トルコリラ円見通し 円安継続で3月24日からの上昇継続、6.90円台回復(23/3/30)

トルコリラ円の3月29日は概ね6.94円から6.84円の取引レンジ、30日早朝の終値は6.93円で前日終値の6.85円からは0.08円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 円安継続で3月24日からの上昇継続、6.90円台回復(23/3/30)

円安継続で3月24日からの上昇継続、6.90円台回復

〇トルコリラ円、30日早朝終値は6.93で前日終値の6.85からは0.08円の円安リラ高に
〇28日未明高値6.90を超え、3/24からの上昇は二段上げに発展
〇対ドルでは終値ベースで28日の19.1115から29日の19.1126へとわずかに最安値を更新
〇5/14のトルコ大統領選挙、現大統領再選でも野党統一候補勝利でもリラ安が進みやすいとの見方
〇トルコの2月財政収支、1月経常収支、1月貿易収支いずれも赤字で赤字額は過去最大
〇6.94超えからは6.97前後への上昇を想定、6.97以上は反落注意
〇6.87割れからはいったん下落期に入るとみて6.85、6.83を順次試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月29日は概ね6.94円から6.84円の取引レンジ、30日早朝の終値は6.93円で前日終値の6.85円からは0.08円の円安リラ高だった。
3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安による米長期債利回り低下とリスク回避の円高でドル円は3月8日高値137.91円から3月24日安値129.63円まで大幅下落したが、経営危機にあったクレディースイスや破綻したシリコンバレー銀が買収されたことで信用不安が落ち着き、安全資産買いされていた米長期国債が下落に転じて長期債利回りが反騰したためにドル円は30日早朝に132.88円まで上昇して3月8日以降の下げ幅に対する3分の1戻しを超えてきた。
トルコリラ円も3月8日高値7.29円から3月24日安値6.74円までの大幅下落が一巡、ドル円の反騰を見ながら30日早朝には6.94円まで戻した。3月29日早朝に6.82円までいったん下げてから28日未明高値6.90円を超えたために3月24日からの上昇は二段上げに発展している。

【対ドルでは終値ベースでの最安値続く】

ドル/トルコリラの3月29日は概ね19.17リラから19.10リラの取引レンジ、30日早朝の終値は19.11リラで前日終値と変わらずだった。
1昨年末からの長期的なリラ安基調が続く中、2月6日のトルコ南部大地震発生、2月23日のトルコ中銀による利下げ、経常収支や財政収支の悪化等によりリラ安が徐々に勢い付き、3月10日の米銀破綻を発端とした信用不安もリラ安要因となり3月24日に19.25リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した。その後は新たな安値更新を回避しているものの、終値ベースでは3月28日に19.11リラを付けて最安値を更新、29日も同値に終わったが、小数点以下4桁では28日の19.1115リラから29日の19.1126リラへとわずかに最安値を更新している。

【5月の大統領選挙へ向けてリラ安続く気配】

トルコのオンライン新聞TV100はイスタンブールの経済アナリストの見通しとして向こう6か月で1ドル24リラへ下落する可能性があると掲載した。
リラ安の根拠は悪化が続く貿易赤字と経常赤字、財政赤字の拡大、大地震の影響に加え、5月14日のトルコ大統領選挙においてエルドアン大統領が再選されても野党統一候補が勝利しても混乱が生じて変動も大きくなるためとしている。
エルドアン大統領が再選されれば高インフレでも利下げを強行してきた異色の金融政策が続いて混乱を招き、野党統一候補が勝利すればそうした金融政策が正常化へ向かうとみられるが、政策の大転換による混乱も発生しかねないため、いずれが勝利してもリラ安が進みやすいとの見方だ。
トルコの2月財政収支は1705.6億リラの赤字となり2021年12月の赤字1457.4億リラを超えて過去最大となり、トルコの1月経常収支は98.49億ドルの赤字で赤字額は過去最大、1月の貿易収支は142.4億ドルの赤字で過去最大だった。

3月29日夜に発表されたトルコ中銀のまとめによる銀行不良債権比率は1.93%となり2020年3月のパンデミック発生直後に付けたピークの5.34%以降で最低となったが、大地震の影響に加えて3月10日の米銀破綻を発端とした信用不安がトルコへも影響を及ぼしていることが懸念され、3月以降のデータでは不良債権比率が上昇する可能性があるのではないかと懸念される。
欧州や湾岸諸国の富裕層は大地震からの復興によりトルコ経済が復調するとの期待感も持っているようだが、そのためにはエルドアン大統領の再選と権力基盤の維持、海外からの投資受け入れへの積極姿勢が必要と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月28日夜に弱気転換目安とした6.84円を割り込んだため、29日午前時点では28日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定し、高値更新からは新たな強気サイクル入りとした。
3月29日夜に28日未明高値を上抜き返して30日早朝へ続伸したため、29日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして31日未明から4日未明にかけての間への上昇を想定する。30日の下値支持線は6.87円までとし、6.87円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して6.80円台前半への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月29日早朝からの反騰で遅行スパンが好転し、29日昼には先行スパンを上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて先行スパンからの転落を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は3月29日夜から70ポイントを抵抗に横這い推移しており、3月21日夜から22日夜にかけて60ポイント台中盤で横ばい推移した時に近い動きを見せている。50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えへ進む可能性があるとみるが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.87円を下値支持線、6.94円を上値抵抗線とする。
(2)6.90円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、6.94円超えからは6.97円前後への上昇を想定する。6.97円以上は反落注意とするが、6.90円を上回っての推移なら31日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.87円割れからはいったん下落期に入るとみて6.85円、6.83円を順次試す下落を想定する。6.83円以下は反騰注意とするが、6.87円以下での推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月30日
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 99.1)
 20:30 週次 外貨準備高 3月24日時点 グロス(3月17日時点 739.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月24日時点 ネット(3月17日時点 199.9億ドル)
3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -142億ドル)
4月3日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 3.15%、予想 2.85%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 55.18%、予想 51.33%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 2.1%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 50.6)
 16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 1.56%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 76.61%)

注:ポイント要約は編集部

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