ドル円見通し 米CPI発表後の乱高下通過で133円台到達(23/2/15)

ドル円は2月15日未明に133.31円をつけた後は133円を挟んだ揉み合いで一段高一服の様相だ。

ドル円見通し 米CPI発表後の乱高下通過で133円台到達(23/2/15)

ドル円見通し 米CPI発表後の乱高下通過で133円台到達

〇ドル円、米CPI発表から乱高下、FRBの利上げ継続や従来想定以上の利上げへの期待でドル高が優勢
〇米1月CPIは予想上回り高止まりの様相、地区連銀総裁らのタカ派発言も続く
〇米10年債利回りは乱高下、2年債利回りは11/10以来の高水準4.62%
〇NYダウ利上げ継続期間の長期化を嫌い一時は400ドルを超える下落、終盤は持ち直す
〇132.50以上での推移中は上昇余地あり、133.31超えからは133.50ー133.90への上昇を想定
〇132.50割れから続落は弱気転換注意で132円試し、132円割れからは131円台中盤へ向かう下落期入りか

【概況】

ドル円は2月14日夜の米1月CPI発表から乱高下となり、発表直前の132.0円近辺から直後に132.67円へ急伸するも131.50円へ急落、その後の反騰で133円台へ到達する波乱となった。米1月CPI上昇率が前月比では予想と一致し、前年比は全体もコア指数も12月より鈍化したものの市場予想を上回ったことで、発表当初は市場の受け止め方が分かれたが、前年比が鈍化したとは言え依然として高い水準であることがFRBの利上げ継続期間短縮への期待を後退させるものとして発表直後の乱高下が落ち着いた後はドル高が優勢となった印象だ。
米CPI発表後の地区連銀総裁達の発言も利上げ継続や従来想定以上の利上げとなる可能性を示唆するものだったこともドル高要因となった。
ドル円は2月15日未明に133.31円をつけた後は133円を挟んだ揉み合いで一段高一服の様相だ。
日銀人事が国会に提出されたが、2月10日の植田氏起用報道からの乱高下により材料としては織り込み済として市場反応は2月24日の国会審議を見定めたいとして限定的だった。

【米1月CPI前年比は7か月連続鈍化するも予想を上回り高止まりの様相も】

2月14日に米労働省が発表した1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は全体の前月比が0.5%で市場予想と一致したが12月の0.1%(速報の-0.1%から上方修正)から大幅に伸びた。前年同月比は6.4%となり2022年7月から7か月連続の鈍化で2021年10月以来の低水準となったが、市場予想の6.2%を上回ったため、前月比の上昇も踏まえて高止まりの懸念をもたらした。
コア指数の上昇率は前月比で0.4%となり予想と一致、12月は速報の0.3%から0.4%へ上方修正された。前年同月比は5.6%となり12月の5.7%を下回り4か月連続で鈍化したものの市場予想の5.5%を上回った。
CPIの内訳ではサービス価格が前年同月比7.6%上昇となり1982年8月以来の高水準となり、帰属家賃が7.8%で過去最大の上昇率となった。

【地区連銀総裁らのタカ派発言続く】

ダラス連銀のローガン総裁は2月14日の講演で「物価安定には金融条件を十分に景気抑制的とする必要がある」「従来の想定よりも長期にわたって利上げを続ける用意もしなければならない」と述べた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も14日の講演で「インフレ率は依然として高過ぎる。我々の仕事はまだ終わっていない」「労働市場が強くインフレ率の高止まりが想定よりも長期化するリスクがある」、従来の想定よりも「金利を引き上げる必要があるかもしれない」とし、「2023年末の政策金利見通しを5.0〜5.50%、利下げは2024年以降」と述べた。

リッチモンド連銀のバーキン総裁は「1月のCPIはほぼ予想通り」とし、「インフレは正常化しているものの低下はゆっくりだ」との感想を述べ、今後については「インフレが落ち着けばそれほど動かないかもしれないが、インフレが目標を大きく上回って推移するならより多くの利上げを行う必要がある」と述べた。
2月8日未明のパウエルFRB議長インタビューではハト派的な内容とタカ派的な内容が混在している印象を与えたが、その後のFRB高官や地区連銀総裁達の発言は利上げ継続姿勢を強調するものが多い。

