『ドル円とのシンクロ状態が継続中。年初来安値更新が射程圏内に』
〇今週のトルコ円、リスクオン再開によるドル円上昇に週前半7.04まで上昇
〇週後半はFOMCのハト派な内容、株価の軟調、トルコ指標の不冴えに一時6.75まで急落
〇トルコ中銀政策金利の据え置きを決定するも市場の反応は限定的
〇今週も週を通して、「トルコリラ円=ドル円」のシンクロ相場が続く
〇トルコ政府・中銀による対ドル相場のボラティリティ抑制策に限界論も
〇引き続き、中長期的なトルコリラ円相場の急落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.60ー7.00
今週のレビュー(3/20−3/24)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.93円で寄り付いた後、(1)UBSグループによるクレディ・スイス救済買収合意報道や、(2)主要6中銀によるドル資金供給に関する支援策発表、(3)イエレン米財務長官による「他の中小金融機関で預金の大量流出が発生した場合は連邦政府が再び介入する可能性がある」とのポジティブ発言、(4)上記1、2、3を背景としたリスクオン再開(金融システム不安を巡る過度な警戒感の後退→ドル円反発→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、翌3/21にかけて、週間高値7.04円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)米FOMC(連邦公開市場委員会)のハト派的な結果や、(6)上記5を背景としたドル円急落(米金利低下→ドル円下落→トルコリラ円連れ安)、(7)株式市場の軟調推移、(8)トルコ3月消費者信頼感指数(結果80.1、前回82.5)の冴えない結果が重石となり、週末にかけて、週間安値6.75円(1/16以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/25午前1時20分現在)では、6.85円前後で推移しております。尚、今週はトルコ中銀が政策金利の据え置き(8.50%)を決定しましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(3/27−3/31)
資本規制や為替介入を通じた対ドル相場のボラティリティ抑制策が継続する中、今週も週を通して、「トルコリラ円=ドル円」のシンクロ相場が続きました(対ドル相場の1weekヒストリカルボラティリティは1%を下回る水準→実質的な固定相場が継続中→週末にかけてドル円が値を崩したことで、トルコリラ円も1/16以来の安値圏へと連れ安)。こうしたシンクロ相場はもうしばらく続く公算が大きく、来週もドル円相場の見通しがそっくりそのままトルコリラ円相場の見通しに適用される同調相場の継続を予想いたします。当方は(1)金融システム不安を巡る警戒感(円買い要因)、(2)米FRBによる金融引き締め休止観測(ドル売り要因)、(3)キャリートレード解消懸念(円買い要因)の3つの材料を以って、ドル円相場の下落を予測している為、トルコリラ円もこれに沿って同調的に続落する可能性が高いと判断できます。
状況次第では1/26安値を割り込み、約1年3ヵ月ぶり安値圏へと値を崩すシナリオも視野に入ります。尚、市場ではトルコ政府・中銀による対ドル相場のボラティリティ抑制策が体力的にいつまで続けられるのか?といった限界論の話が出始めています。事実、トルコリラの対ドル相場は安定性を維持しつつも、日々緩やかに下落し続けるなど、きな臭い動きが確認されます。資本政策や為替介入を通じた強引なボラティリティ抑制策は副作用を伴うことから長期化が難しく、早晩瓦解するとの見方が優勢となっています。実際、トルコ中銀の外貨準備残高は足元で減少傾向に転じている他、直近で発表されたトルコ財政収支、トルコ経常収支、トルコ貿易収支は軒並み過去最大規模の赤字を記録しました。大地震発生の影響でトルコ経済に強烈な下押し圧力が加わっていることも見逃せません。
トルコリラに対する潜在的な売り圧力は極めて大きいと考えられることから、当方では引き続き、中長期的なトルコリラ円相場の急落をメインシナリオとして予想いたします(短期的な視点ではドル円相場に連動する形での連れ安を想定、中長期的な視点ではトルコリラが主体性をもって急落するシナリオを想定)。尚、トルコ政府・中銀が対ドル相場のボラティリティ抑制策を撤廃する時期としては、5/14に予定されている大統領選および国会議員選挙後のタイミングを想定しております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.60ー7.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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