『中国経済の回復期待を背景に南アランドも底堅さを取り戻す展開』
〇今週の南ア円、週明け早々に週間安値7.37をつけた後、週後半にかけ週間高値7.53まで上昇
〇南ア指標の改善、中国のPMIの予想外の良化、金・プラチナ価格の持ち直しがサポート
〇南ア円、日足の転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜け地合い好転
〇但し、上方には、一目均衡表の分厚い雲が待ち構え、上昇容易でないか
〇ファンダメンタルズは、南アフリカランドの悪材料が増えつつある
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.30ー7.60
今週のレビュー(2/27−3/3)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.41円で寄り付いた後、(1)金融活動作業部会(FATF)による南アフリカのグレーリスト(強化監視対象国・地域)追加決定や、(2)米FRBによる金融引き締め再加速観測(南アフリカから米国への資金流出懸念)が重石となり、週明け早々に、週間安値7.37円まで下落しました(南アランドの対ドル相場は翌2/28に年初来安値更新)。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)南ア10ー12月期失業率(結果32.7%、前回32.9%)の4四半期連続改善や、(4)南アフリカの主要貿易相手国である中国の2月製造業・非製造業PMIの力強い結果、(5)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の持ち直し(南アフリカの交易条件改善期待)、(6)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.53円(2/6以来の高値圏)まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間3/4午前2時30分現在)では、7.49円前後で推移しております。
来週の見通し(3/6−3/10)
南アランドの対円相場は、2/10に記録した年初来安値7.30円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、約1ヵ月ぶり高値となる7.53円まで上昇しました。この間、日足・ローソク足が一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、4時間足ベースで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転や短期線と長期線のゴールデンクロス)が成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転が意識されます。但し、上方には、一目均衡表の分厚い雲が待ち構えているため、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(一巡後の反落リスクに要警戒)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)電力危機に端を発した南アフリカ経済の先行き懸念や、(2)南アフリカの政治不安(2/22に即日退任が決定した国営電力会社エスコムの前CEOアンドレ・ド・レイタ氏はインタビューの中で与党アフリカ民族会議がエスコムを巡る不正に関わっていたことを暴露→与党アフリカ民族会議の支持率低下→治安悪化懸念)、
(3)米FRBによる金融引き締め再加速の思惑(米金利上昇に伴う新興国から米国への資金流出懸念)、(4)南アフリカの財政収支・貿易収支の悪化懸念(今週発表された財政収支・貿易収支は共に赤字額が予想比拡大)、(5)南アフリカの格下げ懸念(大手格付会社フィッチやムーディーズは前週、南アフリカの格下げリスクについて言及)、(6)金融活動作業部会(FATF)による南アフリカのグレーリスト追加決定など、南アフリカランドの悪材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの第4四半期実質GDP(3/7)を皮切りに、第1四半期BER企業信頼感指数 (3/8)や、第4四半期経常収支(3/9)が予定されております(市場予想を下回る場合には、南ア経済の悪化懸念を通じて南アランドにもう一段下落圧力が加わる恐れあり)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.30ー7.60
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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