『トルコリラ円相場はドル円にシンクロ。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、ドル円に同調した動きの中6.95-7.16レンジで推移
〇自社株買いに絡む税免除など株価下支え策が奏功し、トルコ株は急反発
〇対ドル相場は、狭いレンジで推移しつつも、大地震の経済への影響懸念等から年初来安値を更新
〇ドル円のもう一段の上昇を見込んでいるため、トルコリラ円相場にも上昇圧力が加わるシナリオを想定
〇中長期的にはリラ売り抑制策の限界からトルコリラ円下落(対ドル相場とのデペッグ)を予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.00ー7.30
今週のレビュー(2/13−2/17)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、政府・中銀による対ドル(USDTRY)での安定化策が継続する中、週を通してドル円にシンクロ(同調)した動きとなりました(USDTRYが狭いレンジ内で固定されているため、TRYJPYの動きはUSDJPYに概ね近似)。週初6.98円で寄り付いたトルコリラ円相場は、翌2/14に週間安値6.95円まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)円キャリートレード再開の思惑や、(2)上記1を背景とした対主要通貨での円売り再開(ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)、(3)トルコ株の急反発(2/8から緊急休場となっていたイスタンブール証券取引所が2/15に再開→自社株買いに絡む税免除など株価下支え策が功を奏し、イスタンブール100種指数が大幅反発)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.16円まで上昇しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間2/18午前2時30分現在)では、7.11円前後で推移しております。尚、対ドル相場は、トルコ政府・中銀による安定化策(為替介入や資本政策および銀行指導など)が継続しつつも、(4)大地震発生に伴うトルコ経済の先行き不安(死者数は3.7万人超。欧州復興開発銀行が発表した報告書によると、大地震の影響で同国の2023年国内総生産が最大1%程度押し下げられる可能性あり)や、(5)トルコ中銀による追加利下げ観測、(6)米FRBによる金融引き締め長期化観測(米長期金利急上昇→新興国から米国への資本流出圧力)が重石となり、週央にかけて、年初来安値を更新しました。
来週の見通し(2/20−2/24)
トルコ政府・中銀による事実上のドルペッグが継続する中、「トルコリラ円≒ドル円」の動きが続いております。当方では、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測の再浮上や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測の後退、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開を背景に、ドル高・円安がもう一段加速するシナリオを見込んでいるため、結果としてトルコリラ円相場にも上昇圧力が加わるシナリオを想定いたします。
但し、トルコリラの対ドル相場が「安定性」を保ちつつも、少しずつ史上最安値を更新している点には留意が必要でしょう。現在は為替差損保障型預金スキームを活用した資本規制や、為替介入、国内金融機関に対する為替取引のスプレッド拡大や手数料引き上げ要請などを通じて、対ドルでのリラ売り抑制を図っていますが、こうした強引な通貨安抑制措置は財政収支や経常収支の悪化を招くことから長期化が難しく、近く限界点に達するのでは無いかとの懸念が広がっています。以上を踏まえ、当方では、短期的なトルコリラ円上昇(ドル円に連動した上昇)を見込みつつも、中長期的なトルコリラ円下落(対ドル相場とのデペッグ)を予想いたします。尚、来週は2/23に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まります。大地震からの復興支援やエルドアン氏の支持率向上を目的に、追加利下げを決定する可能性が高いと考えられますが、トルコの金融政策は既に機能不全に陥っているため、例え利下げに踏み切ったとしても市場の反応は限定的となりそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.00ー7.30
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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