『悪材料目白押しで続落リスクに要警戒。対ドルは年初来安値更新』
〇今週の南ア円、週初7.45まで上昇後南ア指標不冴え、米金利上昇等に週央7.33まで下落
〇売り一巡後は南ア政府の国営電力会社債務の一部引き受け報道、円安進行に7.40前後に反発
〇対ドルでは週末にかけ約3カ月半ぶり安値圏へと急落
〇南ア円、テクニカルの地合い弱く、ファンダメンタルズも売り材料多い
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
今週のレビュー(2/20−2/24)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.43円で寄り付いた後、早々に週間高値7.45円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)南ア1月景気先行指数(結果120.5、前月123.1)の冴えない結果や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(新興国から米国への資金流出圧力)、(3)金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化)、(4)重大な電力不足に伴う南アフリカ経済の下振れ懸念が重石となり、週央にかけて、週間安値7.33円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)南アフリカのゴドングワナ財務相による「政府が国営電力会社エスコムの債務の半分超を引き受ける」との予算演説での発言(南ア政府が国営電力会社エスコムの債務4230億ランドの内2540億ランドを引き受ける方針を好感)や、(6)対主要通貨での円売り圧力(ドル円相場が昨年12/20以来の高値圏へと急上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間2/25午前2時20分現在)では、7.40円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週を通して下げ足を速め、週末にかけて、昨年11/3以来、約3カ月半ぶり安値圏へと急落しました。
来週の見通し(2/27−3/3)
南アフリカランドの対円相場は、安値圏での冴えない動きが続いています。日足・ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」が継続していること、ダウ理論の下落トレンドが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)過去最悪レベルの電力不足(ラマポーザ大領領は2/9に国家非常事態宣言を発動)や、(2)上記1を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(南ア中銀は1/26に今年のGDP見通しを+1.1%から+0.3%へ下方修正→更に悪化するとの見方が市場コンセンサス)、(3)南ア中銀による利上げサイクル休止の思惑(南ランドの金利先高観後退)、(4)南アフリカの政治不安(与党・アフリカ民族会議の支持率凋落→治安悪化懸念)、
(5)米FRBによる金融引き締め加速の思惑(米金利上昇に伴う新興国から米国への資金流出懸念)、(6)南アフリカの交易条件悪化懸念(南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の急反落)、(7)南アフリカの格下げ懸念(大手格付会社フィッチやムーディーズによる格下げリスク)、(8)金融活動作業部会(FATF)による南アフリカのグレーリスト追加(同国資産の下押し要因)など、南アフリカランドのダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は2/10に記録した年初来安値7.30円を試す動きを想定)。尚、来週は南ア10ー12月期失業率や、南ア1月貿易収支に加えて、南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(2月製造業PMIや2月サービス業PMI)に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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