トルコリラ円見通し 米CPI発表後の円安で1月16日以降の高値更新するも失速気味に(23/2/15)

トルコリラ円の2月14日は概ね7.08円から6.98円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.06円で前日終値の7.02円から0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 米CPI発表後の円安で1月16日以降の高値更新するも失速気味に(23/2/15)

トルコリラ円見通し 米CPI発表後の円安で1月16日以降の高値更新するも失速気味に

〇2/15午前序盤トルコリラ円、ドル円急騰後の修正安に合わせ失速気味の展開で7.05割り込む
〇ドル/トルコリラ、2/15日序盤に18.87リラ台の安値をつけ最安値を更新
〇トルコ大震災の影響がより深刻に数字に表れ、ドル/トルコリラのリラ安進行が加速する局面か
〇巨額の財政支出増への備えから、トルコ財務省が金(ゴールド)の輸入を一時停止するとの報道も
〇7.02以上での推移中は上昇余地あり、7.08超えからは7.10前後への上昇を想定、7.10以上は反落注意
〇7.02割れからは下げ再開、6.98前後への下落を想定。7.02を下値支持線、7.08を上値抵抗線とする

【概況】

トルコリラ円の2月14日は概ね7.08円から6.98円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.06円で前日終値の7.02円から0.04円の円安リラ高だった。
2月14日夜に発表された米1月CPI発表から為替市場は乱高下となり、ドル円は132.67円へ急伸してから131.50円へ急落、乱高下が落ち着いた後はドル高優勢の流れで133円台序盤へ一段高となった。トルコリラ円もドル円の騰落に合わせていったん6.98円まで下げたところからの反騰で15日未明には7.08円へ上昇して14日未明高値7.05円を上抜いた。
しかし2月15日午前序盤はドル円が急騰後の修正安で133円を割り込み、トルコリラ円も7.05円を割り込んで失速気味の展開となっている。

【米FRBの利上げ継続とドル高再燃の動き、日銀新体制へ向けた政策修正への思惑も交錯】

日銀人事を巡る報道でドル円は乱高下してきたが、2月14日に人事案が事前報道通りの陣容で国会に提示されたために当面の材料を消化したとして2月14日未明にかけての上昇が落ち着き14日夜にかけては米CPI発表を控えて修正安に入っていた。
米1月CPIは前年比での鈍化傾向を続けたものの市場予想を上回る上昇率にとどまったことでインフレの高止まりとFRBによる利上げ回数の増加や利上げ状態の継続期間長期化等への懸念が強まった。今週はFRB高官や地区連銀総裁達による利上げ継続姿勢の強調も相次いでおり、為替市場は今後の米経済指標を見ながらドル高再燃へ進みやすくなっている印象もある。ただし、日銀総裁交代により異次元金融緩和が普通の金融緩和レベルに修正され、YCC等による長期金利操作が難しくなって修正を余儀なくされてゆくであろう流れは変わらないとすれば、全般ドル高での推移に入ってもドル円の上昇は限定的なものに留まることも考えられる。

トルコリラ円は引き続きドル円の動向次第だが、2月6日に発生したトルコ大震災の影響も今後はより深刻なものとなり数字にも表れてくるため、ドル/トルコリラにおけるリラ安の進行が加速する可能性のある局面と注意したい。

【対ドルでは2月15日午前序盤に最安値更新】

ドル/トルコリラの2月14日は概ね18.86リラから18.82リラの取引レンジ、15日早朝の終値は18.83リラで前日終値と変わらずだった。
手元のデータでは2月3日につけた18.8604リラが取引時間中の史上最安値だが、2月15日序盤には18.87リラ台の安値をつけて最安値を更新している。終値へースでも2月14日終値で過去最安値を更新した。
2月14日は米CPI発表から為替市場全般が波乱となったが当初の乱高下が落ち着いた後はドル高優勢の流れとなり、トルコリラは全般のドル高に圧迫されつつ、2月6日の大震災による死者が4万人を超えたとの報道による先行き不安から売られている印象だ。

【トルコが金輸入を停止】

一部メディアによると、トルコ財務省は金(ゴールド)の輸入を一時停止する。公式発表はないが、既に支払い済みのものを除き入荷後に支払いを行う金輸入について一時停止するということのようだが、大震災に対する巨額の財政支出増が想定される状況にあって財政確保の観点から金輸入を手控えるということと思われる。
トルコは中国と共にゴールド需要が活発であり、自国通貨安への対抗手段としてゴールドの地金や宝飾品の需要も多い。また財務省とトルコ中銀はリラの資産性を担保するために外貨準備における金の保有を拡大してきた経緯もある。
大震災の死者は4万人を超えてトルコ史上最大の災厄となったが、今後の復旧には巨額の財政支出を伴い、トルコ政府の財政基盤やトルコ中銀の外貨保有に影響を及ぼすことが懸念される。エルドアン大統領は5月の大統領選挙を控えた状況で被災者救済や復興へ手腕を発揮しなければ、地震多発国にもかかわらず耐震政策が不十分だったことで今回の被害拡大を招いたとの批判も多く、対応を誤ると再選も厳しくなり、トルコ政局の混迷という不確実性が増すことにもなりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月10日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして15日午前から17日午前にかけての間と想定してきた。2月14日未明高値からの反落により2月14日午前時点では7.00円割れからは弱気サイクル入りとしたが、14日夜に7.00円をいったん割り込んでから一段高へと上昇したため、2月14日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして16日深夜から21日未明にかけての間への上昇を想定する。
ただし、2月15日午前には失速気味のため上昇が短命に終わる可能性もあるとみて7.02円割れからは弱気転換注意として2月14日夜安値6.98円試しとし、6.98円割れからは新たな弱気サイクル入りとして17日夜から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月14日夜からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んだところから上抜き返したため、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込み始めるところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパン下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は2月15日未明への一段高に際して指数のピークが13日夜から切り下がる弱気逆行が見られるため、55ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.02円を下値支持線、7.08円を上値抵抗線とする。
(2)7.02円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.08円超えからは7.10円前後への上昇を想定する。7.10円以上は反落注意とするが、7.02円以上での推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.02円割れからは下げ再開と仮定して6.98円前後への下落を想定する。6.98円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、7.02円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月15日
 17:00 1月 財政収支 (12月 -1186億リラ)
2月16日
 20:00 週次 外貨準備高 2月10日時点 グロス(2月3日時点 779.3億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 2月10日時点 ネット(2月3日時点 270.9億ドル)
2月20日
 16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 79.1)
 23:30 1月 中央政府債務 (12月 403.3億リラ) 

注:ポイント要約は編集部

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