ドル円見通し 137円到達後の調整続く、FRB議長議会証言控えて慎重な動き(23/3/7)

慎重に調整的な動きを見せているところと思われるが、135円台序盤では確りしており、中勢レベルでは2月24日の米PCEデフレーター発表からの一段高状態を維持している。

ドル円見通し 137円到達後の調整続く、FRB議長議会証言控えて慎重な動き(23/3/7)

ドル円見通し 137円到達後の調整続く、FRB議長議会証言控えて慎重な動き

〇ドル円、3/6昼過ぎに135.36まで下げたが3/6夜136.19まで戻す、3/7早朝にかけて136円挟みの小動き
〇重要イベントを控え、137円台到達による上昇一服感も手伝いやや慎重に調整的な動き
〇パウエルFRB議長の議会証言、より具体的なタカ派イメージが強まるのか注目
〇米長期債利回りは続落から持ち直す動き、NYダウは小幅上昇ながらも4連騰
〇136.30以下での推移中は下向きとし、135.36割れからは135円前後試しを想定する
〇136.30超えからは上向きとし、136.50超えからは上昇再開により137円を目指すとみる

【概況】

ドル円は3月2日夜高値で137.09円をつけた後は伸びず、3月3日は米長期債利回りが前日までの大幅上昇に対する修正で大幅低下したために136円を割り込んで週を終えていたが、週明けの6日は昼過ぎに135.36円まで安値を切り下げたものの3月1日夜安値135.24円割れには至らず、6日夜に136.19円まで戻した後は伸びず、7日早朝にかけては手掛かりに欠けて136円を挟んだ小動きとなった。
1月16日安値127.21円以降の上昇を継続して137円台に到達したが、FRB議長の半期に一度の議会証言や週末の日銀金融政策決定会合、米2月雇用統計へと重要イベントも続くため、137円台到達による上昇一服感も手伝ってやや慎重に調整的な動きを見せているところと思われるが、135円台序盤では確りしており、中勢レベルでは2月24日の米PCEデフレーター発表からの一段高状態を維持している。

3月6日夜に発表された1月の米製造業受注は前月比1.6%減となり、12月の1.7%増から悪化したが市場予想の1.8%減をやや上回った。変動の激しい輸送関連を除くと1.2%増、国防関連を除くと1.8%減だったが、市場の反応は限定的だった。

【パウエルFRB議長の半期議会証言、7日深夜は上院銀行委員会】

パウエルFRB議長は3月7日24時からの上院銀行委員会、3月8日24時からの下院金融委員会で半期に一度の議会証言を行う。3月3日時点で議会に対する報告書は提出されており、「インフレ率はFRBの目標を大幅に上回っていること、労働市場は極めて引き締まっていること、物価上昇を抑制するためには一段の景気減速が必要であり利上げの継続が適切」とし、「高インフレが経済にもたらす課題を痛感し、2%のインフレ目標達成を強く確約する」としてインフレ抑制への強い姿勢を示している。

2月3日の米雇用統計、2月14日のCPI、16日のPPI,24日のPCEデフレーターがいずれも予想を上回りインフレの高止まりないし再上昇気配を示すものだったことにより、2月2日未明に声明文の発表と議長会見のあった前回FOMCにおける政策判断材料からはよりタカ派へシフトせざるをえない情勢変化があり、パウエル議長があと2回の利上げを検討としていたことについても3回の利上げへ増える可能性や、利上げ水準の引き上げと利上げ状態維持期間の長期化への懸念が強まっている。また次回FOMCの利上げ幅についても今週末の2月米雇用統計や来週のCPI等が予想を上回る場合には0.25%利上げではなく0.50%利上げとなる可能性も浮上するのではないかと市場は警戒している。議会証言でより具体的なタカ派的イメージが強まるのかどうか注目される。

【米長期債利回りは続落から持ち直す】

3月6日の米10年債利回りは先週末比で変わらずに3.96%となった。2月28日から3月2日にかけての3連騰で一時は4.09%をつけて昨年11月以来の4%台として昨年10月21日につけた2020年以降の最高値4.34%へ迫る勢いだったが、連騰の反動で3月3日は前日比0.10%低下となり、6日も一時は3.90%まで続落したがその後に再上昇したことで先週末終値に並んだ。
30年債利回りは0.02%上昇の3.90%となったが、一時は3.83%まで低下したところから持ち直した。
利上げに敏感な2年債利回りは0.03%上昇の4.89%となった。3月2日に4.94%をつけて昨年11月4日につけた2020年以降のピークだった4.88%を超えてから反動安に入り、6日は一時4.83%まで続落したものの切り返し、終値ベースでは3月2日の4.89%を超えてこの間の最高値を更新している。

