トルコリラ円見通し トルコ中銀の利下げは予想通り、ドル円に合わせた動き続く(23/2/24)

トルコリラ円の2月23日は概ね7.17円から7.13円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.13円で前日終値の7.14円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利下げは予想通り、ドル円に合わせた動き続く(23/2/24)

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利下げは予想通り、ドル円に合わせた動き続く

〇トルコリラ円、2/23は概ね7.13から7.17の取引レンジ、24日早朝の終値は7.13
〇対ドル、2/23は18.87へと終値での最安値更新
〇日銀新総裁候補らの発言内容や今夜の米PCEデフレータの内容次第で乱高下の可能性ありとして注意
〇トルコ中銀、2/23の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを現行9.00%から引き下げ8.50%に
〇トルコ南部大地震発生によるリラ売りに対しての市場介入で外貨準備高は大幅に減少
〇7.15以下での推移中は一段安警戒とし、7.10割れからは7.07前後への下落を想定
〇7.15超えからは上昇再開の可能性ありとみて7.17試しとする

【概況】

トルコリラ円の2月23日は概ね7.17円から7.13円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.13円で前日終値の7.14円からは0.01円の円高リラ安だった。2月22日は概ね7.17円から7.12円の取引レンジ、23日早朝終値の7.14円は前日終値7.15円から0.01円の円高リラ安だった。
ドル円が2月21日夜に135.22円をつけて年初来高値を更新してから調整安に入ったことでトルコリラ円も7.17円へ上昇したところから22日夜には7.12円までいったん下げたが、23日早朝の米FOMC議事録公開後にドル円が上昇したことで7.14円へ上昇した。
2月23日はドル円が23日夜に135.36円まで高値を切り上げてから134円台前半に反落する展開となり、トルコリラ円も7.17円まで再び上昇したところで戻り売りとなり24日早朝には7.13円まで失速した。

【日銀新総裁・副総裁の所信表明、夜には米1月PCEデフレーターの発表あり】

2月24日午前には衆院において日銀新総裁候補の植田氏による所信表明と質疑があり、午後には副総裁候補2名による所信表明と質疑がある。黒田総裁時代の「異次元」とされた金融緩和政策の出口へ向かって大きく修正の舵を切る姿勢が示されれば円高反応となりやすく、現状を維持しつつ緩やかな修正を余儀なくされてゆく見通しとなれば市場の不安後退として円安反応を招きやすいと思われる。
2月24日夜には米1月PCEデフレーターの発表があるが、FRBにとっては最重要なインフレ指標であるため上昇率が予想を上回る場合はFRBの金融引き締めへのタカ派姿勢が強まるとしてドル高反応を招きやすい。
これら日銀新総裁候補らの発言内容や米PCEデフレーターの内容次第ではドル円が乱高下してトルコリラ円も振り回される可能性があると注意したい。

【対ドルでは終値での最安値更新】

ドル/トルコリラの2月23日は概ね18.88リラから18.77リラの取引レンジ、24日早朝の終値は18.87リラで前日終値の18.85リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。トルコ中銀が3会合ぶりに利下げを決定したものの市場予想通りだったこととトルコ中銀によるリラ安抑制の動きにより値動きは抑えられたが、2月15日と2月22日につけた取引時間中の史上最安値18.90リラに迫り、終値ベースでは2月15日終値18.84リラを2月21日終値18.86リラで超えて最安値を更新していたが、23日は18.87リラへと最安値を更新した。
2月22日に発表されたトルコ中銀による2月の製造業信頼感指数は102.4となり1月の101.7から改善、2月の設備稼働率は75.2%で1月の75.3%からわずかに低下した。
2月22日にトルコ統計局が発表した2月の各種信頼感指数では、サービス業が115.5となり1月の118.1から低下、小売業が123.1で1月の126.2から低下、建設業は89.8で1月の93.2から低下した。
いずれも大地震の影響を反映していない段階での数字であり、今後の悪化が懸念される。

