米独金利差からユーロドルは上昇か
〇先週のユーロドル、177pipsの値幅と相変わらず動きが少ない一週間に
〇今週はECB理事会が開催、前回の声明文通り0.5%利上げなら米との金利差は縮小方向
〇直近の米独金利差の変化からするともう少しユーロドルが買われるか
〇年初来高値と3月安値との半値戻し1.0777レベルがターゲットとなりやすい水準
〇下方向は2月安値と3月安値とがほぼ同水準、1.05台前半は強いサポートに
〇今週は1.0575レベルをサポートに1.0800レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは177pipsの値幅とドル円の3円78銭と比べると相変わらず動きが少ないのですが、最近はドル材料で動く場合には結局のところ米金利の動きとなり、金利差が大きいドル円に注目が集まりやすいというのも仕方ないところではあります。そして、議会証言、米国雇用統計と大きなイベントを経過した後に、まさかの米銀破綻というニュースが出てくるとは多くの人にとって想定外でした。
ただ、シリコンバレー銀行の破綻は当初は預金保険の限度額までという懸念がありましたが、週末に財務省、FRB、FDIC(預金保険公社)が緊急声明を発表し、預金が全額保護されることがわかったことで落ち着きを取り戻しています。ただ、今回の破綻の直接のきっかけが米金利上昇による債券の含み損であったことから、年内の米国政策金利の先物市場における見通しは一気にハト派に傾いています。
いっぽうで今週はFOMCに先立ってECB理事会が開催されます。今回の米銀破綻を対岸の火事と言い切れるならば、0.5%の利上げと考えていてよいですが、欧州でも急激に金利が上昇してきたことで、債券の含み損が出ている可能性もありそうですから、そのあたりを理事会がどのように判断するのかは蓋を開けてみないとわかりません。
ただ、米国に比べるといまだ欧州のインフレ率は高いため、本来であれば前回の声明文通りに0.5%の利上げが行われるはずです。想定外のことはおそらく無く、欧州が0.5%、米国が0.25%と金利差はやや縮小方向となり、金利の観点からはユーロ買いが出やすくなる可能性があります。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
3本の平行ラインによるトレンド判断は行いにくく、現状は横方向の動きの中でややユーロが底堅い流れを考えることとなります。そうであるとすれば、年初来高値と3月安値との半値戻し1.0777レベルがターゲットとなりやすい水準です。
いっぽうで下方向は2月安値と3月安値とがほぼ同水準で、1.05台前半は強いサポートになってきたと言えるでしょう。今週はこうしたテクニカルな水準を参考に1.0575レベルをサポートに1.0800レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
米金利がシリコンバレー銀行破綻後に荒っぽい動きとなってきましたので、今週は米金利とドイツ金利との金利差日足チャートを見ておきましょう。
白黒のローソク足がユーロドル、オレンジのラインが米独金利差をドイツ金利から米金利を引いてユーロドルの動きと同じ方向に合わせたものです。基本的に同じような動きではありますが、直近の金利差の変化からするともう少しユーロドルが買われてもよさそうなチャートに見えます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
3月13日(月)
**:** 米国夏時間取引開始 ☆
**:** ユーロ圏財務相会合 ☆
3月14日(火)
16:00 英国2月失業率
21:30 米国2月CPI ☆
3月15日(水)
16:45 フランス2月CPI
19:00 ユーロ圏1月鉱工業生産
3月16日(木)
22:15 ECB理事会 ☆
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
3月17日(金)
19:00 ユーロ圏2月CPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月6日(月)
ユーロドルは東京市場では米金利低下の動きからユーロ買いとなり、その後下げを挟んで欧州市場でECB関係者から3月以降も利上げ継続の発言が続いたことから一段と底堅くなりました。NY昼頃には高値1.0694レベルと先週高値を上抜け、引けにかけては1.06台後半でもみあいのまま引けました。
3月7日(火)
ユーロドルは欧州市場序盤に強いドイツの経済指標に反応し高値1.0695レベルを見ましたが1.07台には売りオーダーがある様子でイベントを前に反落。NY市場ではパウエル議長のターミナルレートが一段と上がる可能性と利上げペースを加速する可能性と想定以上にタカ派な発言を受けたドル買いの動きからユーロドルは1.0546レベルまで下げて安値引けとなりました。
3月8日(水)
ユーロドルは前日のパウエル議長発言を受けドル買い・ユーロ売りが先行後に、米金利低下とともにユーロ買戻しの動きとなりましたが、ドル円とともにユーロ円での売買も出ていたことから動きはやや鈍くなっていました。
3月9日(木)
ユーロドルは1日を通してじり高(ドル安)となっていましたが、1日の値幅は54pipsとドル円に比べると静かで、パウエル議長の議会証言前後におけるユーロ売りポジションがそれほど増えていなかった結果と見られました。
3月10日(金)
ユーロドルはNY市場まで1.05台後半の狭い値幅でのもみあいが続いていましたが、雇用統計のうち予想よりも悪い失業率をきっかけとしたドル売りの動きから1.0701レベルまで上昇。引けにかけては米金利がやや戻す動きとなったことから、ドル買いの動きから1.06台前半へと押して引けました。
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