ドル円見通し 3月24日安値からの反騰継続、133円台回復(23/3/31)

夜には132.96円へ高値を切り上げ、その後の反落も132円台前半で確りし、31日午前序盤に133円台へ乗せている。

ドル円見通し 3月24日安値からの反騰継続、133円台回復(23/3/31)

ドル円見通し 3月24日安値からの反騰継続、133円台回復

〇ドル円、3/24安値からの反騰継続、3/30夜132.96へ高値を切り上げ、3/31午前序盤133円台へ乗せる
〇米地区連銀総裁らの追加利上げ支持発言相次ぐも、信用不安の完全な払拭については慎重な姿勢も
〇米長期債利回りはまちまちの動き、米株価はリスク選好感の回復で買われ連騰
〇132.20以上での推移中は133.70台への上昇を想定、133.77超えから134円台序盤への上昇を想定する
〇132.20割れからは戻り一巡による下落期入りとみて、131円前後を目指す下落を想定する

【概況】

ドル円は欧米の信用リスクの後退により3月24日安値129.63円からの反騰を継続、3月30日早朝に132.88円をつけて28日未明高値131.75円を上抜き、30日夕刻への下落は132.20円にとどまって夜には132.96円へ高値を切り上げ、その後の反落も132円台前半で確りし、31日午前序盤に133円台へ乗せている。
リスク選好感の回復と共にドイツの3月CPIが前年同月比7.4%上昇となり、ECBの利上げ継続感が強まったことも重なりユーロドルは1.090ドル台へ上昇してドイツ銀株急落で下げた24日夜安値1.0713ドル以降の高値を更新、ポンドドルも3月8日以降の高値を更新した。ユーロやポンドの上昇はドル安要因となるがユーロ円やポンド円の上昇等によるクロス円の上昇力が勝ったことでドル円もリスク選好的な円安優勢の動きを続けている。
3月30日夜に発表された新規失業保険申請件数は前週比7000件増の19万8000件となり、市場予想の19万
6000件を若干超えたものの20万件以下の水準を維持したために市場の反応は限定的だった。

【米地区連銀総裁らの追加利上げ支持発言相次ぐも不安解消には至らず】

米銀破綻による信用不安の最中だった3月21-22日の米FOMCでは銀行破綻の連鎖懸念を意識して0.25%の利上げに留めた。破綻報道が始まる前にはインフレの高止まりにより0.50%利上げの可能性も取り沙汰されていたが、利上げを見送ればそれだけリスクが高いことを示すことにもなるため、0.25%利上げで様子を見たというところだろう。
信用不安についてはひとまず落ち着いているため、3月31日夜の米PCEデフレーターが予想を上回るようだと次回5月2-3日のFOMCにおける追加利上げの可能性が高まるが、信用不安が完全に払拭されたわけではないために追加利上げについての市場予想はまだ五分五分からやや追加利上げの可能性優勢というところにとどまっている。またFOMCが0.25%の追加利上げを決定するとしても、高インフレが顕著な欧州の状況を踏まえてECBが大幅利上げを継続する可能性もあるため、ユーロ高ドル安基調が継続しやすい状況が続くのではないかと思われる。

3月30日は地区連銀総裁達による追加利上げ支持発言も相次いだが、信用不安の完全な払拭については慎重な姿勢も示された。リッチモンド連銀のバーキン総裁は30日の講演で「前回会合で0.25%利上げを支持した」「インフレが持続するなら一段の利上げで対応することは可能」と述べて追加利上げ支持姿勢を示したが、米銀破綻問題に関しては「全般的な預金フローは比較的安定している」としたものの「幅広い影響がまだはっきりしない」「2、3行がまだ問題に取り組んでいる」と述べており、経営不安を抱えた銀行の存在を指摘している。