欧州のインフレ率が高止まりしていることで独仏伊等の長期債利回りも大幅上昇してきたが、3月6日にはドイツ2年債利回りが3.31%をつけて2008年10月以来の最高値とするなど騰勢は継続しているため、欧米の長期債利回りそれぞれの勢いを見ながらユーロドルは昨夜高値で1.0694ドルをつけて2月27日安値1.0533ドル以降の高値を更新するなど、2月27日以降はドル全面高が落ち着いて主要通貨に対するドルの強弱もまちまちとなっている。ECB理事会メンバーであるオーストリア中銀のホルツマン総裁は、6日に「ECBは今後4回の会合でそれぞれ0.50%ずつ金利を引き上げるべき」とタカ派姿勢を示している。
3月6日のNYダウは前日比40.47ドル高と上昇、3月1日からは4連騰となったが先週末にかけて2日連続で300ドルを超える上昇だったところからは小幅な上昇にとどまった。ナスダック総合指数は13.27ポイント安と下落して週末まででの2連騰が途切れている。いずれもFRB議長の議会証言を控えて慎重な動きだった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月28日夜高値136.93円と3月2日夜高値137.09円により137円前後を上値抵抗線とし、3月1日夜安値135.24円と3月6日午後安値135.36円により135円台序盤を下値支持線とし、136円を中心とした持ち合いに入っている。
3月2日夜高値からは軟調推移で持ち合いの下限を試してからやや持ちなおし、7日午前は持ち合い中心値の136円を挟んでの推移だが、135円を割り込む場合は持ち合い下放れとなり、持ち合い幅の倍返しで133円台前半へ向かう下落期に入る可能性が考えられる。逆に3月2日高値を超えて続伸に入れば持ち合い上放れによる一段高として138円、139円を順次試して行く流れへ進みやすくなると思われる。いずれへ向かうのか、まずは今夜のFRB議長上院議会証言が注目される。

60分足の一目均衡表では3月6日午後安値から持ち直したものの遅行スパンは実線と交錯して方向感にかけ、先行スパンからの転落状況も改善していない。このため先行スパンからの転落中は遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月6日午後に30ポイント台へ低下してから戻したが50ポイントを挟んだ揉み合いで方向感に欠ける。60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.36円を下値支持線、136.50円を上値抵抗線とする。
(2)136.30円以下での推移中は下向きとし、135.36円割れからは135円前後試しを想定する。135円割れは買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は134円台中盤へ下値目途を引き下げる。また136円以下での推移か直前安値から0.70円を超える反騰が見られないうちは8日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)136.30円超えからは上向きとし、136.50円超えからは上昇再開により137円を目指すとみる。137円手前は戻り売りも出やすいとみるが、FRB議長証言等をきっかけに上昇が勢い付く場合は137円台中盤への上昇を想定する。また136.50円以上での推移なら8日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/7(火)
休場 インド
未 定 (中) 2月 貿易収支・米ドル建て (1月 780.1億ドル、予想 818.0億ドル)
未 定 (中) 2月 貿易収支・人民元建て (1月 5501.1億元)
12:30 (豪) 豪中銀(RBA) 政策金利 (現行 3.35%、予想 3.60%)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 3.2%、予想 -0.9%)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前年同月比 (12月 -10.1%、予想 -12.5%)
24:00 (米) 1月 卸売売上高 前月比 (12月 0.0%)
24:00 (米) パウエル米FRB議長、上院銀行委員会半期議会証言
27:00 (米) 財務省3年債入札
29:00 (米) 1月 消費者信用残高 前月比 (12月 115.6億ドル、予想 200.0億ドル)

3/8(水)
休場 ロシア
06:55 ロウ豪中銀総裁、講演
08:50 (日) 1月 経常収支・季調前 (12月 334億円、予想 -7374億円)
08:50 (日) 1月 経常収支・季調済 (12月 1兆1821億円、予想 8534億円)
08:50 (日) 1月 貿易収支・国際収支ベース (12月 -1兆2256億円、予想 -2兆9180億円)
14:00 (日) 1月 景気先行指数CI・速報値 (12月 97.2、予想 96.9)
14:00 (日) 1月 景気一致指数CI・速報値 (12月 99.1、予想 96.4)
14:00 (日) 2月 景気ウオッチャー・現状判断 (1月 48.5、予想 49.0)
14:00 (日) 2月 景気ウオッチャー・先行判断 (1月 49.3、予想 49.7)

16:00 (独) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -3.1%、予想 1.4%)
16:00 (独) 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 -3.9%、予想 -3.7%)
16:00 (独) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -5.3%、予想 2.4%)
16:00 (独) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 -6.6%、予想 -5.0%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP確定値 前期比 (改定値 0.1%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 1.9%、予想 1.9%)
19:00 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、講演

22:15 (米) 2月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (1月 10.6万人、予想 20.0万人)
22:30 (米) 1月 貿易収支 (12月 -674億ドル、予想 -687億ドル)
24:00 (米) パウエル米FRB議長、下院金融委員会半期議会証言
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省10年債入札
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)



注:ポイント要約は編集部

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