トルコリラ円見通し 週末から戻すも勢い鈍る、右肩下がりの展開続く
〇トルコリラ円、3/24には安値で6.74をつけるも、ドル円の反発を見て3/28未明には6.90まで戻す
〇その後3/28午前にドル円下落、トルコリラ円も同調して6.87近辺へ反落
〇対ドル、3/27は概ね19.11から18.90の取引レンジ、前日に続き終値ベースでの最安値更新
〇トルコ設備稼働率が顕著に低下、トルコ南部大地震による工業地帯の被害が反映しているか
〇6.88以下での推移中は一段安警戒とし、6.85割れからは6.80前後への下落を想定する
〇6.90超えからは3/24からの反騰継続として、6.93前後への上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の3月27日は概ね6.90円から6.84円の取引レンジ、28日早朝の終値は6.89円で先週末終値の6.86円からは0.03円の円安リラ高だった。
ドル円は3月10日の米銀破綻を発端とした信用不安拡大による下落を継続し、3月24日安値で129.63円をつけて3月8日の年初来高値137.91円からの下げ幅を8.28円に拡大したが、130円割れに対する突っ込み警戒感による買い戻しに加え、破綻した米シリコンバレー銀を米地銀ファーストシチズンズ銀が買収すると発表されたことなどからリスク回避感がやや後退したとして米長期債利回りが反騰したために28日未明には131.75円まで戻した。
トルコリラ円はドル円を見ながら3月8日につけた年初来高値7.29円からの下落を継続して3月24日には安値で6.74円をつけて1月16日安値と同値としたが、ドル円の反発を見て3月28日未明には6.90円まで戻した。
米銀の相次ぐ廃業や経営破綻、欧州への飛び火によるクレディ・スイス株暴落やドイツ銀株等の急落等による信用不安に対しては、米FRBによる破綻銀行の預金保護や経営不安のある銀行への資金供給と買収による救済の動き、クレディ・スイスについてもUBSの買収がまとまり落ち着きを取り戻しつつあるところだが、市場が不安心理を一掃するほどの楽観を取り戻せると期待するのは時期尚早と思われる。
3月28日午前にはドル円が131円割れへ下落、トルコリラ円もつれて6.87円近辺へ反落している。
【対ドルでは終値ベースの最安値更新】
ドル/トルコリラの3月27日は概ね19.11リラから18.90リラの取引レンジ、28日早朝の終値は19.09リラで先週末終値の19.05リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安は3月24日のドイツ銀株急落へと続いたが、クレディ・スイスに対するUBSの買収救済や米シリコンバレー銀を米ファースト・シチズンズ銀が買収すると発表されたことで破綻連鎖への懸念がやや後退し、欧銀への飛び火懸念で下落していたユーロやポンド等が戻したが、トルコリラは中長期的なリラ安は2月6日の大地震を契機として勢いを増してきたが、3月10日以降の信用不安でさらに加速している印象だ。
手元のデータでは3月24日に19.25リラをつけてそれまでの取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでは3月24日終値を19.05リラとしてそれまでの最安値であった3月23日終値の19.04リラを超えたが、27日も19.09リラへと最安値更新を続けている。
【トルコの設備稼働率が顕著に低下】
3月27日にトルコ中銀が発表した3月の製造業信頼感指数は105.2となり2月の102.4から改善したが、同時に発表された3月の設備稼働率は73.5%となり2月の75.2%から顕著に低下した。
設備稼働率は2021年12月に78.7%をつけてピークとなりその後は低下傾向に入ってきたが、2月6日のトルコ南部大地震による工業地帯の被害が今回の低下に反映されていると思われる。大地震の影響はまだ続き、復旧までは時間がかかるために今後は鉱工業生産やGDPの低迷へ反映されると思われる。
トルコ統計局が3月27日に発表した3月サービス・小売・建設の信頼感指数では、サービスが2月の115.5から116.8へ改善、小売が123.1から117.7へ悪化、建設が89.8から88.5へと悪化した。
サービスは総合で改善しているものの、向う3か月見通しが112.6から120.6へ改善したことを反映しているものの、直近3か月では2月の116.7から115.0へ悪化している。小売については直近3か月が2月の144.1から132.5へ悪化、向こう3か月見通しも121.8から117.8へと悪化している。建設は向う3か月見通しでも95.1から92.0へ悪化しており、震災からの復興期待は鈍い印象を与えている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月22日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3月23日夕から27日夕にかけての間への下落を想定してきたが、24日安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りした。高値形成期は27日夜から29日夜にかけての間と想定されるので反落注意期にあり、3月28日午前に失速しているので既に3月28日未明高値でサイクルトップをつけた可能性がある。
6.85円を上回るうちは6.88円超えから反騰継続とするが、6.85円割れからは弱気サイクル入りとして29日夕から31日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では3月24日安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、28日午前の失速により遅行スパンは悪化しやすい位置に来ている。遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転する場合は上昇再開とするが、8.85円割れを伴って悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月27日夜から28日未明への高値更新に際して指数のピークが切り下がる小規模の弱気逆行を見せてから50ポイント割れへ失速しているのですでに下落再開に入っている印象だ。50ポイント台回復からの上昇再開余地は多少あるとみるが、50ポイント以下での推移中は下向きとして30ポイント割れを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.85円を下値支持線、6.90円を上値抵抗線とする。
(2)6.88円以下での推移中は一段安警戒とし、6.85円割れからは6.80円前後への下落を想定する。6.80円以下は買い戻しも入りやすいとみるが下げ足が速まる場合は6.77円前後まで下値目途を引き下げ、6.85円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.88円から6.90円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、6.90円超えからは24日からの反騰継続として6.93円前後への上昇を想定する。6.93円以上は反落注意とするが、6.85円以上での推移なら29日も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
【当面の主な予定】
3月30日
16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99.1)
20:30 週次 外貨準備高 3月24日時点 グロス(3月17日時点 739.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月24日時点 ネット(3月17日時点 199.9億ドル)
3月31日
16:00 2月 貿易収支 (1月 -142億リラ)
4月3日
16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 3.15%)
16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 55.18%)
16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 2.1%)
16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 50.6)
16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 1.56%)
16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 76.61%)
注:ポイント要約は編集部
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