ランド円レポート月曜版
〇先週のランド円、安値7.30、高値7.43レベルと予想レンジよりもかなり狭いわずか13銭幅での取引
〇ドルランドとドル円のドル高スピードがほぼ同じペースで進みランド円は結果として横方向の動きに終始
〇エスコムの債務のうち半分かつデフォルトリスクの高い2540億ランドを南ア政府が引き受ける
〇ロシアの軍艦が南アフリカの軍港に入港、インド洋で中国、南アフリカとともに合同海上演習を行う
〇今週以降は南アフリカの政治的なリスクが急速にランド安につながるリスクが高い
〇今週は7.15レベルをサポートに、7.40レベルをレジスタンスとする週とみる
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「下降チャンネルの上下の水準を参考にして、7.20レベルをサポートに、7.50レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.30レベル、高値が7.43レベルと、前週のレンジ内で予想レンジよりもかなり狭いわずか13銭幅での取引となりました。
先週のランドは、為替市場全般に米金利上昇によるドル高の動きが見られ、本来的には新興国通貨においてよりドル買いの動きが強まるのですが、先週はドル円においても円安が進行したことでドルランドとドル円のドル高スピードがほぼ同じペースで進んだことからランド円は結果として横方向の動きに終始したと言えます。ドル円もかなり円安が進んだ印象でしたから、同じペースのランド安のイメージがつけやすいかと思います。
先週は大きな変化は無かったものの電力問題に関していくつかの進展が見られました。まずエスコムの債務のうち半分かつデフォルトリスクの高い2540億ランドを南ア政府が引き受けることで送電・配電部門向け資金を確保することが出来る計画です。またエスコムCEOの退任が決まり後任にCFOが暫定CEOに就任することが発表され、今後の改革期待が持てる点はランドにとっての好材料と言えます。
いっぽうで悪材料も飛び出してきました。ロシアの軍艦が南アフリカの軍港に入港し、このあとインド洋で中国、南アフリカとともに合同海上演習を行うこととなりました。当然、西側諸国はこの南アフリカの行動を非難しましたが、南ア与党のANCは歴史的にロシアとの関係が深く、西側からの非難を承知の上で演習に参加したこととなりますが、これは南アにとってかなりの悪材料になるのではないかと考えられます。
エスコムの改革は長期的な材料ですが、合同海上演習への参加は西側諸国から制裁対象とされる可能性もあり、経済的にも大きな打撃につながる可能性があります。米金利上昇が先週のところはドル円の動きもあって影響が少なかったのですが、今週以降は南アフリカの政治的なリスクが急速にランド安につながるリスクが高いと見られます。
テクニカルにはいつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
現在の水準は平行下降チャンネルの上限にほぼ到達しています。多少の上抜けがあっても7.40レベルがレジスタンスとなってくる可能性が高いでしょう。いっぽう下値は直近3週間7.30割れでは買いが出ていますが、次に割り込んだ時にはチャンネル下限(今週7.15レベルまで下げて行く)まで到達するのではないでしょうか。
ということで、政治的な悪材料とテクニカル双方の動向から今週は7.15レベルをサポートに、7.40レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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