トルコリラ円見通し 3月1日夜安値割れ回避、2月24日夜からの一段高状態を維持(23/3/7)

トルコリラ円の3月6日は概ね7.23円から7.16円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.19円で先週末終値の7.22円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 3月1日夜安値割れ回避、2月24日夜からの一段高状態を維持(23/3/7)

トルコリラ円見通し 3月1日夜安値割れ回避、2月24日夜からの一段高状態を維持

〇トルコリラ円、ドル円の下落に合わせ3/6昼過ぎ7.16まで下げたものの3/1夜安値と同値にとどまる
〇3/7午前には7.20台を回復、7.16前後を下値支持線、7.25以上で戻り売りにつかまる持ち合いの様相
〇対ドル、3/6は概ね18.92から18.80の取引レンジ、終値ベースで最安値を更新
〇3/6午前安値で18.92リラをつけ、夜にかけて繰り返しのリラ買いで18.70台前半をつけるも売られる
〇トルコ南部大地震から1か月経過、影響は今後さらに明らかになってくるか
〇7.20以上での推移中は、7.24試しを想定する
〇7.20以下での推移中は下向きとし、7.18割れからは下げ再開とみて7.14前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月6日は概ね7.23円から7.16円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.19円で先週末終値の7.22円からは0.03円の円高リラ安だった。
2月6日に発生したトルコ南部大地震から1か月を経過した。ドル/トルコリラではドル高リラ安基調が続いているもののトルコ中銀による非公式市場介入等で大きな変動が抑えられている中、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを継続している。
ドル円は2月24日夜の米PCEデフレーターの上ブレをきっかけとして136円超えへ上昇し、3月2日には137.09円まで年初来高値を伸ばした後は上昇一服となり、6日昼過ぎには135.36円まで下げたものの3月1日夜安値135.24円割れには至らず、その後は136円を挟んで揉み合いとなっている。2月24日夜に一段高して以降は135円台序盤を下値支持線としつつ137円前後を抵抗とした持ち合いの様相だ。

トルコリラ円はドル円の一段高に合わせて7.12円近辺から7.20円台中盤へ上昇し、3月3日早朝には7.27円まで高値を伸ばし、ドル円の下落に合わせて3月6日昼過ぎに7.16円まで下げたものの3月1日夜安値と同値にとどまり、7日午前には7.20円台を回復している。7.16円前後を下値支持線とし、7.25円以上では戻り売りにつかまる持ち合いの様相となっている。
今夜はパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言があり、2月2日未明の前回FOMC声明発表と議長会見時からの情勢変化(インフレの高止まり)によりタカ派姿勢を強める具体的な発言があるのか注目され、内容次第ではドル円と共にトルコリラ円も大きく動く可能性があると注意する。

【対ドルで終値ベースで最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月6日は概ね18.92リラから18.80リラの取引レンジ、7日早朝の終値は18.90リラで先週末終値の18.82リラからは0.08リラのドル高リラ安だった。
先週末の3月3日は取引終了前のリラ買いで上昇したまま取引を終えたが、週明けの3月6日朝には18.90リラ台へ押し返されて午前安値で18.92リラをつけた。6日夜にかけては繰り返し18.70リラ台前半の水準をつけるリラ買いが繰り返されたもののいずれも戻り売りされている。
手元のデータにおける取引時間中の史上最安値は2月27日につけた18.96リラで、その後は新たな安値更新は回避されているが、終値ベースでは2月27日と2月28日及び3月1日につけた終値18.88リラがこれまでの最安値だったが、3月6日終値は18.90リラとなり終値ベースでの最安値更新となった。

【トルコ南部大地震から1か月を経過】

2月6日にトルコ南部で起きたマグニチュード7.8の大地震とその後の余震によりトルコで約4万6000人、隣国シリア約6000人、合わせて約5万2000人が死亡した。トルコ政府の推計では国内の建物・家屋の倒壊は20万棟、トルコ国民の16%に相当する1400万人が住まいを失ったとされる。世銀による被害推定は340 億ドルでGDPの約4%とされるが、トルコの企業・経営者連合の推計は840億ドル超、ブルームバーグ社試算では被害対策支出はGDPの5.5%相当となり財政赤字がGDPの5.4%を超える可能性があるとされる。
被害の大きかった10県には2月9日から3か月の非常事態宣言が出されたが、この地区の2022年の輸出額はトルコ全体の8.5%、GDPの約10%を占めるとされる。被害の確定や復興への財政支出や輸出及びGDPへの影響、復興のための人手不足とモノ不足によるインフレの影響等は今後さらに明らかになってくると思われる。

トルコ中銀の対応としては、16億ドルの被災者支援基金への寄付、リラ安防止へ向けて金融機関への取引スプレッド拡大と手数料引き上げによる取引量抑制指示、地震発生から凡そ2週間で70億ドル規模と推計される市場介入、2月23日の金融政策決定会合では従来の9.0%から8.5%への利下げが決定された。
市場介入の影響もあり週次の外貨準備高は大幅に減少したが、3月6日にはサウジアラビアがサウジ開発基金を通じてトルコ中銀に50億ドルを預けることに同意したと発表しており、通貨スワップ協定によるのか貸付的な支援なのか詳細は不明だが、トルコへの資金援助という印象が強い。
復興へ向けた財政悪化、貿易赤字の拡大、経常収支の悪化、リラ安の継続、インフレ率の再上昇への懸念、地震対策と被災者支援へ向けたエルドアン大統領の対応への批判と5月の大統領選挙へ向けた政局など、先行き不透明感が拭えない状況がしばらく続くが、今のところはドル高リラ安が抑制された動きを続けているため、トルコリラ円としてはドル円の騰落に対して機敏に追従してゆく物と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月3日午前へ続伸してからの反落により、3月3日午前時点では7.20円割れからは弱気サイクル入りとしたが、3月3日夜に7.20円を割り込んだため、3月3日午前高値で直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は6日夜から8日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあり、3月6日昼過ぎ安値から持ち直しが見られるのでやや早めにボトムを付けた可能性もあると注意し、7.18円割れからは下げ再開とするが、7.24円超えからは強気サイクル入りと仮定して8日午前から10日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月6日昼過ぎから戻しているために遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンから転落した状況は解消していない。先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜けないか一時的に超えても再び転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月6日昼過ぎへの下落時に30ポイント台へ低下したところから50ポイント台を回復している。60ポイントに届かないうちは45ポイント割れから下げ再開として30ポイント前後への低下を想定するが、60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台を目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.18円を下値支持線、7.24円を上値抵抗線とする。
(2)7.20円以上での推移中は7.24円試しを想定する。7.24円手前は戻り売りも出やすいとみるが、7.24円超えからは7.27円前後への上昇を想定し、7.22円以上を維持しての推移なら8日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。FRB議長証言等で円安が勢い付く場合は7.30円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)7.20円以下での推移中は下向きとし、7.18円割れからは下げ再開とみて7.14円前後への下落を想定する。7.14円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、7.20円を下回っての推移か、直前安値から0.04円を超える反騰が見られないうちは8日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月7日
 23:30 2月 財務省現金残 前月比 (1月 -543.1億ドル)
3月9日
 20:30 週次 外貨準備高 3月3日時点 グロス(2/24 719.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月3日時点 ネット(2/24 202.2億ドル)
3月10日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -0.2%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 失業率 (12月 10.3%)
3月13日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -59.1億ドル)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 4.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 21.8%)


注:ポイント要約は編集部

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