トルコリラ円見通し 3月8日午後高値からの修正安続く、ドル高リラ安も進行(23/3/10)

トルコリラ円の3月9日は概ね7.25円から7.17円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.18円で前日終値の7.25円からは0.07円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 3月8日午後高値からの修正安続く、ドル高リラ安も進行(23/3/10)

トルコリラ円見通し 3月8日午後高値からの修正安続く、ドル高リラ安も進行

〇トルコリラ円、3/9早朝に7.26まで上昇するも、ドル円の騰落に合わせ夕刻に前日安値7.21を割り込む
〇3/10早朝に7.17まで続落し、その後午前序盤には7.16を割り込む
〇対ドル、3/9は概ね18.98から18.75の取引レンジ、ドル高リラ安収まらず最安値近辺での推移
〇終値ベースでは18.95まで切り下げ、史上最安値更新
〇外貨準備高がグロスで減少、大地震発生以降のトルコ中銀による非公式市場介入の影響あるか
〇7.21以下での推移中は一段安余地ありとし、7.15割れからは7.10台序盤への下落を想定する
〇7.21超えからは、7.23への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月9日は概ね7.25円から7.17円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.18円で前日終値の7.25円からは0.07円の円高リラ安となった。
ドル円の騰落に合わせた展開が続いており、ドル円が3月8日午後高値で137.91円へ上昇して年初来高値を更新してから修正安に入り、9日夜には一時136円を割り込んだため、トルコリラ円も3月8日午後に7.29円をつけて1月16日安値6.74円以降の最高値を更新したところから修正安に入っており、8日深夜に7.21円へ下落してから9日早朝に7.26円まで戻したものの9日夕刻には8日深夜安値を割り込み、10日早朝には7.17円まで続落した。
ドル円が9日夜安値135.94円から下げ渋ったものの、ドル/トルコリラでのドル高リラ安もあり、トルコリラ円の軟調さは早朝まで続いた。
3月10日午前序盤には7.16円を割り込んでおり、円高と共にトルコリラ円も安値の落ち着きどころを探る展開となっている。本日は昼頃に日銀金融政策決定会合の結果発表、午後に黒田総裁会見、夜の米雇用統計と重要イベントが続くため、上下に大きく振れやすいと注意する。

【ドル高リラ安は収まらず】

ドル/トルコリラの3月9日は概ね18.98リラから18.75リラの取引レンジ、10日早朝の終値は18.95リラで前日終値の18.93リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。10日午前序盤は18.99リラから18.92リラのレンジで推移している。
2月6日に発生したトルコ南部大地震以降、ドル高リラ安が徐々に勢いを増しており、手元のデータでは3月7日に18.98リラへ下落して2月27日につけたそれまでの取引時間中の史上最安値18.96リラを超え、3月8日に18.99リラまで安値を切り下げた。9日も最安値近辺での推移だが、ベンダーによってはすでに1ドル19リラ台の安値提示も見られる。
終値ベースでは3月8日終値18.93リラで3月6日終値18.90リラを超えて最安値を更新していたが、9日終値はさらに18.95リラまで切り下がった。

昨年9月後半からはトルコ中銀による非公式市場介入や輸出外貨保有規制、財務省によるリラ建て預金の為替差損補填等によりリラ安を抑え込もうとしてきたが、大地震発生と2月23日のトルコ中銀による利下げをきっかけに最安値更新が繰り返されてリラ安の勢いが増してきている。
5月14日のトルコ大統領選挙へ向けて野党統一候補が擁立されたことで勢力伯仲の接戦となる可能性があるが、エルドアン大統領が再選される場合は金融・経済政策への不信感からリラ安が一段と加速するとの見方もある。

【外貨準備高がグロスで減少】

3月9日夜に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は3月3日時点のグロスで702.8億ドルとなり2月24日時点の719.8億ドルから17億ドル減少した。グロスの外貨準備高は大地震発生以降で94億ドル減少しており、トルコ中銀による市場介入が外貨準備高減少を招いている印象を強めた。ネットでは206.9億ドルとなり2月24日時点の202.2億ドルから若干増加したが、昨年12月に281.3億ドルまで増加したところをピークに減少傾向が続いている。
カタールなどとの通貨スワップ協定の拡充やロシアの原発関連投資及び海外観光客来訪者の回復、トルコ国内の輸出関連企業への外貨保有規制による外貨からリラへの転換などが外貨準備高とリラ安抑制に寄与してきたが、大地震発生以降は抑制が効かなくなり外貨準備高の減少傾向がリラ安をさらに助長する悪循環となりつつある。
サウジが50億ドルの資金供与を決定したことは当面の下支え要因にはなると思われるが、大地震からの復興へ巨額財政負担となることや、被災地からの輸出減少での貿易赤字の拡大と経常収支悪化、GDPの鈍化、5月の大統領選挙へ向けた政局不安でリラ安が収まらない状況といえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月6日昼と7日夕の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとして8日午前から10日午前にかけての間への上昇を想定していたが、3月8日午後へ一段高したところから8日深夜に弱気転換目安とした7.22円をいったん割り込んだため、9日午前時点では3月8日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日の日中から13日昼にかけての間への下落を想定した。
3月10日午前へ続落しているので引き続きボトム形成中とみるが、日銀会合や米雇用統計等もあるため波乱注意とし、7.23円超えからは強気サイクル入りとして13日午後から15日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月9日午前に遅行スパンが悪化し9日午後には先行スパンから転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は遅行スパン好転からとするが、その際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいと思われる。

60分足の相対力指数は3月9日夕刻に30ポイントへ低下してから戻したものの50ポイントに届かずに再び40ポイントを割り込んでいるのでまだ一段安余地ありとみる。50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント前後への低下を想定し、50ポイント超えからは反騰入りとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.15円を下値支持線、7.21円を上値抵抗線とする。
(2)7.21円以下での推移中は一段安余地ありとし、7.15円割れからは7.10円台序盤(7.12円から7.10円)への下落を想定する。7.12円以下は反騰注意とするが、7.21円以下での推移か、直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.21円超えからは7.23円への上昇を想定する。7.23円手前では戻り売りも出やすいとみるが、7.23円超えからは7.25円前後への上昇を想定する。また7.15円を割り込んだ後に7.20円を超える場合も反騰入りとみて7.23円から7.25円にかけての水準を試す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -0.2%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 失業率 (12月 10.3%)
3月13日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -59.1億ドル)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 4.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 21.8%)



注:ポイント要約は編集部

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