トルコリラ円見通し 7.10円前後を買われて下げ渋り上昇再開を試す
〇トルコリラ円、2/20はやや調整的な下げで7.10試しは買われて確りし、2/21午前に7.12まで持ち直す
〇引き続きドル円の騰落を見ながらの展開だが、7.10前後で確りするうちは上昇基調を継続しやすいか
〇対ドル、2/20は概ね18.89から18.82の取引レンジ、最安値近辺での推移続く
〇昨日発表の2月トルコ消費者信頼感指数は改善、3月の信頼感は大地震の影響を反映して悪化の懸念
〇2/23のトルコ中銀MPCでは利下げが予想される、大地震の被害に対処のための利下げとの見方が優勢
〇7.10以上での推移中は上昇余地ありとして、7.16前後への上昇を想定する
〇7.10割れからは下落再開とみて、7.07から7.05にかけての水準を試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の2月20日は概ね7.14円から7.10円の取引レンジ、21日早朝の終値は7.11円で先週末終値の7.12円からは0.01円の円高リラ安となった。
ドルトルコリラの中長期的な下落基調に圧迫されつつも、ドル円の騰落規模が勝っていることで昨年7月以降のトルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを続けており、2月6日のトルコ南部大震災発生後も状況は変わっていない。
ドル円は2月3日夜の米1月雇用統計が予想を大幅に超える就業者増加数となたことで128円台から反騰し、日銀総裁人事を巡る報道で132.90円へ上昇したところから2月10日夕刻安値129.79円まで反落したものの、その後は全般のドル高に乗じて2月17日夜には135.10円へ上昇して年初来高値を更新した。2月20日夜にかけてはポジション調整的に134円を割り込んだものの21日午前は134円台前半へ持ち直している。
トルコリラ円は2月3日安値6.80円から2月6日高値7.06円へ上昇、その後は7円を挟んで揉み合いとなったが、ドル円が135円到達へ上昇した局面で2月17日高値7.16円へ上昇して1月16日安値6.74円以降の高値を更新、1月6日高値7.18円に迫った。2月20日はやや調整的な下げで7.10円を試したところは買われて確りし、21日午前には7.12円まで持ち直している。
引き続きドル円の騰落を見ながらの展開だが、7.10円前後で確りするうちは上昇基調を継続しやすいところと思われる。
【対ドルでは最安値近辺での推移】
ドル/トルコリラの2月20日は概ね18.89リラから18.82リラの取引レンジ、21日早朝の終値は18.83リラで先週末終値の18.82リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
昨年9月末に18.50リラを超えて以降はドル高リラ安の下落角度が鈍っているものの、徐々に取引中心値を切り下げて史上最安値を度々更新してきており、2月6日のトルコ南部大地震の影響もあり2月15日には18.90リラの安値をつけて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは2月15日終値18.84リラで最安値を更新したが、2月17日、2月20日も最安値近辺での推移を続けている。
大地震の影響でトルコの財政収支が大きく悪化する懸念、主力産業の海外観光客収入が余震への懸念で減少する懸念、リラ安進行を阻止するための中銀市場介入による外貨準備高の減少、被災地復興までの輸出低下、資材人材不足によるインフレ高進、被災地の輸出産業へのダメージによる輸出の鈍化、トルコ全体のGDP低下、被害を拡大したエルドアン政権による建築行政への不満、被災地難民問題や治安の悪化など、トルコを取り巻く環境は厳しい状況に置かれており、復興特需を期待する段階にはないと思われ、徐々にリラ安への売り圧力も増してゆくのではないかと思われる。
【トルコ消費者信頼感指数は改善】
2月20日夕刻に発表されたトルコの2月消費者信頼感指数は82.5となり1月の79.1から改善、前年2月の71.2からは4.3%の改善となった。内訳では家計の現状が1月の61.6から65.5へ改善、家計の1年先見通しについては1月の79.9から84.2へ改善、経済全般の1年先見通しについては1月の82.7から85.8へ改善、耐久財消費の1年先見通しについては1月の92.2から94.5へと改善した。
CPIの上昇率は鈍化しているとはいえ高インフレ状況が続いていることで生活も圧迫されているが、トルコ中銀による利下げにより実質金利が大幅なマイナスのため、インフレ率に対して相対的に低金利のローンを活用して将来確実に値上がりが見込まれるものを前倒しで買う姿勢も見られる。
しかし2月6日に発生した大地震の影響を反映していないため、3月の信頼感については状況が悪化するのではないかと懸念される。
【トルコ中銀、2月23日に利下げか】
2月23日にはトルコ中銀MPC(金融政策委員会)が予定されているが、2月21日時点の市場予想では9.0%での現状維持から7.0%への大幅利下げまで幅広く、予想平均値は8.50%への利下げとなっている。
大地震の被害に対処するために利下げを行うとの見方が優勢のようだが、小幅な利下げではなく1%を超える利下げ幅となる場合にはリラ売り材料となりかねないと注目したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月10日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午前から17日午前にかけての間と想定してきたが、2月14日夜に7.00円をいったん割り込んでから一段高へと上昇したために、2月15日午前時点では2月14日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして16日深夜から21日未明にかけての間への上昇を想定した。
2月17日夜へ一段高したところから2月20日夜へ下げたため、2月17日夜高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたと思われるが、ボトム形成期は20日夜から21日夜にかけての間と想定されるので21日午前にかけて持ち直しの動きがみられるために既にサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしている可能性がある。このため2月20日夜安値割れを回避するうちは強気サイクル入りの可能性を優先して22日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定する。ただし、2月20日夜安値を割り込む場合は21日夜への下落を想定し、22日へ続落する場合は20日夜安値を起点としてボトム形成期を23日夜から27日夜にかけての間と想定し直す。
60分足の一目均衡表では2月17日夜からの下落で遅行スパンが悪化したものの再び好転しやすい位置にあり、先行スパンから転落したものの再び上抜きやすい位置に戻しているので、先行スパンを上抜くところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし2月20日夜安値を割り込む場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は40ポイントまで下げたところで下げ渋り、21日午前には50ポイント台を回復しているので60ポイント台後半への上昇を想定するが、50ポイント割れからは下げ再開を警戒し、45ポイント割れからは30ポイント以下を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.10円を下値支持線、7.16円を上値抵抗線とする。
(2)7.10円以上での推移中は上昇余地ありとして7.16円前後への上昇を想定する。7.16円前後では戻り売りも出やすいとみるが、円安が勢い付く等により7.16円を超えて続伸の場合は7.20円試しへ上値目途を引き上げる。また7.10円を上回っての推移か直前高値から0.05円を超える反落が発生しないうちは22日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.10円割れからは下落再開とみて7.07円から7.05円にかけての水準を試す下落を想定する。7.06円以下は反騰注意とするが、7.10円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月22日
16:00 2月 製造業景況感 (1月 101.7)
16:00 2月 設備稼働率 (1月 75.3)
2月23日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.00%、予想 8.50%)
20:30 週次 外貨準備高 2月17日時点 グロス(2月10日時点 756.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月17日時点 ネット(2月10日時点 244.4億ドル
2月24日
17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 26.79%)
注:ポイント要約は編集部
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