【トルコ中銀 大地震への対応で3会合ぶりに利下げ】

トルコ中銀は2月23日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを現行の9.00%から0.50%引き下げて8.50%とした。2月6日に発生したトルコ南部大地震による甚大な被害に対する景気支援策と思われ、中銀は声明で「地震を受け成長機運を支える金融条件を維持することが一段と重要になった」ことを利下げの根拠とした。

エルドアン大統領による「低金利がインフレを抑制する」という定説に反する金融政策思考により中銀への利下げ圧力がかかり、トルコ中銀は高インフレの進行中にもかかわらず昨年8月から11月までの4会合連続で利下げを強行し、政策金利は14%から9%まで引き下げられてきた。11月にトルコ中銀は当面の利下げサイクルが終了したと宣言し、昨年12月と今年1月は政策金利を現状維持としてきたが、2月10日に発表された12月鉱工業生産が前年同月比0.2%減と11月の1.1%減に続いてマイナスとなったあとにはエルドアン大統領が利下げ再開を要求するような発言を行い、大地震への対応も踏まえて市場は今回の利下げを予想、予想レンジは7.00%への大幅利下げから9.00%での据え置きまで広かったが、予想中央値は8.50%への利下げで今回の決定は予想通りだった。
今回の利下げに合わせて翌日物貸出金利は0.50%引き下げられて10.0%に、翌日物借入金利は0.50%引き下げられて7.00%に、後期流動性貸出金利も0.50%引き下げられて13.00%となった。

【外貨準備高は大幅に減少】

2月23日夜に発表された週次のトルコ外貨準備高は2月17日時点のグロスで733.9億ドルとなり、2月3日時点の779.3億ドルから2月10日時点の756.3億ドルへと減少したところからさらに大幅減少となった。ネットでは2月17日時点で214億ドルとなり、2月3日時点の270.9億ドルから2月10日時点の244.4億ドルへ減少した流れを継続した。
2月6日のトルコ南部大地震発生によるリラ売りに対しての市場介入で減少したものと思われるが、トルコ金融機関によればトルコ中銀は大地震発生からの2週間で凡そ70億ドルの市場介入を行っているという。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月17日夜高値から弱気サイクル入りしていたが、21日午前にかけて持ち直しの動きがみられたために既にサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしている可能性があるとし、2月20日夜安値割れを回避するうちは強気サイクル入りの可能性を優先して22日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定するとした。
2月23日夜へ上昇を継続したが、24日午前序盤に7.12円割れへ反落しているため、23日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は24日午前から27日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるため、7.15円以下での推移中は一段安警戒とするが、7.15円超えからは強気転換注意として2月23日夜高値7.17円試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして28日夜から3月2日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2月24日午前序盤への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは新たな上昇期入りの可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月23日夜に70ポイントをつけてから24日午前序盤に30ポイント台へ低下している。50ポイント以下での推移中は10ポイント台への低下へ向かう可能性があるとみる。上昇再開には50ポイント台を回復する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.10円を下値支持線、7.15円を上値抵抗線とする。
(2)7.15円以下での推移中は一段安警戒とし、7.10円割れからは7.07円前後への下落を想定する。7.08円以下は反騰注意とするが、7.13円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.15円超えからは上昇再開の可能性ありとみて7.17円試しとする。7.17円前後では戻り売りも出やすいとみるが、7.15円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(4)2月24日午前の日銀新総裁候補による所信表明、午後の副総裁候補による所信表明、24日夜の米PCEデフレーターにより乱高下する可能性のある局面として注意したい。

【当面の主な予定】

2月24日
 17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 26.79%)
2月27日
 16:00 1月 貿易収支 (12月 -97億ドル)
 16:00 2月 経済信頼感指数 (1月 99.3)
2月28日
 16:00 10-12月 GDP 前期比 (7-9月 -0.1%)
 16:00 10-12月 GDP 前年同期比 (7-9月 3.9%)
3月1日
 16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 50.1) 
3月2日
 20:30 週次 外貨準備高 2月24日時点 グロス(2/17時点 733.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月24日時点 ネット(2/17時点 214.0億ドル)
3月3日
 16:00 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 6.65%)
 16:00 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 57.68%)
 16:00 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 4.15%)
 16:00 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 86.46%)

注:ポイント要約は編集部

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