トルコリラ円見通し ドル円の一段高に合わせてトルコリラ円も1月16日以降の高値を更新(23/2/22)

トルコリラ円の2月21日は概ね7.17円から7.10円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.15円で前日終値の7.11円から0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段高に合わせてトルコリラ円も1月16日以降の高値を更新(23/2/22)

ドル円の一段高に合わせてトルコリラ円も1月16日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、ドル円騰落に合わせ2/22午前序盤には7.17をつけ年初来高値の1/6の7.18に迫る
〇対ドル、2/21は概ね18.90から18.68の取引レンジ、2/21終値で18.86をつけ最安値を更新
〇2/23日20時トルコ中銀MPCが開かれ、地震対策を根拠としての利下げに踏み切るとの見方が優勢
〇利下げ予想中央値は現行の9.0%から8.5%、これを下回る利下げが決定されればリラ売りが勢い付くか
〇7.12以上での推移中は上昇余地あり、7.17超えからは7.20を試す上昇を想定
〇7.12割れからは7.10前後試しを想定、円高が勢い付く場合は7.07前後へ下値目途を引き下げる

【概況】

トルコリラ円の2月21日は概ね7.17円から7.10円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.15円で前日終値の7.11円から0.04円の円安リラ高だった。
ドル円の騰落に合わせた展開を続けているが、ドル円は2月21日夜のS&Pグローバルによる米製造業及び非製造業PMIがいずれも予想を上回ったことをきっかけに米長期債利回りが上昇したために21日夜高値で135.22円をつけて年初来高値を更新し、その後の米中古住宅販売が冴えなかったことで134円台中盤へ下げたところからも持ち直して、22日8時台までは134.80円台を下値支持線としつつ135円台を繰り返し試していた。22日9時過ぎからは134.80円を割り込んでやや円高気配となっている。
トルコリラ円はドル円が135.22円をつけた局面で7.17円へ上昇、直後に7.13円まで反落したところから持ち直し、22日午前序盤には7.17円をつけて年初来高値である1月6日の7.18円に迫ったが、その後は円高気配で上げ幅を削っている。

2月23日早朝のFOMC議事録公開や23日夜の米GDP改定値、2月24日午前の日銀新総裁所信表明、24日夜の米PCEデフレーター等をドル円が強気で通過して行く場合はトルコリラ円も年初来高値更新から7.20円台前半を目指す可能性も高まると思われるが、それら一連のイベントで円高がぶり返す場合にはトルコリラ円の上昇も途切れて下落に転じる可能性も抱えていると認識しておきたい。

【対ドルでは取引時間中及び終値での最安値更新】

ドル/トルコリラの2月21日は概ね18.90リラから18.68リラの取引レンジ、22日早朝の終値は18.86リラで前日終値の18.83リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
トルコリラはベンダーによってレート提示に差があるが、手元のデータでは2月21日に18.90リラをつけて2月15日の取引時間中の史上最安値と並んでおり、小数点下四桁では2月21日安値18.9022リラで2月15日安値18.9010リラをわずかに超えて史上最安値を更新している。また終値ベースでは2月15日終値の18.84リラが最安値だったが、2月21日終値で18.86リラをつけて最安値を更新している。

2月6日に発生したトルコ南部大地震の被害が甚大となっていることやエルドアン政権による被害対策への批判及び今後の財政収支悪化や輸出停滞への懸念などリラ安を助長する環境にある。一方でトルコ中銀によるFX市場での非公式なリラ買い介入や外貨保有規制による輸出関連企業の外貨からのリラ転換等がリラ安抑制となり、大地震以降はトルコ中銀によるFX取引におけるスプレッド拡大と手数料引き上げによる取引そのものの抑制も始まっているのだが、着実なリラ安の進行は止められない印象だ。
トルコ金融機関によればトルコ中銀は大地震発生からの2週間で凡そ70億ドルの市場介入を行っているという。

【2月23日にトルコ中銀は利下げの見込み】

2月23日20時にトルコ中銀MPC(金融政策委員会)が開かれるが、ロイター社の調査ではエコノミストの事前予想中央値は現行の9.0%から8.5%への利下げとなっている。予想範囲は9%の現状維持から7%への大幅利下げまで幅広いが、地震対策を根拠としての利下げに踏み切るとの見方が優勢だ。エコノミストのかなりの比率で7%への大幅利下げも予想されているが、予想中央値の8.5%を下回る利下げが決定されればリラ売りが勢い付く可能性があると警戒したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月14日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが21日午前時点では、2月17日夜高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたものの21日午前にかけて持ち直しの動きがみられるために既にサイクルボトムをつけて新たな強気サイクル入りしている可能性があるとし、2月20日夜安値割れを回避するうちは強気サイクル入りの可能性を優先して22日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定するとした。
2月22日午前へ高値を更新してから反落しているところだが、7.12円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.12円割れからは弱気転換注意として7.10円前後への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月21日午後に遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月21日夜に70ポイント台へ上昇してから50ポイント台へ反落している。50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも60ポイント超えへ反騰する場合は上昇継続として70ポイント台を再び試すとみる。ただし45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.12円を下値支持線、7.17円を上値抵抗線とする。
(2)7.12円以上での推移中は上昇余地ありとして7.17円超えからは7.20円を試す上昇を想定する。7.19円以上は反落警戒とするが、7.13円以上での推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.12円割れからは7.10円前後試しを想定する。7.10円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、円高が勢い付く場合は7.07円前後へ下値目途を引き下げる。また7.12円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月22日
 16:00 2月 製造業景況感 (1月 101.7)
 16:00 2月 設備稼働率 (1月 75.3)
2月23日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.00%、予想 8.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 2月17日時点 グロス(2月10日時点 756.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月17日時点 ネット(2月10日時点 244.4億ドル
2月24日
 17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 26.79%)

注:ポイント要約は編集部

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