トルコリラ円見通し FRB議長のタカ派発言でドル円が急伸、トルコリラ円は3月3日朝高値に迫る(23/3/8)

トルコリラ円の3月7日は概ね7.25円から7.17円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.24円で前日終値の7.19円からは0.05円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し FRB議長のタカ派発言でドル円が急伸、トルコリラ円は3月3日朝高値に迫る(23/3/8)

FRB議長のタカ派発言でドル円が急伸、トルコリラ円は3月3日朝高値に迫る

〇トルコリラ円、引き続きドル円の騰落に合わせた展開で3/7夕刻にかけての円高局面で7.17へ下落
〇FRB議長の予想以上のタカ派発言後のドル円急伸に合わせ、3/8早朝7.25へ上昇し年初来高値に迫る
〇週末の米雇用統計へ向けてドル高基調での推移が続きやすく、ドル円と共に高値追及の流れの可能性
〇対ドル、3/7は安値で18.98リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新、終値も最安値近辺にとどまる
〇トルコ財務省の2月現金残高は3か月連続のマイナス、減少幅としては過去最大
〇7.23以上での推移中は、7.27試しを想定する
〇7.23割れからはいったん下げに入るとみて、7.20前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月7日は概ね7.25円から7.17円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.24円で前日終値の7.19円からは0.05円の円安リラ高となった。
3月7日深夜のパウエルFRB議長による半期に一度の上院議会証言が予想以上にタカ派だったことで米2年債利回りが5%を超える急伸となり為替市場はドル全面高の様相となったが、ドル円は3月7日夕刻安値135.54円から136円台序盤へ持ち直し、議長発言が伝わってからの急伸で8日早朝には3月2日夜高値137.09円を超えて年初来高値を更新、8日午前はさらに137.50円に迫る続伸となった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開を続けており、3月7日夕刻にかけての円高局面で7.17円へ下落したものの6日昼安値7.16円割れを回避して持ち直し、深夜からのドル円急伸に合わせて8日早朝には7.25円へ上昇、8日午前には7.26円を超えて3月3日朝につけた年初来高値7.27円に迫った。

【週末の米雇用統計へ向けてドル円と共に高値追及の流れか】

パウエル米FRB議長は3月7日深夜の上院銀行委員会において「最近発表された堅調な経済指標を受けて金利を従来の想定以上に引き上げる必要がある公算が大きく、今後入手される情報全体がインフレ抑制に向け一段の厳しい措置が必要であることを示唆すれば、より大幅な措置を講じる用意がある」と述べた。大幅な措置=0.50%利上げの可能性に言及したことは予想以上にタカ派として為替市場はドル全面高となった。
今週末の米2月雇用統計が良好な数字となり、来週の2月米CPI等が市場予想を上回る場合には3月21-22日の次回FOMCで0.50%利上げとなる可能性が高まると思われる。今夜は先行指標となるADP民間雇用報告とパウエル議長の下院での議会証言があるが、週末の米雇用統計に向けてはドル高基調での推移が続きやすく、ドル円が急伸後の調整安を消化しながら一段高状態を維持すれば、トルコリラ円も3月3日高値を超えて年初来高値更新へ進む可能性も高まるのではないかと思われる。

【対ドルでは取引時間中の最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月7日は概ね18.98リラから18.86リラの取引レンジ、8日早朝の終値は18.89リラで前日終値の18.90リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
ドル高リラ安の長期トレンドでの推移が続く中、手元のデータでは3月7日は安値で18.98リラをつけて2月27日につけた18.96リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新した。終値ベースでは3月6日終値18.90リラで最安値を更新したが、8日早朝の終値も最安値近辺にとどまった。
パウエルFRB議長の上院議会証言が利上げペースの加速となる可能性も含めて予想以上にタカ派だったとして3月7日深夜からドル全面高の様相となっているが、ドル/トルコリラは議長証言前に最安値を更新し、その後は繰り返しトルコ中銀による市場介入の影響とみられるリラ買いを消化しながら取引中心レートを切り下げる展開となっている。

【財政逼迫への懸念】

3月7日夜に発表されたトルコ財務省の2月現金残高の増減は前月比1714.8億リラの減少となり、減少幅としては過去最大となった。12月末の1082.7億リラ減、1月末の543.1億リラ減に続く3か月連続のマイナスだが、2020年からは徐々に増減の振幅が拡大しており、昨年6月末には1492.3億リラ増、7月末には928.0億リラ減となるなど激しい変動が続いている。
2月6日に発生したトルコ南部大地震による財政支出の急増が懸念されるところだが、2021年末にかけてのリラ暴落に対する対抗措置として為替差損を補填するリラ預金保護政策を採用して今年末まで延長していることも財務省財源への圧迫要因となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月3日午前高値で直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3月6日夜から8日夜にかけての間への下落を想定し、3月7日午前時点では7.24円超えからは強気サイクル入りとしていたが、3月7日夕刻への下落では6日昼安値割れを回避して深夜の急伸により7.24円を超えたため、3月6日昼と7日夕の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたところと考える。
高値形成期は8日午前から10日午前にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるため、7.23円以上を維持しての推移中は強気サイクルの継続とし、7.23円割れからはいったん調整安に入るとみて9日昼から13日昼にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月7日深夜からの急伸で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。26本基準線前後が下値支持線となりやすいとみるが、26本基準線割れから続落する場合は弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月7日夕刻に30ポイント台へ低下してから70ポイント台へ急伸している。60ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとするが、相場が小反落の後に高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は反動安入りを警戒し、50ポイントから40ポイントにかけての水準を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.23円を下値支持線、7.27円を上値抵抗線とする。
(2)7.23円以上での推移中は7.27円試しを想定する。7.27円前後は売りも出やすいとみるが、7.27円超えからは7.30円前後への上昇を想定し、7.23円以上を維持しての推移なら9日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.23円割れからはいったん下げに入るとみて7.20円前後への下落を想定する。7.20円前後は押し目買いも入りやすいとみるが、7.23円を割り込んでの推移なら9日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月9日
 20:30 週次 外貨準備高 3月3日時点 グロス(2/24 719.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月3日時点 ネット(2/24 202.2億ドル)
3月10日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -0.2%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 失業率 (12月 10.3%)
3月13日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -59.1億ドル)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 4.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 21.8%)



注:ポイント要約は編集部

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