トルコリラ円見通し 信用不安落ち着き3月20日夕安値から持ち直す(23/3/22)

トルコリラ円の3月21日は概ね6.97円から6.89円の取引レンジ、22日早朝の終値は6.96円で前日終値の6.90円から0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 信用不安落ち着き3月20日夕安値から持ち直す(23/3/22)

トルコリラ円見通し 信用不安落ち着き3月20日夕安値から持ち直す

〇トルコリラ円、ドル円の下落に合わせ3/20安値6.86まで大幅下落するも、信用不安落ち着き6.90台回復
〇対ドル、3/21は概ね19.04から19.01の取引レンジ、新たな安値更新はないが最安値近辺での推移続く
〇3/20にトルコ中銀の政策金利発表、現状維持との見方が有力
〇6.93以上での推移中は、6.98超えから7.00を目指す上昇を想定する
〇6.93割れからは下げ再開注意とし、6.90割れからは下落期入りとみて6.86試しを想定する

【概況】

トルコリラ円の3月21日は概ね6.97円から6.89円の取引レンジ、22日早朝の終値は6.96円で前日終値の6.90円から0.06円の円安リラ高だった。
3月10日の米銀2行破綻報道をきっかけとした信用不安の拡大によりドル円が3月8日高値137.91円から3月20日安値130.55円まで大幅下落する中、トルコリラ円もドル円の下落に合わせて3月8日高値7.29円から3月20日安値6.86円まで大幅下落してきた。しかしクレディ・スイスの経営危機に対してはスイス中銀による資金供給とUBSによる買収での救済見通しとなり、3月17日に米SVBフィナンシャルグループの破産申請の後は新たな破綻や取り付け騒ぎ等が見られず、日米欧など主要6中銀がドル資金供給の強化を宣言し、3月21日にはイエレン米財務長官が2008年の金融危機とは異なり取り付け騒ぎの連鎖が落ち着いていると述べたことで破綻の連鎖に対する不安が落ち着き、ドル円は132円台へ戻し、トルコリラ円もドル円の持ち直しに合わせて6.90円台を回復した。

トルコリラ円としてはドル円の騰落に合わせた動きをまだ暫く続けやすい状況とし、3月20日夕安値からのリバウンド継続中と考えるが、3月23日未明の米FOMCを前後しての波乱に注意する。

【対ドルでは19リラ台前半での推移、終値としては3月17日に並ぶ最安値】

ドル/トルコリラの3月21日は概ね19.04リラから19.01リラの取引レンジ、22日早朝の終値は19.01リラで前日終値の19.00リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
長期的なリラ安基調が続く中、2月6日のトルコ南部大地震による震災級の被害発生と2月23日のトルコ中銀による利下げ及び1月の貿易収支や経常収支、財政収支の悪化等からリラ安が勢い付き、手元のデータでは3月15日に19.10リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは3月17日終値19.01リラで最安値を更新してきた。

3月20日、21日は新たな取引時間中の最安値や終値ベースでの最安値更新には至らなかったものの最安値近辺での推移が続いており、徐々に日々の取引レンジの中心値が切り下がってきている。
為替市場全般は米銀破綻からクレディ・スイスの経営危機による信用不安の拡大で波乱となり、21日にかけては不安心理がやや落ち着いているところだが、ドル/トルコリラは他市場動向にはさほど左右されていない。信用不安問題が落ち着けば投資家のリスク選好感が回復して新興国通貨への投資マインドも改善するものだが、ファンダメンタルズが悪化した状況にあり5月には大統領選挙も控えているトルコへの投資意欲は高まらないようだ。

【トルコ中銀は政策金利現状維持か】

3月23日20時にトルコ中銀の政策金利発表がある。トルコ中銀は2月23日に地震対策として政策金利の週間レポレートをそれまでの9.0%から8.5%へ引き下げており、今回も一部では0.50%の追加利下げがあるのではないかとの見方もあるが、ロイター社のまとめたエコノミスト予想では連続利下げ予想は少数派で大方は現状維持とみているようだ。
5月の大統領選挙を控えた状況で有利に選挙戦を進めたいエルドアン政権としては利下げによる景気刺激を続けたいところだろうが、ピーク時よりも伸び率が低下したとはいえ主要国と比較すれば異常な高インフレ水準にありリラ安も収まらない状況では連続利下げも難しいと市場は見ているようだ。

3月23日は未明に米FOMCの結果発表、夜にはノルウェー中銀や英中銀の政策金利発表も相次ぐ。米銀破綻を発端とした金融機関の破綻連鎖への不安はやや落ち着きを見せており、主要国のインフレ率も鈍化し始めていることで各中銀もインフレ抑制への積極姿勢を示しすぎて金融危機のトリガーになることは避けたいところではあるものの、引き締め姿勢を緩めすぎるとそれだけ金融危機への潜在的な不安が大きいと市場が受け止めかねず、難しい判断を迫られる状況にある。主要中銀の政策姿勢によっては為替市場全般の波乱となることもあり得ると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月8日高値からの大幅下落が落ち着き、3月20日夕安値で直近のサイクルボトムをつけて持ち直しに入っているところと思われるので、6.90円以上での推移中は22日の日中から24日未明にかけての間への上昇余地ありとするが、6.90円割れからは下げ再開を警戒して3月20日夕安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして23日夕から27日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月20日夕安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒して安値試し優先とし、先行スパンから転落するところからは下げ足が速まると注意する。

60分足の相対力指数は3月20日夕安値への下落で30ポイントを割り込んだところから60ポイント台へ反騰したが、70ポイントには届かずにいる。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは65ポイント超えから70ポイント台への上昇へ向かう可能性があるとみるが、50ポイント割れからは下げ再開を警戒し、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.98円を上値抵抗線とする。
(2)6.93円以上での推移中は6.98円超えから7.00円を目指す上昇を想定する。7円前後では戻り売りも出やすいとみるが、9.65円以上を維持しての推移なら23日の日中も高値試しを続けやすいとみる。また米FOMC等をきっかけとして円安が勢い付く場合は7.03円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)6.93円割れからは下げ再開注意とし、6.90円割れからは下落期入りとみて3月20日夕安値6.86円試しを想定する。6.86円前後は買われやすいとみるが、6.90円以下での推移なら23日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。またFOMC等をきっかけに下げ足が速まる場合は6.83円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 82.5)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点 グロス(3月10日時点 697.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点 ネット(3月10日時点 186.2億ドル)
3月24日
 17:00 2月 海外観光客数 前年同月比 (1月 56.51%)
3月27日
 16:00 3月 製造業信頼感指数 (2月 102.4)
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 75.2%)



注:ポイント要約は編集部

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