トルコリラ円見通し ドル高リラ安に圧迫されるも円安継続で3月24日以降の高値を更新(23/3/31)

トルコリラ円の3月30日は概ね6.94円から6.89円の取引レンジ、31日早朝の終値は6.92円で前日終値の6.93円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安に圧迫されるも円安継続で3月24日以降の高値を更新(23/3/31)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安に圧迫されるも円安継続で3月24日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、ドル高リラ安による圧迫感もあり、3/30夜6.94へ上昇するも3/30早朝と同値にとどまる
〇しかし3/31午前序盤ドル円が一段高となり、トルコリラ円も6.95へ上昇し3/24安値以降の高値を更新
〇対ドル、3/30は概ね19.19から18.94の取引レンジ、終値ベースで19.17へと最安値を大幅に更新
〇昨日発表の経済信頼感指数は悪化、今年1月から鈍化傾向、トルコ南部大地震による影響もあるか
〇外貨準備高は再び減少、トルコ中銀によるリラ防衛のための市場介入等によるものと思われる
〇6.92を上回るうちは上昇余地ありとし、6.97超えからは7.00を目指す上昇を想定する
〇6.89割れからはいったん下落期に入るとみて、6.85前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月30日は概ね6.94円から6.89円の取引レンジ、31日早朝の終値は6.92円で前日終値の6.93円からは0.01円の円高リラ安だった。
米銀破綻から続いた信用不安の後退で3月24日からはリスク選好感が回復してドル円が反騰入りし、トルコリラ円もドル円の上昇に合わせて反騰してきた。3月30日はドル円が未明に132.88円をつけてから132.20円まで小反落したものの確りし、夜には132.96円へ上昇して3月24日安値129.63円以降の高値を更新したが、トルコリラ円はドル高リラ安による圧迫感もあり30日夜への上昇では30日早朝につけた6.94円と同値にとどまった。
しかし31日午前序盤にドル円が133円台へ一段高となったため、トルコリラ円も6.95円へ上昇して3月24日安値以降の高値を更新している。
当面はドル高リラ安を気にしつつドル円の騰落を追いかける展開が続くと思われる。

【対ドルでは終値ベースでの最安値を大きく更新】

ドル/トルコリラの3月30日は概ね19.19リラから18.94リラの取引レンジ、31日早朝の終値は19.17リラで前日終値の19.11リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
一昨年末からの長期的なリラ安基調が続く中、2月6日のトルコ南部大地震や2月23日のトルコ中銀による利下げ及び経常収支や財政収支の悪化等によりリラ安が勢い付いており、3月24日に19.25リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは3月29日に19.11リラへと最安値を更新してきた。
3月30日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは19.17リラへと最安値を大幅に更新している。
米銀破綻を発端とした信用リスクについては落ち着いたものの、欧米主要銀行による融資姿勢は破綻発生前と比較すれば厳しくなっており、ファンダメンタルズが冴えず5月14日の大統領選挙後の混迷への懸念もあり、今後はトルコへの投資姿勢も厳しくなることが連想されている。

【経済信頼感指数は悪化】

3月30日夕刻に発表されたトルコの3月経済信頼感指数は98.8となり2月の99.1から悪化した。昨年7月に94.1まで低下したところから持ち直してきたが、今年1月の99.3から鈍化傾向に入っている。2月6日に発生したトルコ南部大地震による影響も出ていると思われるが、今後は復興への期待感が勝るのか遅れへの不安感が勝るのかによって明暗も分かれてくると思われる。
内訳では消費者信頼感指数が2月の82.5から3月は80.1へ悪化、製造業は102.4から104.1へ改善、サービス業は115.5から116.8へ改善、小売は123.1から117.7へ悪化、建設は89.8から88.5へ悪化した。

【外貨準備高は再び減少】

トルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は3月24日時点のグロスで713.4億ドルとなり3月17日時点の739.3億ドルから25.9億ドル減少、ネットでは189.3億ドルとなり3月17日時点の199.9億ドルから10.6億ドルの減少となった。
3月17日時点ではグロスが前週から42.3億ドルの大幅増加、ネットでも13.7億ドルの増加となり、サウジが財政支援としてトルコ中銀に50億ドルを預託したことを反映したが、増加効果は一時的だったようでトルコ中銀によるリラ防衛のための市場介入等により再び減少しているのではないかと思われる。
構造的な経常赤字が貿易収支の悪化により拡大していること、トルコ大地震の影響により財政収支も悪化していることに加え、リラ防衛力を示す外貨準備高の減少傾向はリラ売りを助長している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月29日夜に3月28日未明高値を上抜き返したために30日午前時点では29日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして31日未明から4日未明にかけての間への上昇を想定した。
3月30日午後へやや下落したものの31日午前に一段高しているので引き続きトップ形成中とみるが、6.92円割れからは弱気転換注意とし、6.89円割れからは弱気サイクル入りとして4月1日未明から5日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月30日午後への下落で遅行スパンが一時的に悪化したものの31日午前の上昇で再び好転し、先行スパンを上回った状況は維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は次に遅行スパンが悪化するところからとし、先行スパンからも転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は3月30日深夜にかけて50ポイントを割り込んだがその後の反騰で70ポイントに迫っているのでまだ上昇余地ありとするが、次に50ポイントを割り込む場合はいったん下げに入るとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.89円を下値支持線、6.97円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、6.97円超えからは7.00円を目指す上昇を想定する。6.98円以上は反落注意とするが、6.92円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.89円割れからはいったん下落期に入るとみて6.85円前後への下落を想定する。6.85円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は6.83円前後へ下値目途を引き下げる。また6.89円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -142億リラ)
4月3日
 16:00 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 3.15%、予想 2.85%)
 16:00 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 55.18%、予想 51.33%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (2月 2.1%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 50.6)
 16:00 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 1.56%)
 16:00 3月 生産者物価指数 前年同月比 (2月 76.61%)



注:ポイント要約は編集部

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