『南アGDPの悪化やリスクオフ再燃を背景に約1年2ヵ月ぶり安値圏へ急落』
〇今週の南ア円、週明け7.49まで上昇後、週後半にかけ安値7.29まで急落
〇S&Pによる南アの見通し引き下げ(ポジティブから安定的へ修正)金・プラチナの軟調等が背景
〇テクニカルには、一目均衡表の雲が垂れ下がってくることや、強い売りシグナルが成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南アフリカランドの悪材料が増えつつある
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.20ー7.50
今週のレビュー(3/6−3/10)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は週初7.48円で寄り付いた後、早々に週間高値7.49円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)南ア第4四半期GDP(結果▲1.3%、予想▲0.4%、※前期比)の市場予想を下回る結果や、(2)上記1を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(10種類の産業の内、7種類の産業でマイナス成長を記録)、(3)パウエルFRB議長によるタカ派的な発言(パウエルFRB議長は半期に一度の議会証言で「最新の経済データは予想以上に強く、最終的な金利水準が従来の予想よりも高くなる可能性がある」「データ全体が引き締めペースの加速を正当化すれば、利上げペースを加速させる用意がある」と発言)、
(4)上記3を背景とした米長期金利の急上昇(3/21ー3/22FOMCでの50bp利上げを織り込む動き→リスク回避ムード再開)、(5)格付け大手S&Pグローバル・レーティング社による南アフリカの見通し引き下げ(ポジティブから安定的へ下方修正)、(6)金・プラチナ価格の軟調推移(南アフリカの交易条件悪化懸念)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.29円(約1年2ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/11午前4時00分現在)では、7.34円前後で推移しております。尚、今週は南アフリカのラマポーザ大統領より内閣改造人事(電力危機解消に向けて新設された電力相のポジションにクゴシエント・ラモクゴパを任命)が発表されましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(3/13−3/17)
南アフリカランドの対円相場は、週後半にかけて、昨年1/6以来、約1年2ヵ月ぶり安値となる7.29円まで急落しました。上方より一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)電力危機に端を発した南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア第4四半期GDPが予想以上の悪化を示唆→リセッション突入懸念)や、(2)南アフリカの政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下)、
(3)米FRBによる金融引き締め再加速の思惑(南アフリカから米国への資金流出圧力)、(4)南アフリカの格下げ懸念(S&Pグローバル・レーティングは南アフリカの見通しを「ポジティブ」から「安定的」へ下方修正)、(5)金融活動作業部会(FATF)による南アフリカのグレーリスト追加など、南アフリカランドの悪材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの1月製造業生産高や1月小売売上高に加えて、南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(中国2月小売売上高、同2月鉱工業生産、同2月固定資産投資)に注目が集まりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.20ー7.50
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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