トルコリラ円見通し ドル円と共に年初来高値を更新した後は調整入る(23/3/9)

トルコリラ円の3月8日は概ね7.29円から7.21円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.25円で前日終値の7.24円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円と共に年初来高値を更新した後は調整入る(23/3/9)

ドル円と共に年初来高値を更新した後は調整入る

〇トルコリラ円、ドル円の上昇に合わせ8日午後に7.29をつけ1/16安値6.74以降の最高値を更新
〇深夜にかけドル円が反落した際に7.21へ下落、一旦戻すも9日午前序盤は7.23を割り込む
〇対ドルでは2/6の大地震と2/23の中銀による利下げ等をきっかけに徐々にリラ安のペースが加速
〇3/7に取引時間中の史上最安値を超え、8日は18.99まで安値を切り下げ19リラ台が射程に入る
〇7.21以上での推移中は7.26超えからは7.29前後を試す上昇を想定
〇7.21割れからは8日午後高値からの調整安継続とみて7.18から7.16にかけての水準を試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月8日は概ね7.29円から7.21円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.25円で前日終値の7.24円から0.01円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安の長期トレンドを見ながらドル円の騰落に合わせた展開が続いているが、ドル円は3月7日深夜のパウエルFRB議長による半期に一度の上院銀行委員会での議会証言が予想以上にタカ派だったことをきっかけとしたドル全面高により137円台序盤へ上昇して3月2日夜高値を超えて年初来高値を更新し、8日朝の1月日本経常赤字が季調前で2兆円に迫って単月で過去最大となったことも加味されて8日午後には137.91円まで年初来高値を伸ばした。しかしその後は大幅上昇が落ち着いて調整安に入り、8日深夜に136.46円まで下げたところからFRB議長の下院証言をきっかけに137.43円へ戻したものの、9日午前には再び137円を割り込んでいる。今週末の米雇用統計を控えてポジション調整も入っているところと思われる。

トルコリラ円はドル円の上昇に合わせて8日午後に7.29円を付けて1月16日安値6.74円以降の最高値を更新したが、深夜にかけてドル円が反落した際に7.21円へ下落、9日早朝にいったん7.26円まで戻したものの9日午前序盤にはドル円の137円割れに合わせて7.23円を割り込んできている。1月16日からの上昇基調は継続しているものの、2月24日以降は変動幅も大きく一段高した後の反動安も大きい。ただし日銀人事騒動による波乱を通過して全般のドル高基調を背景にドル円の戻り高値切り上げへの挑戦は続いており、トルコリラ円も突っ込んだところを買い拾われては高値切り上げを試す流れを続けやすいと思われる。

【ドル高リラ安が徐々に勢いを増す】

ドル/トルコリラの3月8日は概ね18.99リラから18.73リラの取引レンジ、9日早朝の終値は18.93リラで前日終値の18.89リラからは0.04リラのドル高リラ安となった。
一昨年末からドル高リラ安は長期のリラ安トレンドで推移し、昨年9月後半からはトルコ中銀による非公式市場介入や輸出外貨保有規制、財務省によるリラ建て預金の為替差損補填等によりリラ安抑制策がとられているために昨年9月にかけての大幅下落時と比較すればリラ安の勢いは減速しているが、2月6日のトルコ南部大地震発生と2月23日のトルコ中銀による利下げ等をきっかけとして徐々にリラ安のペースが加速し始めている。
ドル/トルコリラの取引レートはベンダーによってブレも大きいが、手元のデータでは3月7日に18.98リラへ下落して2月27日に付けたそれまでの取引時間中の史上最安値18.96リラを超え、3月8日は18.99リラまで安値を切り下げて19リラ台が射程に入ってきている印象だ。終値ベースでは3月6日終値18.90リラで最安値を更新していたが、8日は18.93リラへとさらに安値を更新している。トルコ中銀によるリラ安抑制が効かなくなりつつある印象だ。

【大地震の影響、5月の大統領選挙への政局不安】

5月のトルコ大統領選挙において野党6党が3月6日に中道左派で野党第1党である共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首を統一候補とすると発表した。この野党連合には一時連合から離脱していた野党第2党も参加しており、大地震による多数の建物崩壊がエルドアン政権の地震対策及び建築行政への批判が高まる中、高インフレとリラ安が進行する中で主要国の常道とは異なる金融政策を推し進めてきた事への批判も含めてエルドアン大統領の再選阻止へ向けた政局の混乱が警戒される。
エルドアン大統領が被災者支援や復興に手腕を発揮すれば再選に有利となる可能性もあるが、独裁的な政権運営が長期化してきたことで求心力も低下してきたため、大統領選挙では接戦や不正投票等を巡る混乱も予想される。世論調査では僅差の戦いとなる見通しだ。
国連開発計画(UNDP)は今回のトルコ大地震に対する被害総額がトルコで1000億ドル(凡そ13兆円)を超える見通しとした。大地震によりトルコでは凡そ4万6000人、シリアで凡そ6000人、両国で凡そ5万2000人の死亡が確認されている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月3日午前高値で直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3月6日夜から8日夜にかけての間への下落を想定し、3月7日午前時点では7.24円超えからは強気サイクル入りとしていたが、3月7日夕刻への下落では6日昼安値割れを回避して深夜の急伸により7.24円を超えたために3月8日午前時点では3月6日昼と7日夕の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとし、高値形成期を8日午前から10日午前にかけての間とした。また7.22円割れからはいったん調整安入りとした。
3月8日午後へ一段高したところから8日深夜に7.22円をいったん割り込んだため、3月8日午後高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は9日の日中から13日昼にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、7.26円超えからは上昇再開の可能性ありとみて3月8日午後高値試しを想定する。

60分足の一目均衡表では3月8日深夜への下落と9日午前の反落で遅行スパンが悪化し、先行スパンの上限に来ている。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まると注意するが、遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開とみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月8日午後に80ポイントに迫ったところから40ポイント台へ反落しているため、55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.21円を下値支持線、7.26円を上値抵抗線とする。
(2)7.21円以上での推移中は7.26円超えからは7.29円前後を試す上昇を想定する。7.28円以上は反落注意とするが、7.23円を上回っての推移なら10日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.21円割れからは3月8日午後高値からの調整安継続とみて7.18円から7.16円にかけての水準を試す下落を想定する。7.17円以下は反騰注意とするが、7.23円を下回っての推移か直前安値から0.04円を超える反騰が見られないうちは10日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月9日
 20:30 週次 外貨準備高 3月3日時点 グロス(2/24 719.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月3日時点 ネット(2/24 202.2億ドル)
3月10日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -0.2%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 失業率 (12月 10.3%)
3月13日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -59.1億ドル)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 4.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 21.8%)

注:ポイント要約は編集部

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