ドル円見通し 米長期債利回り上昇受け2月17日高値超え、年初来高値を更新(23/2/22)

ドル円は2月21日夜に米PMIが予想を上回ったことをきっかけとした米長期債利回りの上昇を背景に135.22円をつけて1月16日安値127.21円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇受け2月17日高値超え、年初来高値を更新(23/2/22)

ドル円見通し 米長期債利回り上昇受け2月17日高値超え、年初来高値を更新

〇ドル円、米PMIの高水準を受け米長期債利回り上昇、135.22をつけ135円に絡んだ揉み合いで推移
〇米2月PMIは予想を上回るも住宅市況は悪化、FRBの利上げが住宅ローン金利を上昇させ購買力低下
〇米長期債利回りは大幅上昇、2/2米FOMCを通過してからの上昇基調が継続。NYダウは大幅安
〇134.50以上での推移中は上昇余地あり、135.22超えからは135.50ー135.80を目指す上昇を想定
〇134.50割れからは134円前後試しを想定、割り込む場合は133円台中盤への下落へ進みやすくなるか

【概況】

ドル円は2月21日夜に米PMIが予想を上回ったことをきっかけとした米長期債利回りの上昇を背景に135.22円をつけて2月17日夜高値135.10円を超えて1月16日安値127.21円以降の高値を更新した。その後に米中古住宅販売が低調だったことでいったん134.66円まで下げたものの米長期債利回りの上昇基調が継続したために22日未明からは135円に絡んだ揉み合いで推移している。
2月14日の米1月CPI上昇率が予想を上回ったことをきっかけとしたドル高は2月20日の米国市場休場を挟んで落ち着いていたが、2月21日は英ポンドが上昇した他は総じてドル高再開の動きとなっている。
昨年10月21日高値151.94円から今年1月16日安値までの下げ幅24.73円に対する3分の1戻し135.45円に迫っている。

2月22日は2月の独IFO企業景況感指数の発表がある。23日早朝には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公開、2月23日は日本市場休場となるが夜には10-12月期の米GDP改定値、新規失業保険申請件数、ボスティック・アトランタ連銀総裁講演、2月24日は午前に日銀新総裁の国会所信表明、24日夜には米PCEデフレーターの発表と続く。

【米2月PMIは予想を上回るも住宅市況の悪化は深刻さを見せる】

2月21日にS&Pグローバルが発表した2月の米総合PMI速報値は50.2で1月の46.8から大幅に上昇、市場予想の47.6を上回り8か月振りの高水準となった。内訳ではサービス業PMIが50.5で1月の46.8から上昇して市場予想の47.1を上回り、製造業PMIは47.8で50には届かなかったものの1月の46.9から改善して市場予想の47.1を上回り4か月振りの高水準とした。

一方で米不動産業者協会(NAR)による1月の中古住宅販売件数(年換算)は前月比0.7%減の400万戸となり12月の403万戸から減少して市場予想の410万戸を下回り、2010年10月以来12年3か月ぶりの低水準となった。前月比のマイナスは12か月連続であり、米FRBによる利上げが住宅ローン金利を上昇させて購買力を削いでいることを反映している。前年同月比では36.9%の大幅減少となった。また販売価格中央値も前月比0.2%低下して35万9000ドルとなったが、前年同月比は1.3%上昇で131か月連続の上昇で過去最長を更新した。
住宅市況については米FRBの利上げ開始と共に不調さが顕著となっており、各種住宅関連統計は総じて悪化傾向を示している。リーマンショックを発生させたサブプライムローン破綻のように住宅ローン等の各種ローン破綻から米国経済が深刻な不況に陥る可能性についてはまだそれほど意識されていないものの、いずれ大きな問題になってくるのではないかと思われる。

