トルコリラ週報:『同調相場が継続する中、ドル円の急落に連れてトルコリラ円も急落』(3/11朝)

トルコリラの対円相場は、ドル円との「シンクロ状態」が続いているため、トルコリラ円相場の先行きはドル円相場次第となっています。

トルコリラ週報:『同調相場が継続する中、ドル円の急落に連れてトルコリラ円も急落』(3/11朝)

『同調相場が継続する中、ドル円の急落に連れてトルコリラ円も急落』

〇今週のトルコ円、ドル円の動きにつれ週央7.32まで上昇後、週末一時7.07まで急落
〇トルコ円、ドル円との「シンクロ状態」続く、日米金利差拡大に伴うトルコリラ円反発を想定
〇但し、対ドル相場の安定化が崩れるシナリオには引き続き警戒が必要
〇中長期的には「対ドルの安定化策解除→トルコリラ円急落」の相場展開をメインシナリオとして予測
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.95ー7.35

今週のレビュー(3/6−3/10)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初7.21円で寄り付いた後、(1)パウエルFRB議長によるタカ派的な発言(パウエルFRB議長は半期に一度の議会証言で「最新の経済データは予想以上に強く、最終的な金利水準が従来の予想よりも高くなる可能性がある」「データ全体が引き締めペースの加速を正当化すれば、利上げペースを加速させる用意がある」と発言)や、(2)上記1を背景としたドル円相場の急上昇(※トルコ政府・中銀は対ドルでのボラティリティ抑制策を続けているため、トルコリラ円相場の値動きはドル円相場の値動きに同調。つまりドル円相場の上昇は直接的にトルコリラ円相場の連れ高要因)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.32円まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米2月失業率の冴えない結果や、(4)米2月平均賃金の市場予想を下回る結果、(5)上記3、4を背景とした米長期金利の急低下(ドル売り要因)、(6)米シリコンバレーバンク(SVB)の持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの経営難に端を発した伝統的金融市場のリスク回避ムード(円買い要因)、(7)上記5、6を背景としたドル円相場の急反落(トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.07円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/11午前4時00分現在)では、7.10円前後で推移しております。

来週の見通し(3/13−3/17)

トルコリラの対円相場は、ドル円との「シンクロ状態」が続いているため、トルコリラ円相場の先行きはドル円相場次第となっています。当方は、日米金利差拡大に伴う円キャリートレード再開を予測しているため、目先は、「ドル円反発→トルコリラ円反発」の波及経路を想定しております。但し、対ドル相場の安定化が崩れるシナリオには引き続き警戒が必要でしょう。本来であればトルコ大地震の影響(国連開発計画はトルコ・シリア大地震の被害額について、トルコ単体で1000億ドルを超えるとの見通しを発表)や、高インフレ+利下げといった金融政策の組み合わせでトルコリラには強い下押し圧力が加わるはずですが、政府・中銀による資本規制・為替介入を通じて、強引にボラティリティの抑制が図られている状態です。こうした措置には莫大なコスト・副作用がかかることから、長期化が難しく、早晩瓦解するリスクが警戒されます。

瓦解するタイミングとしては5/14に予定されている大統領選がトリガーとなりそうです。トルコの野党勢力は今週、エルドアン倒しの統一候補者として中道左派の共和人民党首であるケマル・クルチダルオール氏を擁立することを決定しました。最新の世論調査によると、与党・野党の支持率が拮抗するなど不透明感が増しています。過去最長の在任期間を有するエルドアン氏敗北となれば、経済政策のみならず、金融政策も激変するリスクがあるため、トルコリラ相場にも大きな影響を及ぼす恐れがありそうです(エルドアン大統領敗北となれば、トルコ中銀に対する利下げ圧力も無くなり、金融政策が利下げから利上げに転じる恐れあり)。当方は短期的な視点で「ドル円上昇→トルコリラ円上昇」の波及経路を見ていますが、中長期的な視点では「対ドルの安定化策解除→トルコリラ円急落」の相場展開をメインシナリオとして予測しております。

来週の予想レンジ(TRYJPY):6.95ー7.35

注:ポイント要約は編集部

『同調相場が継続する中、ドル円の急落に連れてトルコリラ円も急落』

トルコ円日足

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