ボストン連銀のコリンズ総裁は「インフレは高すぎる」として「あと1回の追加利上げが必要」としたが、「銀行の与信条件厳格化が経済を鈍化させてインフレ圧力を減じる」として「追加利上げの必要性が一部相殺された可能性がある」とも述べた。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「さらにやるべきことがある」と追加利上げを支持したが具体的な金利水準には言及せず、「銀行セクターのストレスがどの程度持続的な信用収縮につながるのかは現時点で不明、状況を注視する」とし、「銀行パニックは解決に思ったより時間がかかる傾向がある」と述べた。

【米長期債利回りはまちまち、ダウは連騰】

信用不安が後退する中で債券への安全資産買いが後退して米長期債利回りは先週末から反騰基調にあるが、30日はまちまちの動きだった。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の3.55%で、3月24日の3.29%から29日に3.57%まで戻したが30日は上昇一服の様相。
2年債利回りは0.02%上昇の4.12%となり、3月24日に一時3.56%まで大幅低下したところからの反騰を継続している。2年債利回りの上昇がドル円には押し上げ効果をもたらしている。
一方でNYダウは前日比141.43ドル高と上昇、29日の323.35ドルからの連騰で3月15日安値以降の高値を更新した。ナスダック総合指数も87.23ポイント高と上昇、29日の210.16ポイント高からの連騰となり、いずれもリスク選好感の回復で買われている。株高もまたドル円の上昇に寄与している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は3月24日安値129.63円から戻しに入ったが、3月28日夜への反落を買われて29日夜の上昇で28日未明高値を上抜いたために上昇は二段上げ型に発展した。3月30日夜に30日未明高値を超えたが、31日午前序盤には133円台へ到達している。
3月8日高値137.91円から3月24日安値までの下げ幅は8.28円、3分の1戻しの132.39円を超えて半値戻しの133.77円に迫っているところだが、3分の2戻しは135.15円にある。今夜の米PCEデフレーター発表を通過して上昇継続の場合は4月3日夜にかけて高値試しを続けやすいとみるが、30日夕安値132.20円を割り込むか、直前高値から1.50円を超える反落となる場合は修正安に入るとみて4月4日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月28日夜安値からの一段高により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、遅行スパンは31日未明にいったん悪化してから再び好転しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は次の遅行スパン悪化からとし、その際は先行スパンの上下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は3月31日未明の50ポイント割れから切り返しているので80ポイントを目指す上昇余地ありとみるが、次に50ポイントを割り込むところからはいったん下げに入るとみて30ポイントを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、132.20円を下値支持線、133.77円を上値抵抗線とする。
(2)132.20円以上での推移中は上昇余地ありとし、133.70円台への上昇を想定する。133.70円台では戻り売りも出やすいとみるが、133.77円超えからは134円台序盤への上昇を想定する。また直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)132.20円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて131円前後を目指す下落を想定する。131円台前半では押し目買いも入りやすいとみるが132.20円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/31(金)
10:30 (中) 3月 国家統計局製造業PMI (2月 52.6、予想 51.8)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 6.6%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
15:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7-9月 -194億ポンド、予想 -175億ポンド)
15:00 (英) 3月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (2月 -0.5%、予想 -0.3%)
15:00 (独) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 -1.2%、予想 -1.0%)
15:00 (独) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.5%)
15:00 (独) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -4.6%、予想 -5.1%)
16:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.5%、予想 5.5%)

18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 6.7%、予想 6.6%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP)・速報値 前年同月比 (2月 8.5%、予想 7.1%)
18:00 (欧) 3月 HICPコア指数・速報値 前年同月比 (2月 5.6%、予想 5.7%)
21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 個人消費支出(PCE) 前月比 (1月 1.8%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 PCEデフレーター 前年同月比 (1月 5.4%、予想 5.1%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前月比 (1月 0.6%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (1月 4.7%、予想 4.7%)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 43.6、予想 43.6)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 63.4、予想 63.4)

24:00 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、発言
23:00 (米) バーFRB副議長、下院金融サービス委員会で議会証言
28:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
29:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
30:45 (米) クックFRB理事、講演



注:ポイント要約は編集部

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