありとし、28日夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、28日未明高値超えからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月28日昼から夜にかけての下落時に指数のボトムが切り上がり50ポイント台を回復しているので60ポイント台後半への上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.82円を下値支持線、6.90円を上値抵抗線とする。
(2)6.88円以下での推移中は一段安警戒とし、6.82円割れからは6.70円台後半(6.79円から6.75円)への下落を想定する。6.77円以下は反発注意とするが、6.84円以下での推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.88円から6.90円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、6.90円超えからは24日からの反騰継続として6.93円、6.95円を順次試す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

3月29日
 20:00 2月 銀行不良債権比率 (1月 2.01%)
3月30日
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99.1)
 20:30 週次 外貨準備高 3月24日時点 グロス(3月17日時点 739.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月24日時点 ネット(3月17日時点 199.9億ドル)
3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -142億リラ)
4月3日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 3.15%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 55.18%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 2.1%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 50.6)
 16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 1.56%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 76.61%)


注:ポイント要約は編集部

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