ドル円 米金融政策注視、期末需給要因等にも要注意(週報3月第4週)

先週のドル/円相場はドルが続落。週末には2月10日以来、約1ヵ月半ぶりの130円割れを示現する局面も観測されていた。

ドル円 米金融政策注視、期末需給要因等にも要注意(週報3月第4週)

米金融政策注視、期末需給要因等にも要注意

〇先週のドル/円、週半ばに掛けてはドル高をキープ、週間高値133.00を一時記録
〇その後流れが急反転しドルが続落、週末には2/10以来、約1ヵ月半ぶりの130円割れを示現
〇週末NYは130円台を回復したものの週間を通したドル安値圏で越週
〇22日の米FOMCで0.25%の利上げが全会一致で決定
〇今週は消費者信頼感指数や1-3月期のGDP統計確報値などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは、129.00-133.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続落。週末には2月10日以来、約1ヵ月半ぶりの130円割れを示現する局面も観測されていた。

前週末は、16日の大陸間弾道弾に続き19日にも北朝鮮が短距離ミサイルを発射したとして物議を醸す。一方、世界的な金融システム危機が取り沙汰されるなか「UBSがクレディ・スイス(CS)を30億フランで買収することに同意した」と伝えられている。
そうした状況下、ドル/円は前週末NYを131.80円レベルで大引けるなか、早朝時間外取引で132円台を示現し、そのまま取引を開始。週半ばに掛けてはドル高をキープし、週間高値133.00円を一時記録した。しかしドル高は続かず、高値示現後流れが急反転。上げ幅のすべてを吐き出しても止まらず続落すると、そのままの勢いをかい週末には1ヵ月半ぶりの130円割れとなった。週末NYは130円台を回復したものの、週間を通したドル安値圏で越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「欧米金融不安」と「米金融政策」について。
前者は、スイス政府が記者会見を開き、「スイス金融大手UBSが、経営不安の広がるCSを約30億スイス・フランで買収することで合意した」と発表。続けてイエレン米財務長官とパウエルFRB議長が共同で「金融の安定を支援するための発表を歓迎する」とした声明を出したことなどもあり、金融システム不安は最悪期を脱したようだ。先週半ばに掛けてのドル買戻しの主因に。しかし、時事通信がCSの発行した劣後債の一種「AT1債」が無価値となる措置が波紋を広げる危険性に言及するなど、不安要素そのものは根強くくすぶる。

また経営破綻したSVBの処遇が依然決まらないうえ、イエレン氏から「SVBなど2行に実施した全額保護は例外的な措置」、「すべての預金に対する銀行破綻時の保護措置の拡大は検討していない」といった発言が聞かれ、市場の不安心理を増長させていた面も否めない。
対して後者は、前記したような金融システム不安がくすぶるなか、22日の米FOMCで0.25%の利上げが発表された。決定は全会一致であり、また「必要に応じて一段と金利を引き上げる用意がある」などとし、追加利上げの可能性についても言及されている。多くの予想に沿った内容ながら、やや強気な見通しと言ってよさそうだ。ただ、声明文から「継続的な利上げが適切」との文言が削除されたことで、ブルームバーグは逆に「トレーダーのあいだでは年内にどの程度の利下げが必要になるかをめぐる観測が強まった」と指摘。実際、週末に向けたドル下落の一因になっていたことも間違いない。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は一時上値を試す展開をたどったものの、そののち約1ヵ月半ぶりの130円割れを記録するなどドルが冴えない。週足は4週連続の陰線引けであり、2月10日安値129.80円を週のザラ場ベースで下回るなど、リスクはドル安方向にバイアスか。ちなみに、年初来安値127.22円を起点にした上げ幅の76.4%押しを下回っており、フィボナッチの考え方では100%押しも否定できない。8日高値137.91円を起点に戻りらしい戻りもなくドル安が進行していることは気掛かりだが、基本的にはさらなるドル安進行に要注意だ。
市場は引き続き日米金融政策への関心が高いなか、米国については前述したようにややハト派的な見方をする向きが優勢か。したがって、今週発表される米経済指標が予想よりも悪化した場合や、最悪期は脱したとはいえ依然予断を許さないSVB破綻に端を発した金融システム不安の再燃などによっては、相場が一喜一憂をたどる可能性も否定できない。また、今週は名実ともに月末と四半期にあたることから、材料面もさることながら駆け込み需給などを警戒する声も聞かれていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円は一目均衡表の先行帯の雲の上限に続き、先週末に掛けて同下限も割り込んできた。それもあり、基本的なリスクはドル安方向。先週安値を下回ると、次のドルの下値メドは2月2日安値の128.09円か。
一方、先行する格好で移動平均の21日線など主要線はすべて下回っており、ドル上値の重さを感じずにはいられない。先でも指摘したように、一本調子のドル安が進行しているため、一時的な反発は否定できないが、それでも戻りは限られそうだ。

今週は、3月の消費者信頼感指数や1-3月期のGDP統計確報値といった米経済指標が発表される予定となっている。また、米地区連銀総裁を中心に週間を通して講演など要人の発言機会が多く、その内容にも一応要注意。なお、一部で注目されていたブラジル大統領の訪中は、体調不良を理由に延期されたもようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、129.00-133.00円。ドル高・円安については、131円半ばなどが弱い抵抗となりそうだが、強く意識されるものとしては132円後半か。一目均衡表の先行帯の雲が位置し、上限と下限が入れ替わることの影響も気掛かり。
対してドル安・円高方向は、先週安値129.65円が最初のサポート。下回ると129円割れ、2月2日安値128.09円が視界内に。

米金融政策注視、期末需給要因等にも要注意

ドル円日足

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