『年初来安値更新後に持ち直すも戻りは鈍い。下落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、世界的信用不安からのリスク回避、極左野党の抗議活動等に週明け7.02まで下落
〇売り一巡後はFOMCのハト派的な結果、南アCPIの予想以上の数値に週後半にかけ7.27まで反発
〇週末にかけてはドル円急落等で7.19前後での推移
〇南ア円、テクニカルの地合い極めて弱く、南アのファンダメンタルズも悪材料多い
〇南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週3/30の南ア中銀金融政策決定会合に注目、0.25%利上げと利上げ終了示唆がコンセンサス
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.95ー7.35
今週のレビュー(3/20−3/24)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.17円で寄り付いた後、(1)世界的な金融システム不安の高まりや、(2)上記1を背景とした伝統的金融市場のリスク回避ムード、(3)南アフリカの極左野党である経済的解放の闘士(Economic Freedom Fighters)による全国的な抗議活動開始(全国的なストライキを呼びかけ、ラマポーザ大統領の辞任を要求)が重石となり、週明け早々に、年初来安値7.02円(2021年12月15日以来、約1年3ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)注目された米FOMCのハト派的な結果や、(5)上記4を背景とした対ドルでの南アフリカランド急反発、(6)南ア2月消費者物価指数(結果+7.0%、予想+6.8%)および、南ア2月消費者物価コア指数(結果+5.2%、予想+5.0%)の市場予想を上回る結果、
(7)上記6を背景とした南ア中銀の利上げ観測(来週3/30に予定されている南ア中銀会合で25bpの利上げに踏み切るとの見方が増加)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.27円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(9)対主要通貨での円買い圧力(ドル円・クロス円急落→南アランド円連れ安)や、(10)南ア1ー3月期BER消費者信頼感(結果▲23、前回▲8)の不冴な結果、(11)南ア株の軟調推移が重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/25午前1時05分現在)では、7.19円前後で推移しております。
来週の見通し(3/27−3/31)
南アランドの対円相場は、3/2に記録した直近高値7.53円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約1年3ヵ月ぶり安値となる7.02円まで急落しました。日足・ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの下側で推移していること(アップサイドに複数のレジスタンポイントが並んでいること)や、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、週足ベースでも強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」や「200週線の下方ブレイク」が実現していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます(短期的にも中長期的にも南アランドのダウンサイドリスクを示唆)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不安(深刻な電力不足で経済活動が停滞→今週発表された南ア2月景気先行指数や南ア1ー3月期BER消費者信頼感は共に悪化)や、(2)南アフリカを巡る政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下→南アフリカの極左野党「FFT」による全国的な抗議活動スタート→南アフリカの治安悪化懸念)、(3)南アフリカの格下げ懸念(大手格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは3/8に同国の格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」へと下方修正)、(4)世界的な金融システム不安に端を発した伝統的金融市場の不安定化など、南アランドにとっての悪材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は3/30に予定されている南アフリカ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。「25bpの追加利上げ」+「利上げサイクル終了示唆」の組み合わせが市場コンセンサスとなっていますが、既に織り込み済みであるため、上記シナリオを逸脱するサプライズが見られない限り、南アランド円相場への影響は限定的となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.95ー7.35
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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