【米10年債利回りは乱高下、2年債利回りは大幅上昇】

2月14日の米長期債利回りは米CPI発表から乱高下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の3.75%で終了したが、3.69%へ低下してから1月3日以来の高水準となる3.79%へ上昇してその後に上昇幅を削る乱調な展開だった。30年債利回りは前日比変わらずの3.78%で終了したが3.74%へ低下してから3.84%へ反騰してまた下げる展開だった。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.10%上昇の4.62%とし、2月2日の4.04%以降の高値を更新、11月10日以来の高水準となった。
パウエルFRB議長は前回のFOMC後の会見であと2回の利上げを検討するとしていたが、金利先物市場の動向を踏まえるとあと3回の利上げとなる可能性が浮上しているようだ。
一方でNYダウは利上げ継続期間の長期化を嫌って前日比156.66ドル安と下落、一時は400ドルを超える下落幅となったが終盤は持ち直した。ナスダック総合指数は68.36ポイント高で当初の下落を解消してプラス圏へ持ち直した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月14日夜の米CPI発表後の乱高下から133円台到達へと一段高しているため、2月10日夕安値129.79円を起点とした上昇期が継続していると思われる。高値形成期は15日未明高値を含めて17日にかけての間とするが、乱調な展開が続く可能性もあるので132円割れからは下落期入りとみて15日夕から17日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月14日夜安値からの一段高により遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んでから上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れからは弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは下落期入りとして安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月14日未明高値から15日未明高値へ一段高した際に指数のピークが13日夜から15日未明にかけて切り下がる弱気逆行が見られるため、50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れへ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、132.50円を下値支持線、133.31円を上値抵抗線とする。
(2)132.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、133.31円超えからは133円台後半(133.50円から133.90円)への上昇を想定する。133.75円以上は反落警戒とするが、133円以上での推移なら16日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)132.50円割れから続落の場合は弱気転換注意として132円試しとし、132円割れからは下落期入りとみて131円台中盤(131.70円から131.30円)へ向かう流れとみる。131.50円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、132円を割り込んでの推移なら16日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/15(水)
10:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、上院公聴会出席
13:30 (日) 12月 第三次産業活動指数 前月比 (11月 -0.2%、予想 0.1%)
16:00 (英) 1月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.4%)
16:00 (英) 1月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (12月 10.5%、予想 10.3%)
16:00 (英) 1月 CPIコア指数 前年同月比 (12月 6.3%、予想 6.2%)
16:00 (英) 1月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (12月 13.4%、予想 13.2%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 1.0%、予想 -0.8%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 2.0%、予想 -0.7%)
19:00 (欧) 12月 貿易収支・季調済 (11月 -152億ユーロ、予想 -160億ユーロ)
19:00 (欧) 12月 貿易収支・季調前 (11月 -117億ユーロ、予想 -125億ユーロ)

22:30 (米) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.1%、予想 1.8%)
22:30 (米) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -1.1%、予想 0.8%)
22:30 (米) 2月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (1月 -32.9、予想 -18.0)
23:15 (米) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -0.7%、予想 0.5%)
23:15 (米) 1月 設備稼働率 (12月 78.8%、予想 79.0%)
24:00 (米) 2月 NAHB住宅市場指数 (1月 35、予想 37)
24:00 (米) 12月 企業在庫 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省20年債入札

2/16(木)
08:50 (日) 12月 機械受注 前月比 (11月 -8.3%、予想 2.8%)
08:50 (日) 12月 機械受注 前年同月比 (11月 -3.7%、予想 -6.1%)
08:50 (日) 1月 通関貿易収支・季調前 (12月 -1兆4485億円、予想 -3兆9334億円)
08:50 (日) 1月 通関貿易収支・季調済 (12月 -1兆7242億円、予想 -2兆4698億円)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 -1.46万人、予想 2.00万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 3.5%、予想 3.5%)
18:40 (欧) パネッタECB理事、講演
22:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
22:30 (米) 1月 住宅着工件数・年率換算 (12月 138.2万件、予想 136.0万件)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数 前月比 (12月 -1.4%、予想 -1.6%)
22:30 (米) 1月 住宅着工許可件数・年率換算 (12月 133.0万件、予想 135.0万件)
22:30 (米) 1月 住宅着工許可件数 前月比 (12月 -1.6%、予想 1.0%)

22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 -8.9、予想 -7.5)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (12月 -0.5%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (12月 6.2%、予想 5.4%)
22:30 (米) 1月 PPIコア指数 前月比 (12月 0.1%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 PPIコア指数 前年同月比 (12月 5.5%、予想 4.9%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.6万件、予想 20.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.8万人、予想 168.8万人)
22:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
24:00 (欧) レーンECB理事、講演
26:00 (英) ピル英中銀理事、講演
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動30年債入札
27:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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