【米長期債利回りは大幅上昇、NYダウは大幅安】

連休明けの米長期債利回りは総じて大幅上昇した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.14%上昇の3.96%となり1月19日の3.32%以降の最高値を更新、昨年11月10日以来の高水準に達しているが、昨年10月21日につけた2020年以降の最高値4.34%を再び試しそうな勢いを見せている。
30年債利回りは先週末比0.10%上昇の3.97%で1月19日の3.49%以降の高値を更新、1月3日以来の高水準とした。
利上げに敏感な2年債利回りは先週末比0.10%上昇の4.73%で2月2日の4.04%以降の高値を更新、昨年11月3日に4.88%のピークをつけた直後の11月7日以来の水準に達した。
米長期債利回りは2月2日未明の米FOMCを通過してから上昇再開に入り、米CPIとPPIの上昇率が期待程に鈍化せずに前月比で予想を超える上昇となったこと、住宅関連を除けば米経済指標は強めの推移となり、FRBによる利上げ回数の増加、利上げピーク水準の切り上がり、利上げ状態の継続期間長期化が連想されている。

一方でNYダウは先週末比697.10ドル安と大幅下落し、一時は下げ幅が700ドルを超えた。ナスダック総合指数も294.97ポイント安と大幅下落しており、FRBによる利上げ長期化への懸念に加え住宅不況への警戒感が強まったことを反映した印象だ。株安はリスク回避的なドル高を助長しやすいが、アジア株が崩れるようだとリスク回避的な円高も進行しやすくなる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月10日の日銀新総裁人事報道による下落でつけた安値129.79円を起点とした上昇を継続してきたが、2月17日夜に135円台に到達したところで上昇一服となり修正安に入っていた。しかし2月20日深夜に133.91円をつけたところからの上昇で2月17日夜高値を超えて新たな上昇期に入ってきた。当面の高値形成期は24日夜にかけて想定されるため134円台後半を維持するうちは上昇継続とし、134.50円割れからは弱気転換注意として134円前後への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月21日夕刻に遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたがその後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが一時的に悪化しても先行スパンからの転落を回避する場合はその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とし、両スパンそろって悪化するところからはいったん仕切り直しの下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月21日夜に70ポイント台へ上昇してから反落したものの50ポイント台を維持してその後は60ポイント台序盤で確りしているのでまだ上昇余地ありとみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は調整安につかまりやすいと注意し、50ポイント割れからは30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、134.50円を下値支持線、135.22円を上値抵抗線とする。
(2)134.50以上での推移中は上昇余地ありとし、135.22円超えからは135円台後半(135.50円から135.80円)を目指す上昇を想定する。135.70円以上は反落注意とするが、134.50円以上での推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。またドル高が勢い付く場合は136円台序盤へ向かう可能性もあると注意する。
(3)134.50円割れからは134円前後試しを想定する。134円前後では押し目買いも入りやすいとみるが新総裁候補の政策姿勢を巡り円高を助長する材料を伴って134円を割り込む場合は133円台中盤への下落へ進みやすくなると注意する。

【当面の主な予定】

2/22(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.75%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数(CPI)・改定値 前月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数(CPI)・改定値 前年同月比 (速報 8.7%、予想 8.7%)
18:00 (独) 2月 IFO企業景況感指数 (1月 90.2、予想 91.1)
27:00 (米) 財務省5年債入札
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨


2/23(木)
休場、日本
G20、財務相・中央銀行総裁会議(2/25迄)
09:30 (豪) 10-12月期 民間設備投資 前期比 (7ー9月 -0.6%、予想 1.3%)

18:30 (英) マン英中銀委員、講演
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数(HICP)・改定値 前年同月比 (12月 8.5%、予想 8.6%)
19:00 (欧) 1月 HICPコア指数・改定値 前年同月比 (12月 5.2%、予想 5.2%)
19:45 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
22:30 (米) 10-12月期 GDP・改定値 前期比年率 (速報 2.9%、予想 2.9%)
22:30 (米) 10-12月期 個人消費・改定値 前期比年率 (速報 2.1%、予想 2.0%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE・改定値 前期比年率 (速報 3.9%、予想 3.9%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.4万件、予想 20.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.6万人、予想 170.5万人)
24:50 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
25:00 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省7年債入札

注:ポイント要約は編集部

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