ドル円、市場予想を上回る米CPIを背景に約1カ月半ぶり高値圏へ続伸
○ドル円、米CPIが市場予想上回り、直後に132.68まで上昇、数分後には131.51に急落
○その後、CPI等の好結果を背景に改めて米長期金利急上昇、1か月半ぶり高値133.32に急伸
○ユーロドル、CPI直後1.0803に上昇後1.0708まで下落、その後1.0737まで持ち直す乱高下
○ドル円、テクニカル的に見て地合いの好転を印象付けるチャート形状
○ファンダメンタルズも、米金融引締長期化観測等、ドル円相場上昇を連想させる材料増
〇ドル円相場、短期的な見通しをベアからブルに修正、中長期的にはベア見通し変わらず
〇本日の予想レンジ:132.00ー134.00、本日も米経済イベント多くボラティリティ拡大に注意
海外時間のレビュー
14日(火)のドル円相場は米CPI後の乱高下を経て急上昇。(1)注目された米1月消費者物価指数(結果+6.4%、予想+6.2%、前回+6.5%)および、(2)米1月消費者物価コア指数(結果+5.6%、予想+5.5%、前回5.7%)が市場予想を上回ると、直後に一時132.68まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(3)buy the rumor sell the factが活発化し、ロング勢のロスカットを巻き込みながら、僅か数分後に安値131.51まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)上記1、2を背景に改めて米長期金利が急上昇に転じたこと(米10年債利回りは1/3以来の高水準となる3.79%へ急上昇)や、(5)それに伴う対主要通貨でのドル買い再開(上記下髭で切らされたロング勢が再びロングエントリー)、(6)リッチモンド連銀バーキン総裁による「我々が望まない高インフレ継続の可能性」「インフレを目標に戻すにはしばらく時間がかかる」とのタカ派的な発言、(7)ダラス連銀ローガン総裁による「必要であれば予想以上に長く利上げを続ける用意がある」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、1/6以来、約1カ月半ぶり高値となる133.32まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間2/15午前3時30分現在)では、133.01前後で推移しております。尚、日本政府は昨日、日銀次期総裁として植田和男氏を起用する人事案を国会に提示すると共に、副総裁2名の後任として氷見野良三氏と内田真一氏を充てる案も示しましたが、市場の反応は限定的となりました。
14日(火)のユーロドル相場は乱高下しつつも方向感に欠ける展開。(1)米1月消費者物価指数および米1月消費者物価コア指数発表後の乱高下に巻き込まれる形で、直後に高値1.0803まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(2)上記1を背景に米長期金利が急上昇に転じたことや、(3)それに伴うドル買い再開、(4)短期筋のロスカット、(5)リッチモンド連銀バーキン総裁によるタカ派的な発言が重石となり、日本時間0時過ぎに、安値1.0708まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、米国時間午後にかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間2/15午前3時30分現在)では、1.0737前後で推移しております。尚、昨日はアイルランド中銀マクルーフ総裁より「3.5%を超える金利の引き上げもあり得る」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は1/16に記録した年初来安値127.22をボトムに反発に転じると、昨日は一時133.32まで急伸しました。この間、ローソク足が主要レジスタンスポイント(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を上抜けした他、下位足(1時間足や4時間足など)で強い買いシグナルが点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は、上方から垂れ下がってくる一目均衡表の分厚い雲を突破できるか否か、ダウ理論のトレンド転換の鍵を握っている1/6高値134.79を突破できるか否かに注目が集まります(これらの突破に失敗する場合は、上値トライ失敗を嫌気して反落に転じる恐れもあるため要注意)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(市場は3月+25bp利上げ、5月+25bp利上げ、6月+25bp利上げを織り込む動き。米10年債利回りは1/3以来の高水準となる3.79%へ急上昇→米ドル買い)や、(2)日銀による金融緩和の早期修正期待後退(バランス派の植田氏が次期総裁に就任することで、市場で燻っていた金融緩和の早期修正期待がひとまず後退→円売り)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大観測(円キャリートレード再開の思惑)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方ではドル円相場に関する短期的な見通しを、ベアからブルへと修正いたします(※但し、中長期的なベア見通しは不変)。
尚、本日も米国経済イベント(米MBA住宅ローン申請指数や、米2月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米1月小売売上高、米1月鉱工業生産、米1月設備稼働率、米2月NAHB住宅市場指数、米20年債入札など)が目白押しとなるため、本日同様、海外時間帯のボラティリティ拡大に注意が必要でしょう(日銀総裁人事が決定したことで、市場の焦点は、次回3/22に開催される米FOMC・ドットチャートに向けて、米国経済動向に移る可能性大)。
本日の予想レンジ:132.00ー134.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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