今週のユーロドルは横方向のもみあいか(週報2月第3週)

為替市場の主役がドル円であることは変わらずで、先週もドル円が4円近く動く中でユーロドルは200pips程度と半分程度の動きしか無いという状況でした。

今週のユーロドルは横方向のもみあいか(週報2月第3週)

今週のユーロドルは横方向のもみあいか

〇先週もドル円が4円近く動く中でユーロドルは200pips程度と半分程度の動き
〇経済指標の発表等でも現状はドル円でトレードをしている投資家が多い
〇ECB全体として若干タカ派的な方向に見方が変化、FRB同様に0.25%程度ピーク金利が高そう
〇火曜のPMI速報値が注目材料、予想より強いか弱いかでユーロドルの動きに変化が出る可能性
〇24日はロシアがウクライナに進行して丸1年経過、念の為注意が必要
〇今週は先週同様に1.0600レベルをサポートに、1.0800レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

為替市場の主役がドル円であることは変わらずで、先週もドル円が4円近く動く中でユーロドルは200pips程度と半分程度の動きしか無いという状況でした。週初までは日銀総裁人事の余波ではあったものの、その後は米金利上昇というドル要因での動きが中心であることから、経済指標の発表等でも現状はドル円でトレードをしている投資家が多いという印象です。

ユーロの材料としては先週もECB関係者からも出ているように3月ECB理事会での利上げ幅は0.5%となり、インフレが落ち着くまで緩和に転じるということは無いと、市場参加者にハト派的に振れるなというメッセージを伝えているものの、これに関しては前回の理事会から繰り返されていることでもあり、ほとんど材料視されないままで来ています。多少タカ派的と感じられたのは金曜のフランス中銀総裁の発言で、ECBのピーク金利は夏にかけて、年内の利下げは無い、といったところでしょう。

フランス中銀総裁の見通しはECBの中でもほぼ中立なスタンスを取っていると考えられますので、そうだとするとこれまでよりもECB全体として若干タカ派的な方向に見方が変化しているとも取れ、そうだとするとFRB同様に0.25%程度ピーク金利が高そうだということになるでしょう。逆に米国との金利差のイメージが変わらないということが動きを鈍くしているとも言えます。

今週はまず火曜の製造業・サービス業PMI速報値が注目材料です。現在の景気を判断する上で重要ですが、これらの数字が予想よりも強いか、弱いかでユーロドルの動きに変化が出てくる可能性はあります。また何も無いとは願いたいですが、24日はロシアがウクライナに進行して丸1年が経過し、プーチンが何かしてくるのかどうかには念の為注意が必要でしょう。

それ以外の経済指標等は一時的な動きにつながっても大きく方向を変えるようなものではありませんので、引き続き強い米金利の動向が最大の材料となることに変わりはありません。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

今週のユーロドルは横方向のもみあいか

先週から引いてあるラインは変化がありません。3本の平行ラインの1番下が2022年安値からのサポートライン、真ん中のラインは当初はレジスタンスとしてワークし、上抜けて以降はサポートとしてワークしているライン、一番上のラインはレジスタンスとしてワークしているラインです。

先週は真ん中のラインを下抜けするかどうか微妙な動きで一週間を終わりましたが、昨年安値と年初来高値との23.6%押し1.0678とも重なっている水準であることから、1.10の大台上抜け時のように一時的な動きで終わる可能性も否定できません。テクニカルにはこのサポートラインの下抜けが確定するかどうかを見極める週となります。

おそらくは米金利もかなり上昇してきていることから今週のユーロドルは横方向の動きで方向感がはっきりしないのではないかと見ていて、先週同様に1.0600レベルをサポートに、1.0800レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はUSD/EUR(EURUSDの上下を反転させたチャート)と米独10年債利回り差の日足チャートを見てみましょう。

今週のユーロドルは横方向のもみあいか 2枚目の画像

日米金利差は昨年12月にYCCの変動幅を拡大したことを除いて日本の10年債利回りが管理相場なのでほとんど米金利の影響ですが、米独金利差ではドイツ国債の金利も正常に金利が上下していますので、為替市場との相関を見ておくことは参考になります。

時々、為替の動きとの乖離が見られますが、多くの期間で似た動きをしていることがわかります。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月20日(月)
**:** 米国市場休場
19:00 ユーロ圏12月建設支出
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値 ☆

2月21日(火)
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 ドイツ2月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏2月ZEW景況感

2月22日(水)
16:00 ドイツ1月CPI
16:45 フランス2月企業景況感
18:00 ドイツ2月ifo企業景況感

2月23日(木)
19:00 ユーロ圏1月CPI
**:** G20(〜25日)

2月24日(金)
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値 ☆
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス2月消費者信頼感

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月13日(月)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍かったものの、欧州市場に入り欧州委員会が成長見通しを上方修正したこと、全般的な株高の動きの中で欧州株も上昇したことをきっかけとしたユーロ買いが見られました。円安の動きがユーロ円の買いに波及したことも下支えとなっていました。

2月14日(火)
ユーロドルは前日の流れを受け、米国CPI発表まではユーロ買い(ドル売り)の動きが続きました。CPI発表直後の乱高下では1.0804レベルまで高値を更新後に1.0707レベルへと反落しましたが、引けは1.07台前半で引けました。

2月15日(水)
ユーロドルは米金利上昇によるドル買いの動きに引っ張られてのユーロ売りとなりました。ラガルドECB総裁が改めて3月理事会で0.5%の利上げに言及したものの材料視されず、1.0660レベルと月曜安値圏に近づいて引けました。

2月16日(木)
ユーロドルはNY市場までは動きが鈍く、NY市場に入ってからの強いPPIを受けたドル買いの動きを受け1.0654レベルの安値をつけました。しかし、下がったところでのユーロ買いもいて月曜以降1.06台半ばでの反発を繰り返していました。

2月17日(金)
ユーロドルはドル円と同様に米金利上昇の動きに沿ったドル買い・ユーロ売りの動きとなりました。東京後場には1.06台半ばを下抜け、NY市場が始まる直前には週間安値となる1.0613レベルまで水準を切り下げました。しかし米国が3連休前ということもあり、引けにかけては1.07目前の水準へと日中高値を更新して引けました。

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